悩み

【ご質問】報酬値切られたら、どうしてますか?

1月の行政書士試験合格発表、また、2月の合格祝賀会を終えると、実にたくさんの合格者の方々から、ご丁寧に個別にメール、ツイッターのDM、ラインなどを通じてご連絡いただきます。

僕としては、ご連絡いただけるのってすごく嬉しいです。やっぱり、僕のことを知ってくれてても、最終的にメッセージとかくれる方は限られてますし、僕の「行政書士事務所エフイヴグループ」という事務所も、メンバーとともに、毎年が開業元年!と思って活動してますから、常に原点に立ち返れる。その過程での僕の経験談が何かしらお役に立つなら、全然、活用してほしいとも思っています(・・急に先輩ヅラ)。

いろいろご質問もいただき、それに対して僕なりにお話しすると、気をつかわれて(?)か、「こんなにお答えいただきましたし、リーダーズの開業塾とか(僕の事務所でやってる)セミナーとか、今後参加させていただきたいので日程教えてください!」みたいに、わざわざ言ってくれるんです。

けど・・そんな気をつかわなくて大丈夫ですし、申し訳ないですけど・・



「ぜひお越しください!むしろ絶対来てくださいね!!」



もうこれに尽きます(笑)。何なら、ご友人連れて一緒にグイグイ来てくれて大丈夫!!話かけるのに勇気がなくて・・とか不要なんで、ガンガン声かけてください!別に、お金云々だけが目的じゃないですよ。これまで一緒に勉強してきて、この出会いを機に仲良くなって、しっかりセミナー等で吸収してもらって、いろいろ一緒に仕事でも関われるって嬉しくないですか!?仕事終わったら、飲みにも行きたいですね(僕の事務所には、そういう出会いをきっかけに、今同じ事務所で一緒に仕事しているメンバーもいます)。

さて、そんなこんなで「記事ネタ」には尽きない2020年2月です。いろいろご質問受ける中で、今日は、このトピックにしてみます。


「行政書士として相談を受けて、報酬を値切られたり、相みつとられたりすると思うんですけど、そういうとき、どうされてますか?」


開業前から、金の話!!!!

いいですね。それくらいのメンタリティじゃないとやっていけないですよね。ということで、今回は、このトピックについて書いてみたいと思います。

【1】報酬を値切られたら、3つしか選択肢はない!!

世の中いろんな交渉術とかクロージングの本がでています。特に、この士業のようなサービス業の世界は、みえないサービスに対して、「報酬」が発生するので、「物」を売るより、報酬の意味が伝わりづらいです。

多くの本には、こう書かれています。


無意味に報酬を下げてはいけない。もし合わないなら、断る勇気だ。」

「士業の仕事がどんなに大変かわかっていない!そんな輩を相手にしていてはダメだ!」


結論・・



「そのとおり!!!」



以上。

・・だと、話が終わってしまうので、もう少し僕なりの思いを書いてみます。

僕は、「報酬」とは、自分たちの視点からみれば、何年もかけて蓄積した「知識」や「経験」を享有することだと思っています。報酬って、「書類作成」料とか、点の報酬だけじゃないですよ。この出会いにより、事業スキームを一緒に考えたり、もちろん許認可申請を代行したり、許認可取得後の管理をしっかり行うことで企業の許認可トラブルを防いだり、すべてを考慮しての「報酬」です。「●●業の許認可をお願いしたい」じゃなくて、「行政書士事務所エフイヴグループだからお願いしたい」が理想系。

「●●業の許認可だといくらですか?」なんて見積りは、実は、難しいです。だって、依頼者(企業等)によって経歴も、規模も、実務経験内容も、工数も違うから、初回のご面談で詳細を伺って初めて、個別に見積もりを出すしかないんです(そうじゃない許認可もありますけど)。


「見積提示」は、技術そのものです。


「●●業新規申請ならいくら!」なんてのは、昭和時代の名残。でも、令和になる今になっても、世の中、残念ながらそうなってはいません。


「許認可なんて役所手続きだろ。誰がやっても同じだし、紙書くだけの仕事だろ。」

「無許可営業っていったって、ちゃんと役所に話せば、大丈夫でしょ。」

「ネットでみたら、おたくより全然安い事務所あるよ。なんでこんなに高いの?」


開業すれば、こんなの日常茶飯事に起こると思います。そして、士業(行政書士)側は、たぶん、こう思うわけです。


「紙書くだけ、と思うなら、自分でやれや!」

「無許可営業とか、話して大丈夫なわけないでしょ!」

「ほかの事務所なんて知らんよ!うちと関係ないじゃん!!」


もうストレスですよね。お互いストレスだと思います。うちの見積りが嫌なら他いけばいいだろ!と。わざわざ値引き交渉してくるなと。「お前、ちょっと高い寿司屋入って会計するとき、ス〇ローは1皿100円だぞ!1貫1,000円ってなんだよ!100円にしろよ!」なんて言うのか?みたいな(そもそも、目にみえる物の販売と、目に見えないサービスの販売って時点で、論点、違うんですけれど)。

だから、最終的には、報酬でもめたときって、「当初の見積もりのまま受任する」、「ちょっと値下げして受任する」、「断る」の3つに1つしかないわけです。

【2】「相手の関心」はなんなのか?値切られたら、ありがとう!

でも。そうは言ってもです。

開業して数年して、わかってきたんですよね。相手方が本当に、単にべらぼうに安くしたいだけの決裁権者なら、「断る」一択なんですが、そうじゃない場合にまで「断る」だけでは、本質的な解決にはならないということを。

たとえば、僕とのやりとりで窓口になっている企業担当者の方。これまで細々とした相談含めて僕らとやりとりをしてきた。もし許認可を依頼するならエフイヴに!と思っていた。でも、実際に見積書を提示すると、社長(上長)から、「ネットみてみろ。ほかの事務所はもっと安いぞ。報酬下げさせろ。」と命令がきた。

彼らは上長からそう言われれば、そうするしかありません。現に、「私としてはすぐに依頼したいんですけど、上から決裁が出なくて・・先生に失礼なご相談とは思うのですが、報酬額、なんとかなりませんか・・。」ということは、実は少なくない。

仮に、上長が絡んでいなくても、経費観念のある担当者なら、「想定していたより、ちょっと高めだな。報酬の再検討をしてもらうか・・。」という風に思うはずです。それは、たとえば僕らでいえば、「エフイヴは高いから安くさせる!」とかじゃなくて、「ネット相場より高い気がする」、「うちとしてはもう少し報酬を抑えないと経費的にまずい気がする」という、そういう企業としての立場・予算等の面から、様々事情があるのでしょう。そして、それが当たり前なんです。


でも、若い頃の(開業当時27歳の)僕は違いました。


なんだよ!ここまでこんだけ動いたのに、今さら報酬でグチャグチャいうなよ!この知識(や経験)を得るのにどれだけ大変だったか!今回の仕事がどれだけ大変か、この人たち全然わかってない!!もう知らない!断るっ!!(世の中、断る勇気が大切だと言っているし・・)


こんな感じ。もう今思い出して考えると、バカバカバカー俺!、みたいな。だって、自分自身が、家電量販店で少しでも安くて質のいいテレビを買おうと思ってる人間ですよ?!なのに、こと自分の報酬になったら、逆の発想になる。まったく企業側(消費者側)の事情がわかってない。違うだろう、そこはと。そう思いますね。何が違うって、最終的に、「断る」可能性は否定できないけれども、その前に、「やることちゃんとやったのか」、と。


つまり、「相手の関心に、本当に真摯に向き合ったのか?」ということです。


相手方にもいろいろな事情や立場がありますよね。少なくとも、「許認可」という分野について、熟知しているわけではないんです。だから「知らない」。どんなに許認可の手続きが大変だ、申請に必要な書類が膨大すぎる、行政機関の対応(現場の運用)もやたらラフな感じ(ローカルルール含む)があって、機械的な回答はできない・・ことってたくさんある。


でもそれは、依頼者は「知らない」んです。


知らないことを、知っている側が、「こんなに大変なんだ!」と強く主張しても、そりゃあ伝わらない。僕が、女心がわからなくて日々事務所の女性行政書士たちからツッこまれるのと同じで、それを「わかってもらおう」なんて、こちら側のエゴです。税金の難しいこととか、登記の難しいこととか、訴訟の駆け引きとか、他士業の専門分野の大変さの「本当のところ」なんて、全然わからないじゃないですか(ヒトによるけど。僕は少なくとも、他士業の神髄はわかりません)。僕らだって、許認可が自分たちの世界だから「たまたま知ってる」だけなんです。

だから、タイトルにも書きましたが、

「ありがとう!!」

なんです。だって、価値を伝えられていないんだもん。もっと言っちゃえば、これまでのやりとりの中で、「エフイヴ」に価値を、決裁権者に感じてもらえてないんですもん。それって、こちら側のプレゼンテーション不足。それに気づかせてくれてありがとう、なんですよ。

それと、

「相手の関心」をどこまで熟慮したか?の話。

本当に依頼したくても、決裁権の関係からどうしても上長を納得させる材料が欲しい、そう思うわけです。こういう事情がある、こういう特殊性がある、他社ではこういう失敗例もある、だからこそエフイヴグループはこういうところまで気にして対応している。だから、うちに依頼してもらえるメリットは、目先の許認可申請の報酬以上の価値をうみだすし、そのつもりでやってる!ここまで考えての話!!という、本質的な「根拠」を担当者には示してあげないと、逆に、担当者の方には決裁権がないのだから動きようがない。

一方で、もし担当者の方で決裁ができないなら、最大限、根拠を挙げた上で、「決裁権者に会う」機会を作ってもらう。もちろん、上場企業や大手企業の代表取締役とそうそう会うのも難しいことだってあるから(とはいえ、行政書士の資格で許認可やるとそういう機会にも恵まれるから、資格の権限は恐ろしい)、せめて、僕ら自身が、決裁権者(または同等の立場の方)と会おうとする努力(姿勢)をみせなければいけない。

決裁権者と会ったら、みせることは1つ。

パッション(情熱)

うそぉ、ここで精神論!?みたいに思うかもですが、これ、結構あります。担当者の段階だと、やはり上長レベルの人に話を聞いてもらうだけの「根拠」を、理論的に示さなければいけない。

一方で、決裁権者の方が会ってくれるときって、その根拠をもとに、そこまでいうエフイヴの代表がどういう奴かを見に来てる(はずな)んで、余りある情熱、貴社の数年先を考えてここまで考えて提案しているんだということをしっかり示す。それが、限りある時間を割いてくれた決裁権者の方への最大の敬意だと思っています。

そのためにはですね、「相手の関心」が何なのかを常に考え、見極めないといけないんですよね。

正直、僕はそんなに「他者の心」をわかる人間じゃありません(うちの副所長もそうかな。笑。でも、一緒に活動している2名の女性行政書士は、めっちゃ他者の心を大切にする人)。日々、勉強ですよね~。

この社長の理念は何なのか。どういう組織にしていかなければいけないのか。そのために、どのような事業スキームを組み、どのような許認可申請の方針を立てるのか。そのために必要な人材、資源は何か。そして、どれだけお金がかかるのか。

そういったことに、めちゃくちゃしつこいくらい「関心」を示すことが、最終的に、決裁権者のスイッチになると思っています。めちゃくちゃ嬉しいですよね、最初に「お前、高い。」って言われていたのに、直接、熱意を伝えた結果、「君に任せるよ。」って言われたら。

だから、「報酬高くないですか?」っていわれたら、その意味でも、「ありがとう」なんです。そういう機会をつくれるから。

あ、ちなみに、それだけ示しても、「いや、そういうのはいいから、安くしてよ。」だと、それは、「断る」が正解です。そういうときは、こう言います。

すごくお力添えしたかったのですが、今回は、ご縁がなかったですね・・。

重要なキーワードは、「今回は」、です。もし、この先、どうしても行政書士が必要になって、横に誰もいなければ、「エフイヴグループを思い出してね」という、僕からのメッセージなんです。そのとき、たまたま、合わなかっただけだから。

報酬が高い、今回は依頼しない!!そんな風にいわれて、絶縁!!みたいには思わないですよ、今は。いつでも、必要なときにお声がけくださいと。そのときはまた、真っ向から相対しますので、そのときは「報酬高い!」なんて言わないでね、と。(笑)

・・その辺、わかっているのか、27歳の俺(笑)。

【3】断ることは、「悪」じゃない。

一方で、中にはイリーガルな相談依頼とか、どんなに根拠や熱意を伝えても、金額ベースで決定する方針であれば、「断る」が正解。

自分の資格や信念を曲げて、行うべきではないことを行うのは、開業した根底を覆す。

「断る」のは、一般的に、嫌われるんじゃないかとか、変な噂されるんじゃないかとか、マイナスなイメージがあり、「今回だけなら・・」みたいに思うこともあるかもしれません。でも、それって、最高の「醤油ラーメン」をつくりたいと思って開店したのに、なんとなく家系ラーメンの方が売れそうだから、「家系ラーメン、はじめました」とか言ってるラーメン屋に近いです。

それって、開業する意味ないんですよ。「俺は、最高の醤油ラーメンを提供したくて開店したんだ!家系食いたきゃ、その店いけ!」、それでいいんです。

嫌だなと思いながらやる仕事ほど、ストレスはないです。さらにいえば、お金と時間を払ってくれる相手方に対する無礼以外、他なりません。

でも実際、そんな風に考えちゃってました、27歳の僕は。あえていいたい、当時の自分に。

「おこがましい」

と。お前1人が、そんな嫌々仕事しなくったって、誰も困らない。選択肢はいくらでもある。最もダメなのは、仕事欲しさあまりに、嫌々やろうと決めた優柔不断なお前だと。自分がやりたくないなら、そんなのを嫌々やって誰も幸せにならない仕事なら、最初から、「ご縁がなかった」といった方が、よほど幸せです。

・・その辺、わかっているのか、27歳の俺(笑)。


ということで、ご質問、「報酬を値切られたとき、どうするのか?」について書いてみました。様々な出会いがある中で、すべてがすべてキレイにはまとまらないことも多いですが、それは、各自に、「守りたいもの」があるからです。だから、みんな必死なんですよね。

だから、そこに関心をもって、僕ら自身が「守りたいもの」のために、必死(100倍必死)さをみせるメンタリティこそが、重要に思います。

「メンタリティ」については、いずれ記事なり、動画にしたいと思います。

本日は、以上です!お読みいただき、ありがとうございました!

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