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【仕事始め】年末年始に考えた出入国管理行政~カルロス・ゴーン密出国~

【1】カルロス・ゴーン密出国

 新年おめでとうございます。エフイヴグループ、村瀬です。2020年もどうぞよろしくお願いいたします。当事務所は、本日6日より始動しました。

 さて、年末年始、いかがでしたでしょうか。この年末年始は、様々なニュースが流れました。1番記憶にあるのは、カルロス・ゴーンの密出国のニュースですね、やはり、「どうやって日本から出国したのかな?」って、みんな思ったんじゃないでしょうか。

 世の中をみてみると、「日本の司法制度がナメられてる!」、「弁護士が悪い!」とか、本当に様々な意見・コメントに溢れかえっていました。僕も、年末年始にもかかわらず、主にTwitterなどをつうじて、その動向に注目していました。

 そもそも、プライベートジェットで、楽器に紛れて密出国するなんていうのは(その情報が真実ならば)、そんな奇想天外なことはそうそうありませんから、誰に責任があるのか?とか言っていても、なかなか限界がありますよね。担当の高野隆弁護士の書かれたブログからは、なんともいえない悲壮感も漂っていました(僕なら耐えられない・・苦笑)。

 これを機に、日本としては、司法制度の見直しだったり、出入国管理行政の見直しに繋げていかなければいけないですね(それにしても、映画さながらの出国劇は、通常じゃ考えられないが・・)

【2】たしかに、出国はあまり気にしない・・

 ところで、これを出入国管理行政の視点からみてみると、外国人の「入国」と「出国」には、そもそも大きな差がありますね。ざっくりなイメージだと、「日本に入るのはとても厳しい」が「日本から出ていくのは緩め」というのが、実際にあります。

 普段、僕たちが対応している在留資格や査証の話をすれば、通常、①有効なパスポートをもっていること、②査証(ビザ)があること、③在留資格認定証明書を示せれば、例外を除き、入国できます。ただそれは、超絶時間のかかる在留資格の審査や、査証審査などがしっかり終えていたら、の話。

 僕らが普段申請している出入国在留管理局への申請は、上記③の在留資格認定証明書を取得するためのものですので、これだけでは日本にくることはできません。近年は、この在留資格の認定自体がかなり厳格化(もう少し正確には、長期化)していますから、そのあたりは現場を追いかけていかねばなりませんね。

 一方で、「出国」は厳格な審査はありません。

 たとえば、すでに在留資格を持っている外国人が何かしらの理由で更新(変更)許可がなされず不許可になってしまった場合には、特定活動(出国準備期間)というものが与えられます

 これは、在留中に、何かしら法令違反等の事実があるため、母国に帰る準備をしなさいよ、というものです。逆に言えば、「出国する」ことそれ自体が禊みたいなところもあります。

 極端な話、何か法令違反をしてしまったとしても、入管当局に摘発などされた場合には退去強制といってかなり厳しい処分が待っていますが、自発的に法令違反を認め出頭した場合には、出国命令で帰国する(退去強制などと比べて簡易な手続きで帰国する)ことになります(実際上はそれでチャンチャン・・)。

 だから、僕がよく依頼者、特に外国人雇用において企業側に言うのは、「しっかりルールを守りましょう」というのが大前提。それから、「ぶっちゃけ外国人本人はミステイクを犯しても帰国の途はあるけれど、企業サイドはそれで終わらない。不法就労助長などに該当すれば、かなり重たい罰則が待っている。だから、もし採用する外国人本人が、「みんなやってるからこのくらい大丈夫ですよ」みたいに言ってきたとしても、それを鵜呑みにしないで、必ず事務所を通じて情報共有してください。」ということをしっかり説明していきます。

 話はそれましたけど、「出国」においては「入国」ほどガチガチな審査があるわけでもないので、今回の場合には、空港での手荷物検査も含めて、そのスキをつかれたともいえますね(というか、そんなこと本来的には許されることではないので、一応書いておきますが、カルロス・ゴーンの対応は褒められたものではありません。念のため)。

 こういうのがあると、話はそれますが、公用パスポートなんかも見直しが必要になるとかそういうことに繋がるんじゃないのかなぁ。公用パスポートの場合、手荷物検査もほとんどないと聞きますし。

 制度が複雑になる理由は、過去に法令違反があったから。不具合がある、あるいは、悪いことをするから厳格化!の繰り返しが今の制度。技能実習制度や特定技能制度は、その視点からも、慎重に検討しなければいけないと思っています。

 2020年もまた、noteやYou Tubeをつうじて、発信してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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行政書士事務所エフイヴグループ
代表行政書士  村 瀬 仁 彦 (Murase Yoshihiko)

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