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開業時以降のスケジュール帳がでてきたので、過去の自分にツッコミをいれてみる。

 2011年12月、僕は東京都練馬区で個人事務所を開業しました。当時、使用人行政書士として勤務していた事務所の方針もあり行政書士部門が閉鎖することになり、その流れでロクに開業準備もせず、かつ、第一子が産まれる約5ヶ月前のことでした。

 2020年12月。まずは、たくさんの方に支えられてここまで生き残ることができました。「36」という年齢が業界からみてどうかは別として、「27」で起こったドタバタの開業は、今にして思えば、人生の分岐点だったのかもしれません。

 ところで、練馬区光が丘にある自宅の書斎から、こんなものがでてきました。

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 あと何冊かほかにも出てきましたが、開業から現在に至るまでの「スケジュール帳」です。画像をみてもらえるとわかるように埃をかぶっていますが、独立開業したあの日からのスケジュールも見返すことができました。

 正直、今の僕は現状に感謝の気持ちこそあれど、自分自身に全く満足できていません。僕が思い描く理想的な地点には、全く到達していません。ただ、それは向こう10年なのか20年なのか、いつかたどり着くだろうと思っています。

 これでも自分の信念のもと、開業したあのときよりは、良くも悪くも「社会」を知り「実務」を知りました。当時は、本当に何もわからなかった・・。スケジュール帳をみると、まるで会計帳簿のごとく、過去の自分の日々や当時の葛藤がわかります(苦笑)

 歴史は繰り返す、といいます。過去から学ばなければ、今は変わらない。そこで、開業した27歳当時の自分が、今、事務所に後輩補助者として入ってきたと仮定して、今の自分から当時の自分にツッコミを入れてみます(そんなことがあれば、イチイチ反発してくる面倒な後輩でしょうけれども・・)。

 そして、ここで記載したことが、向こう10年の指針につながればいいなと思います。

【1】「飲み会」いれすぎ!

 とりあえず、週5(下手したら週6)で飲み会(交流会)入れるのやめろよ、と(もちろんそこで出会った方々とのご縁は良いものもありました)。たしかに、「人が情報をもっている。人と会うことが大切!」と先輩に教わったし本にも書いている。でも、勉強や事案処理、家族との時間を後回しにして、無計画に「人に会う」を実行するなと、今なら思う。

 飲み会自体がダメなんじゃない。スケジュールの組み方が下手だ。当時は、顧客(依頼)もなく、他士業とのつながりもなく、1人で開業して日中事務所が静かすぎるもんだから寂しさもあり、かつ、スケジュール帳に、たとえ「飲み会」であっても何かしら「予定」を入れないと、落ち着かなかったんだろう。その気持ちはよくわかる。

 が、優先順位を考えれば、君がやることは、飲み会に費やした「時間」と「お金」の幾分かを、ホームページなりブログなり、今ならYouTubeなり、実務に必要な勉強・研究なり、過去の事案情報・顧客情報分析なり、つまりは、コンテンツの資産化のための時間に充てることだ。1つ1つは小さくても、何年も続けて蓄積していけばそれは大きな武器になる。

 「コンテンツを資産化する」ことをしようと思えば、当然、「自分1人の時間」が必要になってくる。スケジュールをカツカツにしすぎ!週に1日くらい、何もない日があっていい(むしろ、あるべき)。人と群れることで不安解消しているようじゃ、後々後悔することもある。

【2】「断る力」なさすぎ!

 おい!会いたいと思っていないのに、会うな!なんだ、この予定とこの予定と、この予定は!!

 たとえば、交流会で会った名刺交換しただけの保険営業マン。「先日はありがとうございました。村瀬さんに最適なツールをお渡しできると思い、〇日にお茶でもどうですか?」。たとえば、事務所の固定電話に電話してきたホームページ業者の営業マン。「御社のホームページをみてお電話させていただきました。我が社なら、村瀬さんのホームページをかなり改良できると確信しています。1度、事務所にお伺いしてもいいでしょうか?」

 そんな感じで会ったら、「とりあえず、村瀬さんの年収や家族構成はわからなかったので、年収500万円、家族4名として、保険のシミュレーション計算してきました(え?頼んでないし、家族3人だけど・・あと年収(笑)、知らないにしてもせめて1,000万円くらいにはしてくれ。で、そのシミュレーションに意味ある??)」とか、「村瀬さんのお仕事は司法書士さんでしたっけ?やはり、相続などが事案としては多いですか?(え?ホームページみて電話してきたんじゃないの??)

 気持ちはわかる。「会いましょう!」と言った方が気持ちいいし、「必要ありません」と無下に断るのは気が引けるもんね。

 でも、ほら。「いきなり仕事の営業から入る誘い」に、過去どれだけのいいご縁があっただろう?少なくとも、僕は知らない。「特に知らない人だけど、断るのは悪いし、会ってみようか」、これ、本当にやめよう。

 この「特段知らない人だけど、断るのは悪いし、会ってみようか」には、2つの大罪がある。1つは、「その気もないのに会って断る」という罪。もう1つは、「相手方も自分も本来別の有益なことに使えたであろう有限な時間を無駄に消費させた」という罪。

 「断ることができない」のは、いい人を演じているだけで、優柔不断極まりない。「相手方の有益な時間を消費させてしまっている」ことに自覚がないならば、ビジネスセンスなし。

 もちろん、無償の縁というものもある。たとえば、他士業の友人とか、受験生だとか、後輩だとかが声をかけてくれたときなど。営業と切り離してでも大切なそういう時間は、よほど案件処理に追われていない限り、絶対に断ってはいけない(そんな気は毛頭ないだろうけれど)。

【3】「専門特化」に焦りすぎ!

 焦ってますねぇ。「ホームページ 建設・宅建推しで!」みたいなメモがありますねぇ。

開業7か月目。

 たしかに、僕は前職の行政書士法人で補助者や使用人をさせてもらった。だから、少しばかり実務経験がありながら開業している。でも、2~3年の実務経験なんて、はっきり言って、ドラクエ3でいえばロマリアについたくらいだからね?

 何って、「なるべくなら専門特化したほうがいい」という意見を狭くとらえすぎて、無理やり専門分野を決めすぎ。「書類が作れて申請ができる」のは、必要最低限のスキルであって、別に凄いことでもなんでもないからね。そんなので実務分かったような口をきくんじゃないよ?、と当時の自分にいいたい。声を大にして。

 若いうちは、もっとガムシャラにいろいろ経験しろ、と。ちなみに、死んだじいちゃんに開業報告したとき、「ワシらからみりゃ、30代でようやく卵、40代でぼっちゃん、50代でようやく子供。20代なんざ生まれとりゃせん。じゃけん、なんくるないさで必死でやりや。」って言っていた。

 たかだか数年、建設・宅建業務をやったからなんだ?それで、わかった気になっているのか?それに、君は開業したら入管がやりたかったんじゃないのか?だったら、なぜそれを書かない?何に、誰に、遠慮している?それとも、本当は自信がない?

 おそらく、このときの感情は、(当時は)「営業許認可の方が単価もあるし、企業向けだから、事務所運営が安定しやすくなる・・」という短絡的な発想だったと思う。一方で、「(当時は)入管業務は、なかなか認知されていないし営業が難しそう、事務所運営を考えると・・」みたいなことを考えているはず。

 いいか。20代、30代の小僧が、「事務所運営」を理由に、本当にやりたいことに蓋をするな!(まぁ、その後1年経過した頃、それに気づいて入管業務に邁進した点は、OKだ。)

 「やりがい」があるから邁進できるんじゃない、「邁進する」からやりがいが出てくる。今のところ、そう思います。

【4】まだまだ「数」こなせよ!

 弱音吐きすぎ問題。開業2年目のスケジュール帳にこんな風に書いてある。

 【今月マスト】建設業新規8件、入管(就労)12件、入管(結婚)1件、入管(永住)1件、宅建新規2件、帰化2件!(※計26件。1人でできなければヘルプ)

 思い出した。このとき、開業後、当時の過去最高月売上になったときだ。はじめて行政書士補助者採用のきっかけになったときでもある。

 でも、今これをみると、「イラっ」としかしない。

 なぜなら、飲み会だとかそういう類の時間はほとんどなく、案件対応に集中できるスケジュールのなかでの話だからだ(1年目の反省もあった)。このスカスカのスケジュールであれば1ヶ月もあれば26件くらい1人で対応できる。でも、あろうことか、「1人でできなければヘルプ」とか、いきなり弱音を書いている・・

 このときに足りなかったのは、「段取り能力(及び事前準備)」。このとき余計だったのは、「一事が万事思考」だった

 まず、今なら中身に入る前に、全案件の着手日から申請予定日を決める。逆算して、いつ書類は完成させておくのか、いつ押印貰うのか、いつ証明書等を手配するのか、そうするとどのタイミングで何の書類を案内するのか、業務着手の前に、全案件、いわゆる「アウトライン」を引く

 でもこのときは、そういう作業を一切行っていない。連絡が来たら、その都度、書類案内をしたり、書類を作ったりしている。自分自身、いつまでに何を達成しておくべきかが見えていないから、「常に追われている」感覚に陥る。そういうのを、やっつけ仕事という。下手すると、「俺って忙しい!」みたいな自己陶酔に入ってしまう(実際、ブログかなんかで、「忙しい」みたいなアホ全開アピールしたな。笑)。

 でも違う。単純に、段取りができていないだけだ。重要なのは、26件すべてが「同時進行」ではないということ。依頼者とのキャッチボールで成り立つこの仕事、依頼者にボールを投げ返しさえすれば、その空いた時間で、別の案件対応をすればいいだけ。

 それなのに、すべてが一気に押し寄せてくるような「一事が万事」思考になってしまうと、途端に、「これ以上は無理」みたいに、勝手に限界値を決めてしまう

 自分1人で勝手に限界値を決める癖がつくと「辞め癖」もついてしまうから厄介だ。この癖が1度つくと、よほど覚悟をもって矯正しようとしないと取り除けなくなる。

 「忙しい」と思ったときは、「あれ、もしかして、段取り悪い?もっと早めの準備できた?」と思い返すようにしている。アウトラインを引くこと(段取りをとること)、一事が万事思考を脱却すること、それができれば、まだ対応できる案件数は増える。

【5】常に10年後の自分が判断しろ!

 過去のスケジュール帳に、赤文字で「要検討」とメモしてあるところが、いくつかあった。

◆ 練馬区から豊島区(池袋)への事務所移転の決断。
◆ 講師業
◆ 組織化を目指すか否か。

 どれも、自分にとって、かなり大きな決断になるものばかりだ。もちろん、うまくいったこともあれば、若気の至り(?)でちょっとうまくいかなかったこともある。今にして思えば、それらすべてがあるから今がある。キレイごとではなく、本当にそう思うし、自分がどういう性格・性質なのかわかった。

 特に、「組織化」というのは、今でも大きなテーマだ

 【4】で書いたように、事務処理フェーズの話であれば、別にちょっと頑張れば1人で対応できる。たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請のスポット依頼があったとして、多分、自分の時間を削って全力でやれば40~45件ほど抱えることはできる(と思う)。

 ただ、それは「自分の時間を削って全力でやれば」の話で、もしそんな生活を続ければ、早々に心が疲弊するに違いない。寝る時間もそうだけど、人と会う時間や、自分の決めた課題に集中する時間、プライベートな時間など、お金や仕事のやりがい以外にも、自分がやりたいことはたくさんある。

 もし、心が疲弊すると、次にくるのは仕事へのモチベーションのダウン。そして、モチベーションがダウンすると目の前の仕事への意欲や集中力みたいなものが削がれてしまい、結果として、ミスも連発される可能性が高まり、よい成果物はうまれない。すると、収入にも支障がでるし、仕事が好きではなくなってしまう。

 それに、個人事業主は身体が命。もし、今僕が倒れてしまったら、今抱えている依頼者はどうなるのだろう?迷惑がかかるのは目に見えている。だから今は、補助者、使用人、あるいは共同受任など、個人事務所としてできるリスクヘッジはしている。もちろん、法人化なども選択肢としてはある。

 一方で、自分自身、変なこだわりがあるのも事実。それが、選択肢を狭くし、この課題を難しくしていることも自覚している。

 もし、たとえば法人化するならば、営業・事務担当双方において同じ視点・同じ次元で捉えることができないといけないし(深い信頼関係が構築できること)、依頼者が求める内容を実現できるシステムを共有したい(担当者レベルで結果が変わりうる属人的な事務所ではないこと)。それでいて、関わるメンバーが全員しっかりと収入を確保できて、自分たちの生活レベルを向上させていけること(収入面の安定)。

 僕は我ながら人見知りな方だと思うし、友人からはなかなか心を開かないとよく茶化される(笑)。気難しい根暗なんです。でも、くだらないようだけれど、同じ空間で仕事をしたり、多くの時間を共有する以上は、そういった性格の相性とかは、仕事の連携の面でモロに影響するのもこれまでの経験でわかる。

 いずれにしても、依頼者第一で動けるメンバーが揃った、いわば「チーム」みたいなものは、開業して何年も経つけれど、明確に答えのでない難しい課題といえます。法人かどうかとかそういう形式的な体制にはこだわらない。依頼者にとってベストな選択肢を模索しています。

 当時、「要検討」と書いているけれど、こればかりは今も要検討ですね。自分が10年後にどうありたいのか、そこから今を見つめるという作業は、本当に重要に思います。

【6】営業と事務担当、立場ちがうから!

 【5】に関連しますが、ステージというものはいくつかに分けられると思っています。アメリカのある経営コンサルタントの書籍で部族に関するステージの話があって、それを個人的に今の自分の仕事に置き換えたらこんな風になるのではないかと(※僕も受け売りなので、違ったらすみません)。

1 未来なんてないと絶望している段階
2 自分は被害者であると外部に敵意を抱く段階
3 自分の成功にばかり重点を置く段階
4 自分と仲間の成功に重点を置く段階
5 人生自体が素晴らしいと思える段階

 たとえば。将来がみえなくて何をしていいかわからない人生絶望状態の時期が「1」、1を脱するため行政書士試験でも受験しようと思って始めたものの、なかなか結果が出せない時期(あるいは、合格したがその先が見いだせない時期)が「2」、個人事務所として独立開業し他人の幸せがどうこうより自分の売上等に躍起になる時期が「3」、ある程度仕事が増え、補助者や使用人など自分以外の仲間と一緒に成功を目指す時期が「4」、もう純粋に人生や他人それ自体を愛することができる時期が「5」、というイメージでしょうか。

 そして、各段階で形成される文化は5が最も優れており、次に4、次に3というように下がっていく。重要なのは、今いるステージから別のステージに移るときは、「良し悪しの基準」、いわば「常識」だとか「価値観」のようなものがガラッと変わるというのです。

 たとえば、「3」のステージにいるとして、依頼者から「急ぎ目で対応をお願いします!」と言われたとします。1人事務所には、定時なんてありません。かけがえのない依頼ですから、徹夜してでも一気に仕上げていきます。「〇〇先生は、いつもスピーディに対応してくれるから安心です。助かります!」なんて言われたら、もう嬉しくてたまらない。

 このとき、「その日のうちにすべてを終わらせるという美学」という価値観が根付きます。

 でも、これが「4」のステージに移行したときに、こんなことが起こります。

所長 「今日中に仕上げたい。」
職員 「今日はもう6時ですよ。明日やっても、申請タイミングは変わりませんよ。」

 このとき、所長(営業)、職員(事務担当)は、同じ事象に遭遇しているのに、頭の中はまるっきり考えていることが違うわけです。

【所長のアタマの中】=顧客満足度(外)
◆ 依頼者に「明日申請できます」と今日中に伝えたいんだよ。その安心感こそが自分が築いてきた信頼関係なんだよ。
◆ 今すぐ書類の中身チェックしてくれよ。もし、何か不足していた場合、明日になってこれがないあれがないって言わないといけないじゃないか。
◆ 連絡が明日になったりそれで何かミスが発生したら、「先生らしくないミスですね」とか言われちゃうじゃないか!責任とるのは俺なんだよ!
◆ あぁ、でも、定刻すぎると残業代も発生するし、無理強いできないし。
【事務担当のアタマの中】=成果物の完成度(内)
◆ 明日処理して、明日持っていけば、申請完了できるじゃないか。結果的に変わらないから、今日慌ててやる必要もないでしょう。
◆ 依頼自体がギリギリなんだから、資料不足していたらそう伝えればいいじゃないか。ほかにもやらなきゃいけないこともあるし、予定が狂う。
◆ もしミスが生じても、責任は所長がとってくれるだろう。ただ、ミスすれば怒られるし、書類をきちんと作ろう。
◆ 残業するなら残業代。でも、今日、友達と飲み会なんだよなぁ。

 まぁ、これは極端な例ですが(笑)、僕は、どちらの立場も経験したもので、どちらもよくわかります。

 立場が変われば、見ているものが変わる。

 所長は、「目の前の仕事で結果を出すことはもちろん、どうすれば依頼者が喜んでくれるか、先々もうちを選んでくれるか、そのためにどうすべきか。責任はすべて自分がとる。」、そんなことばかり考えます。

 一方、職員は、「ミスなく申請書類を完成させて、申請を完了させる。そして相応の給与をいただく。なにもないよう注意するが、万が一なにかあれば、所長が何とかするだろう。」、そんなことを考えます(そうではない方もいるかもしれませんが)。

 つまり、「3」から「4」へ移行するときは、それまでのシステムや価値観それ自体が、ガラッと変わる、変わらざるを得ないタイミングがあります。人事マネジメントや事務所運営のテキスト、あるいは、大学の講義でやる経営組織論のような抽象化された概念が、現場ではまるっきり役に立たないのは、このステージの違いを無視しているものが少なくないことも一因にあるのではないかと。

 僕が以前犯したミスは、このステージの概念を考えず、補助者等、自分と一緒に仕事をしてくれる人に、「3」のステージ、つまり、「僕1人の個人事務所ならこうしてきた」という「4」のステージには関係のない「マニュアル」を共有しようとしたことです。

 実務ノウハウとしての共有はともかくとしても、仕事の方針や進め方なども個人事務所のやり方を適用しても、チームとしてうまくいきようがありません。が、走っている最中は、そんな悠長なことは言ってられない!仕事は目の前に溜まっているんだ!という感じで、「4」のステージならではの仕組化を怠ったわけです。

 こうしてアタマで考えているときは、

営業側は事務担当の立場にたって、しっかり事前に情報共有しながらゆとりあるスケジューリングをすればいいし、事務担当側も所長の立場にたって、おそらくこういうことを考えているんだろうなと先回りして考えればいい。それが信頼関係であり、チームプレイだ。

と、単純に言えてしまいます。が、生身の人間。そんなに簡単な話ではありません。本来、「依頼者のために、最善の策をチームで対応する」という目標が、「チームとしてうまくいかせる」ことばかりに躍起になってしまい、本来の目的を見失いがちになります。

 ところ変われば、考えも変わる。

 その意味では、もし、本格的なチームづくりをするならば、「片方が片方に依存する関係ではないこと(相互自立)」、「自分で営業し、自分で事務処理をするという一連の作業を経験していること(実務経験)」の双方を満たしていて、かつ、「仕事に対する目標や理念が共有できること(理念・情熱)」。よって、心から信頼できる関係性であることが、必須になるかと思われます。

【7】「お前の醤油ラーメン」を作りたいんだろ?

 ということで、最終テーマです。

 もし、本格的なチームづくりをするならば、「片方が片方に依存する関係ではないこと(相互自立)」、「自分で営業し、自分で事務処理をするという一連の作業を経験していること(実務経験)」の双方を満たしていて、かつ、「仕事に対する目標や理念が共有できること(理念・情熱)」。よって、心から信頼できる関係性であることが、要件になるかと思われます。

 と先程書きましたが、実際、これが実現するのは相当の確率です。そんな人、いる!?という話です。自立していて、実務経験があって、理念が同じでも、心から信頼できるかどうかは別問題ですからね(笑)

 だから、こういうときこそ、「この仕事についた原点」に戻るわけです。

どうして行政書士とか、資格をとろうと思ったのか。
どうして独立開業したのか。
どうしてこの業務をしているのか。
それで、将来どうしたいのか。
そのために、今、何をすべきか?

 この、禅問答のような作業は、事あるごとに考えないといけないと思っています。

 これまで組織化の話を挙げてきましたが、今の時代は、むしろ「1人で稼ぐ時代」に入っています。インターネット、スマホはもちろん、このブログやTwitterのようなSNS、あるいは、You tubeのような動画媒体など、やろうと思えば、個人でいくらでも稼げる時流にあります。好きなゲームをしてお金を稼いでいる(それも莫大な)人が、世の中にいるわけです。

 外国為替証拠金取引(FX)、株式といった投機・投資など資本集約型の分野でも、今や、プロのディーラーの専売特許ではなく、僕たち素人個人ですら簡単に始められるどころか、トレード環境もかなり充実しています。

 そんな時代にあって、労働集約型の行政書士(広く士業)である理由、動機。どこかで雇われる生き方もあったろうに、それをせず、わざわざ高いテナントを借りて、開業者として活動する理由。必ず、お金とかやりがいのみならず、それ以外の動機がある(あった)はず。

 その原点を忘れさえしなければ、行政書士事務所の運営自体はできるでしょうし、そもそもこう思うわけです。

世の中は、味噌ラーメンとかとんこつラーメンが人気だ。だから、味噌ラーメンやとんこつラーメンをメニューに入れれば、売上はあがるかもしれない。でも、自分は、「最高の醬油ラーメンを追求したくて独立した」んだから、他人がどうあれ、自分の目指す味をひたすら追求すればいい。

 書斎から出てきたスケジュール帳を見返しながら、少々、長いnoteになってしまいました。本日もお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

 

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