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卵を”物価の優等生”にしたのはメディア

 私たちが口にする食べものの中で、「鶏肉」と「卵」は別の市場で取り扱われます。それが荷受市場です。卸売市場が”セリ”により価格を決定するのに対し、荷受市場では集荷担当会社が、日本全国から取りよせ、生産者と消費者との間での取引に相応しい価格を決定する仕組みが採られます。言ってみれば「仕入れ担当」会社が価格を決定するわけです。

本当の価格

 日経新聞では、毎日、マーケット商品面で価格動向を知ることができます。

※”と体”とは羽や血をはぎ取った状態のこと、”正肉”とは皮や骨を削いだ状態の鶏肉のことを言います。

 全農たまごM寸が「●円(高値●円、安値●円)」で取引されていることを掲載しています。この金額は1㌔あたりの金額(最上部に記載)とあります。卵1個あたりの重さは60グラム前後ですから、10個詰めパックがほぼ2つ分ということが分かります。この原価、意外と安く感じるでしょうか?あるいは高いと感じるでしょうか?

 ともあれ、報道されている「●●円になりました」は、ほぼ2パックの価格だということを知っておけば、原価や維持管理費などを推定できます。

【参考】卵のサイズと重さ
・LL;70~76g未満/個
・L;64~70g未満
・M;58~64g未満
・MS;52~58g未満
・S;46~52g未満
・SS;40~46g未満

物価の優等生

 小売価格や物価の優等生として仕立て上げたのは、言うまでもありません。マスコミです。
 卵が客寄せ商品として打ってつけではありますが、それを以て優等生にしたのはマスコミです。

 企業努力があるのに、それを報道せず「優等生であるべき」と仕掛け、価格が上昇すると一様に”おもいも寄らない物価高”と煽る始末にうんざります。

 卵の価格が上昇する要因は主に2つです。需要用供給のバランス(季節的なもの)です。
・夏は産卵数が減少
・冬は需要が増加

であるのに、「物価高の影響」だとか、ほかにも「●●も値上げです」などと、値上げ報道を連発することで、消費者意欲を削ごうとするメディアにはうんざりするばかりです。

業務用

 卵を加工した商品、たとえばマヨネーズなどを作るために必要なものは「規格外」、特別な用途として成分、栄養素、見た目にこだわったものを「特殊物」として価格を表示しています。

 直接的な影響がなくても、食材の価格が高騰する理由を知ることは、景気・経済感度を鍛える役に立つことは間違いありません。


ここまで読んでくださってありがとうございました。
ほかにも「日経新聞の読み方」を綴っています。


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