見出し画像

道路の拡幅予定地に新築建物を見かけて想像してしまうこと

昭和の高度経済成長期に都市計画決定(以後「都決」といいます。)され、その後事業化することなく道路の拡幅整備が長期未着手となっている都市計画道路がいっぱいあります。

そんな未整備道路の沿線で都決後に建てられた建築物の多くは、将来的な官民境界となる都決線までセットバックして建築されています。
いずれ道路工事に支障となるため、撤去しなければならないからです。

ところが、セットバックすることなく都決線を飛び出して、新築された建物や建築中の現場を見かけることもあるかと思います。
都市計画道路の予定区域内では、都市計画法で将来における事業の円滑な施行を確保するため、建築行為に対する制限が課せられているのですが、なかには違法建築ではないかと疑ってしまう物件も見受けられます。

ちなみに都市計画法では、第53条に建築の許可に関する規定、第54条にその許可の基準について次のように定められています。

都市計画法第53条(建築の許可)

都市施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。(以下略)

出典元:帯広市HP

都市計画法第54条(建築許可の基準)

都道府県知事等は、前条第一項の規定による許可の申請があった場合において、当該申請が次の各号のいづれかに該当するときは、その許可をしなければならない。
(一~二号略)
三 当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること。
イ 階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと
ロ 主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること

出典元:国土交通省HP

これらの条文から、都市計画法第53条に基づく建築等の許可申請があった場合、その許可基準である第54条に定める要件を満たしていれば、これを許可しなければならないと規定されていることが分かります。

この要件のうち「容易に移転し、又は除却することができるもの」について補足すると、物理的にも経済的にも容易であることが求められます。
この辺の不許可にすべき基準を明確に定め、かつ自信をもって運用している地方自治体はないと思いますけど。

いつの日になるか分かりませんか、この53条許可を受けた建物等は、都市計画道路事業の認可を受けて事業化した後、道路用地の取得に伴う支障物件となってしまいます。

そして恐らくですが、起業者の用地担当職員さんは、移転補償の妥当性にきっと悩まされるのだろうと想像してしまうのは私だけでしょうか。

元祖クマヤキを味わいながら、こんな思いを馳せらしています。
個人の感想ですが、クマヤキおいしいですよ。

網走郡津別町 相生名物 元祖クマヤキ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?