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vol.9「iDeCoの有効的な受取り方の話し」

 基本的に、個人型確定拠出年金(iDeCo)には 3 つの税優遇があるとされていますね。

・積立時(掛金全額が、小規模企業共済等掛金控除であり、所得税住民税が軽減)
・運用時(運用益が非課税)
・受取り時(一括の場合は退職所得控除、分割の場合は公的年金等控除)

 現役時代(積立時)の所得控除は単に「繰り延べ」であり、将来、受け取るときに課税される可能性があるわけです。なので、受取時は一時金で受け取るのか、年金で受け取るのか、併給(「一時金+年金」という意味。ここは金融機関による)とするのかは非常に重要です。

  肝心のiDeCoですが、現状65歳未満まで加入(掛け金を出せる期間)でき、ここが70歳まで延長予定という話です。65歳まで厚生年金に加入していれば加入(掛け金を出せる期間)できますし、国民年金が40年に満たないときは、60歳~65歳までの任意加入ができますが、それをする場合には、現状では上乗せで65歳まで掛金投入できます。そして、受取開始期間は60歳~75歳とされていて、この間で選ぶことができます(ただ、加入期間が10年必要)。先にもお話ししたとおり、iDeCoは「一時金、年金、併給」が選べるわけですが、このうち一時金で受け取る場合、退職所得控除の対象となります。退職所得控除から振り返りましょう。

 退職所得控除は、勤続年数が20年以下だと、40万円×勤続年数(20年以下)であり、それを超えて、勤続年数が20年超だと、「40万円×勤続年数」に加えて、+70万円×「20年超の勤続年数」です。 例えば勤続年数10年2か月の人の場合、退職所得控除の計算は 40万円×11年(2ヵ月は1年に切り上げ)= 440万円。勤続年数が 30 年の人の場合、退職所得控除の計算は、800 万円+70 万円×(30年-20年)=1500万円となります。仮に、勤続 30 年で退職金の額として 2000 万円受け取れる方がいらっしゃったとします。この場合、退職所得控除は1500万円ですから、
(2000 万円-1500 万円)×1/2=250 万円が課税対象です。

  これが、退職金を一時金として受取る際の所得税額ということになるわけですが、先にもお話しているとおり、退職金(ここではiDeCo)は、「一時金、年金」かが選べるわけで、それにより税金の取られ方が異なるのですね。

 まず注意したいのは、年金で受け取ると公的年金等控除の対象となりますが、年金で受け取る場合、社会保険料も増えてしまうので、おそらく一時金で受け取るほうがメリットは高いのではないかと思います。また年金で受け取る場合、確かにiDeCoであれば受け取っていない金額は(非課税で)運用されて増える可能性もあるわけですが、年1だけでなく、年4回、年6回とかにすると、振込手数料440円が振り込みの度にかかりますし、また、口座管理手数料が毎月66円かかるわけであり、年金受取はあまりメリットが薄いかもしれないのです。なので、iDeCoは一時金で受け取ったほうがいいのではないか(今なら、受け取った一時金を新NISA制度にも回すこともできるし)と思うのですが、ここで問題があって、それが退職一時金がある方なのです。

 例えば公務員の方など、退職金がある場合で、iDeCoを受け取る場合に、退職金とiDeCoにそれぞれ退職所得控除があればいいが、そうではなく同時に受け取る場合は、勤続年数と加入年数の長いほうを選択し、退職所得控除は1回しか使えないわけですね。なので、iDeCoと退職一時金が両方ある方は、受け取り方を工夫しないといけないのです。

 この退職一時金とiDeCoがある場合において、退職所得控除の合算には大原則があります。

・退職一時金が先にもらい(例えば60歳)、iDeCoを後にもらうとするなら、前年19年以内であれば一つの退職所得控除とする
・iDeCoを先にもらい(例えば60歳)、退職一時金が後にするなら、前年以前4年に受け取っていたら一つの退職所得控除とする

つまりは、
ケース1:退職一時金とiDeCoを同じ年に同時に受け取る場合
ケース2:退職一時金を60歳で受け取り、一年ずらしてiDeCoを一括で受け取る場合
ケース3:退職一時金を60歳で受け取り、iDeCoを年金受取する場合
ケース4:iDeCoを60歳で受け取り、退職一時金を65歳で受け取りする場合※ここは、退職一時金を55歳で受け取り、20年空けてiDeCoを75歳で受け取ると同じになる。

次回上記ケース1〜4について解説します!

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