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『トピアリー/楽園市街+初音ミク』の個人的な解釈と考察

 皆さま初めまして、緊音です。緊い(きつい)音と書いてきつねと読みます。
 本記事は私の初投稿となりますので色々拙いところ、至らないところなどあると思いますが、それよりも私の愛が伝われば良いなと思っております。
 
 そして、この記事に辿り着いてくださった皆さまありがとうございます。
 しかしながら、ここから先は私の恥ずかしい、本当に恥ずかしい二次創作になります。私の物語についての性癖や、希望的観測を多分に含んだ解釈、誇張表現も頻出すると思われます。
 自分の解釈を壊したくない人や、単に他人の黒歴史を見るのが嫌だと言う方はブラウザバックをおすすめします。




 さて、ここからが本題です。先ほど書きました通り、この記事は私の愛する作品、楽園市街の『トピアリー』について、歌詞や映像から私が妄想した物語を文字に落とし込んだものです。
 かなり衝動的に書いたので因果関係がぐちゃぐちゃだったり、無理につなげている部分も現れてしまうかもしれませんが、そんなことはどうでも良いんです。

トピアリーの良さが、みんなに伝わってほしい

それだけが私の願いです。




 また、本記事を読んでいただく前に、ひとつお願いがあります。
 
一度、一度でいいのでトピアリー本家を聞いていただきたい。

 難しく聞かなくていいですから、楽園市街の作品の世界観や、ストーリーの雰囲気だけでもなんとなく感じてから読んでいただきたいです。
 下にリンクを貼っておきます。

YouTube:https://youtu.be/2CsTRvr2Urg

 ニコニコ動画:https://nico.ms/sm35952757




 聞いてくれましたか?



 


 聞きましたね!!
 良くないですか!?良すぎないですか!?!?!?
 
 これが正真正銘、私の1番好きな作品です。



 
 それでは私の考えた物語をこれからお話しします。楽しんでいただければ幸いです。なお私が考えた部分は地の文で、

歌詞の引用はここに書いていきます

 歌詞に則って物語を進めていきます。
 よろしくお願いします。



 ……と、その前に事前知識をひとつ。
 皆さんはトピアリーって何か知ってますか?
 私はこの曲に出会って知ったのですが、トピアリーとはお屋敷のお庭にある、動物などの形に刈り込んだ植物のことです。


Wikipedia「トピアリー」の記事より

 動かないけど美しく、そして生きている芸術。
 この物語のタイトルに「トピアリー」を選んだ楽園市街は本当に天才だと思います。

 さて、前置きはこのくらいにして、お待たせしました。ここからやっと私の黒歴史になります。頑張ってるので大切に読んでやってください。





補足:作中の「貴女」は歌詞に倣って「きみ」と読みます






慊焉的な蒙昧さゆえ
眼が辷るような最終話が
回送列車の中、揺られている

慊焉的な蒙昧さ:満足に物事を知らないこと

 こんなことは間違っている。僕は止まらなくちゃいけない。
 頭ではわかっているのに、僕の蒙昧はこれを打ち消し、視界を奪った。今は貴女のことしか見えない。
 僕の幸せだった生活は終点を超え、誰も乗せずに走り出してしまった。もう誰も止めることはできない。


鮮明な夢のような、損な感覚
心拍する掌上の中
貴女の首を、ただ絞めている

 ベッドの上の貴女は穏やかな表情で、どうしようもないくらいに美しかった。
 手のひらに収まるくらい細い首を包むように、力を込める。汗の滲む手の甲から血管が浮かぶ。
 貴女は動かない。
 呼吸が荒くなる。
 心臓の音がうるさい。
 それとは反対に、手のひらに感じる鼓動はだんだんと弱まり、そして、止まった。
 やってしまった。
 「ふぅ……ぅう…………ぅぅ……」
 全身の力が抜けるような気がした。手を離すと、貴女の首には僕の手の形に赤くあざが残っていた。僕が、貴女を殺した証拠。
 涙は出てこなかった。


博奕な恋
思い出は重い手で終わらせなくちゃ
未だ 硝子の管で日々を繋いでいる

博奕:博打と同じ意味

 思えば最初から上手く行くはずもなかった恋なのだ。
 死にたい貴女と永遠に暮らそうなんて、間違っていたんだ。
 貴女との毎日なんて脆い硝子の上を歩くようなものだった。いつ壊れてしまうかもわからない。
 だから、僕が終わらせるしかなかったんだ。

 終わらせるしかなかったんだ。

 貴女は目を瞑ったまま、手をお腹の上で組んだまま、裸のまま、動かない。
 
「綺麗だ」
 
 そう口に出した瞬間、猛烈な後悔に僕は襲われた。
 肩に鉛のようにのしかかり、僕は下を向いてやっと涙をこぼす。でも、この涙は貴女のためじゃない。僕は、自分自身のために泣いているのだ。
 二度と起きることのない貴女は、僕を責めることも慰めることもしてくれない。
 部屋は静かだった。
 

最低な言葉を贈るよ
「僕なんて、死ねば善かった。」
最近は屹度だけ、貴女を手繰るだけ

 後悔は僕の中をぐるぐると巡る。
 こんなことしなければ善かった。貴女との未来を願えば善かった。貴女と出会わなければ善かった。
 僕がこんなことを願うのは間違っている。

「僕なんて、死ねば善かった」
 
 口に出してしまっても、貴女が生き返るわけもないし、何か起きるわけでもなかった。
 それでも、貴女が死ぬのは間違っている。貴女は死ぬべきじゃない。貴女は生きているべきだ。貴女は生きているべきだ。貴女が死んではいけない。

心臓も眼球も鼓膜も
貴女の身體に植えられたら

 死ぬべきなのは僕だ。貴女のためと謳って貴女を殺してしまった僕だ。貴女との永遠を願ってしまった僕だ。自分のことしか考えていない僕だ。
 僕が生きていて貴女が死んでいる、こんな状況はありえないのだ。


自嘲していた

 笑みが溢れた。そうだ、こんなのは間違っている。
 これは悪い夢なんだ。僕が貴女を殺すなんてあり得ない。夢に決まっている。
 だから、
「逃げないと」
 僕は、僕たちは逃げることにした。
 貴女が現実に見つからないように隠さないといけない。ベッドの上の貴女を抱きかかえると、腕はだらんと垂れ下がった。動かない貴女は運びやすかった。
 貴女が気に入っていた白いワンピースを着せて、誰にも見つからない場所へ。

 腕の中で眠る作り物のように美しい貴女は

 まるで

「トピアリーみたい。」


 



見世物に成り果てるなら
一層の事、贋物になろう
花奢な指先に触れている

 貴女のことを誰かが見つけたら、きっとたくさんの人に知れ渡ることになるだろう。
 だから、このことは周りの人には秘密にしておくことにした。聞かれたときは、貴女は少し体調を崩していて、家から出られないと伝えた。
 貴女は僕の愛する人なんだ。貴女の指先に触れ、僕は微笑みかける。
 僕たちは幸せな二人なんだ。贋物だったとしても。



辺鄙な好意
後悔とも呼べないような喪失感を
貴女を諦めきれず無為に縋っている

 ──こんなのは間違っている。
 ──僕は気づいているはずだ。
 ──そんなことで貴女の喪失は無くならない。
 ──こんなことをしても無駄だ。
 ──足掻くのはやめろ。
 ──目を覚ませ。


最低な日々を送ろう
誰にだって邪魔が出来ないような
二人きりの逃避行 貴女を拐って擧げる

 何日経っても夢から覚めることはなかった。
 それでも僕は貴女に笑いかけた。毎日、毎日。
 貴女は何も返してくれないけれど、それでも僕は幸せだった。

 頭の中で何かが叫んでいるような気がしたけれど、全て奥へ押し込めた。邪魔はさせない。
 僕たちはどこまでも逃げ続けた。



死にたいなんて云う洗脳を
僕が取り払えるように

 夢を見た。少し前の回想。

『私ね、幸せに死ぬのが夢なんだ』
 テーブルを挟んで向いに座る貴女は唐突に言った。
『死ぬなんて簡単に言わないでくれ』
『でも、人生に一度しか経験できないなら、それは幸せな方がいいと思わない?』
 貴女はその後も、死について語ってみせた。
 何年も前から貴女は考えていたみたいだ。貴女の思考はどこまでも煮詰まって、まるで死を神聖視しているようだった。僕はあまり聞きたいと思えなくて、ぼーっとしながら天井を見つめていた。

 『私、今幸せなの』
 その声でハッと僕の意識は引き戻された。
 貴女は僕の目をじっと見ていた。
 その目が言おうとしていることは、嫌ってくらいにわかった。
 『貴女が死んだら僕は嫌だよ』
 貴女は何も返してくれなかった。


薬剤とC2H5OH(エタノール)
さあ、飲み干して

 それから僕の頭は、貴女のことでいっぱいだった。貴女との日々がもうすぐ終わる。貴女の自殺によって。
 それでも楽しげに笑う彼女のことが僕にはわからなくなってしまった。そして、そのことに苛立つ自分にも気づいた。
 そして、僕の知らないところへ貴女が行ってしまう。それが何よりも怖かった。
 だから、僕は貴女を助けるつもりで。
 僕は準備を始めた。
 貴女が死ぬ前に、僕の手で終わらせてあげなくちゃ。
 僕は、睡眠薬と、お酒とを用意して、混ぜ込んで貴女に飲ませた。





縦横無尽にきらめくライト
鳴り響く巡回車 警笛

 目が覚めた。白昼夢。
 いつのまにか眠ってしまっていたらしい。
 カーテンを開くと、外には赤色の点滅が群がっていた。
 誰かに気づかれた?いや、そんなはずはない。だって貴女はこんなにも綺麗なままなんだから。
 でも、もし見つかったのだとしたら、捕まるわけにはいかない。
 だから、 

「じゃあ、逃げよう?」
凡てを振り切って

 逃げるんだ。二人で。





 真っ暗な視界の中、貴女と向き合って座る。身體が触れ合うぐらいの距離。僕は貴女の手を繋いだまま、話しかける。

「赤熱の火焔なんかよりも、
 三六度五分の方がずっと温かいよ。
 間違っているかな。」

 本当はずっと分かっていたんだ。貴女は死んでいて、殺したのは僕で。

 逃げていたのは僕だけなんだって。

 僕は貴女に理由を押し付けて、貴女を思い通りにしたかっただけなのかもしれない。間違っていたんだ。最初から。
 それでも、火葬場で燃える貴女なんて想像したくもない。
 そんなのよりも僕と一緒にいたほうがきっと幸せだ。
 いまだにこんなことを考えてしまうんだ。

ふたりきりでえいえんにいようね
はぐれないようにてをつないで

 握る手をそっと強めた。

離さないでいて?




白い脂肪も筋肉組織も
吐き出しそうな鉄の匂いも
鼻腔が遮って愛惜しく感じている

 貴女の崩れはじめた身體も、僕には美しく見えた。
 貴女の首に残っていた証も今は溶け出している。
 放っておいたら、形を崩してしまうトピアリー。
 手入れをしないとぐちゃぐちゃになってしまう。
 僕のした手入れは正しかったのだろうか。


悲劇的な喜劇の最後は
盛大な拍手とフィナーレ

 玄関を叩く音が拍手のようだった。
 貴女は僕の方をじっと見ていた。
 ──幸せ?


逃避は大健闘

 僕は、精一杯幸せを引き延ばしたんだ。
 だから、まあ、よくやった方だろう。
 バタバタと人の足音がする。
 「もう終しまいみたいだ」
 扉が開く。あかりが差し込む。
 抱き合う僕たちを照らし出す。

クローゼットにて




うわぁぁぁぁぁぁあ〜〜〜〜良い〜〜〜〜

 我ながら良い創作だな!

 以上が僕の妄想した物語です。
 2番の歌詞の時系列がいろいろ取り方があると思いますが、僕は回想として解釈しました。
 
 「トピアリー」というタイトルは、生きているけど動かない、そして美しいけど手をかけてあげなくてはいけない。そんな彼女の遺体を指す、素晴らしい、素晴らしすぎる言葉だと思います。
 本当にヤバいです。

 ラブソングが苦手な私にとってはこんな形で恋愛を歌にのせるこの曲は衝撃的で、一撃で心を奪われました。
 僕の人生にとって最高で最悪のラブソングです。

 
 ちょっとだけ解説をします
 まず、ざっくりストーリーをまとめると、
同棲している男女2人、女性のほうが自殺を仄めかしたから男性がその前に殺害、家の中で普通の生活を装ってしばらく暮らす。しかし、近隣住民に気づかれて通報、クローゼットの中に2人で隠れるが、最終的には見つかってしまった、という感じです。

 近隣住民にバレたのは、「白い脂肪〜」の辺りから分かる通り、腐り始めた彼女の体から発する匂いによるものと考えられます。しかし、彼は愛惜しさのためにその匂いさえシャットアウトしてしまって気づきません。

 2番の部分を回想としてではなく、彼女の遺体を処理するものとしても解釈はできると思います。
 この場合、薬剤は防腐剤、エタノールは消毒用に使って遺体を保存しようとしていると思われます。
 これもかなりいいですね。ただ、回想の方が他の歌詞とのつながりも良いと思ったのでそちらを選びました。




 さて、ここまで私の黒歴史に付き合ってくださった皆さん、本当にありがとうございます。
 私の『トピアリー』への愛が伝わり、そして『トピアリー』のことを愛していただけたらもう最高です!!!

 皆さんにも好きな曲があると思います。
 物語を書くことは歌詞について深く考え、愛を深めるとても良い機会になったので、皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

 
 それでは、ここまで大変ありがとうございました!


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