8/11なべりょの件

やあやあ皆さんこんにちは。
今日はタイトルの通りです。なべりょのバントが方々で「栗山また頭栗山」とか言われてるので、常々「栗山監督は意味のないことなんてしない」と思い込んでいる僕は屁理屈をこねてみようと一計を案じた次第です。早速ですが一問一答的な感じでどうぞ。

・勝ちの計算できる上沢でこういう気をてらったことをやるなよ、というご意見
→有原でやったら「有原なんだからこんなことしたら負けるに決まってるだろ」って言いませんか。上沢のエースとして試合を作っていく能力を信じているからこそ上沢でやるのではないでしょうか。彼を高く買っているからこそ、常識に囚われない選択肢も実行できる。

・それにしたって何もカード頭でやらなくても良いじゃん。このカードの流れを決める大事な頭だよ?
→0勝0敗のカード頭だからこそ好き勝手に動けるのでは?仮に負けが込んで後がなくなって切羽詰まってから悪あがきして予定にない動きをするより、これからどうにでもする余裕のあるこの段階でやるから価値があるのでは。カードの流れなんてどうにでも変わります。野球は頭をとったら勝ちのゲームではない。

・実戦でなべりょのバント練習みたいなことするなよ、練習でできてからやれ
→逆。練習でいくらうまかろうが、情況があって、緊張感がある実戦でやるからこそ次に生きてくる。練習は練習で準備であるのは当然として、実戦で実践するのはいちばんの成長の機会です。そこでやるからこそ良くも悪くも数字が残ってくる。良い数字だけ残せば良いという訳ではない。悪い数字が残ることもあるからこそ次に成長がある。

・中途半端な起用をするな、バントしようとするんだったらなべりょを使うな
→固定概念で選手を縛るのを嫌ったのでは。なべりょ=バントはないとなれば相手の対応は自ずと決まってくる。強攻されないように厳しいところをついてくるし、何よりも次がなべりょだと分かっていれば覚悟もされやすくなる。結果「打たれなければ良い」という状況は相手にとって整理された状況であり、なべりょにとって圧の高い状況となる。相手にとってどういう状態が嫌かを考えた時、こういう風にバントをしておけば、なべりょなら強行一択!と言うこちらの選択肢が丸わかりの状態より、「バントもあるかもしれない」と、選択肢を複数与えて絞らせないと言う布石にすることができるはずだし、その布石があればこそ、バッティングでも与し易い場面が作れることにもなる。何より「ヘタクソにまでバントされた」というメンタル上のマイナス要素も付加できる。秘密兵器をチラ見せして持っておくイメージ。

・じゃなんで大田でバントやらないのさ、その理屈なら大田だってやっておけば有利になるじゃない
→それはもちろん大田泰示の能力が故。優劣の問題ではなくて。
すでに大田泰示には「強打の2番」「2番最強論」の先鞭をつけてしまっているということもさることながら、大田はバントによって死んでいくより、三振して死ぬ姿勢の方が結果が出やすい。大田泰示という選手を考えた時、大田にバントされるのと、常に強行でいられることのどちらが怖いか?なべりょよりも失投時の危険性が高い大田は強攻の方が怖いことに異論は出るまい。長打が出やすいということはともすれば後ろに任せずとも得点を期待できるということでもある。その部分においてはなべりょはまだ太田ほどの危険性を持ち合わせているとは言えない。
そして何より、大田がそのことでバッティングを見失ってしまうことを危惧する向きもある。大田はご存知の通り根が真面目で、2番に座るとつい進塁打を狙ってみたり、周りのことに気づいてしまうので、バントをやらせた結果自分の良いところを見失ってしまう姿がこれまでもみられた。序盤2番で起用されながら結果が出せなかったのはご存知の通り。5番である程度好きに振り始めてから復調したはずだ。本来ならそのバッティングを2番ですれば良いだけなのだが、野球IQの高さ故か、2番という打者に収まるバイアスを振り切れない。
だが、なべりょはまだ若く、何よりも栗山監督がその力、野球センスを買っている。だからこそどれだけ打てなくても序盤なべりょを外さなかった。なべりょが積極的休養をとり始めたのは比較的最近、状態がどん底を抜けた後だ。そういうなべりょに、走攻守、どれにも秀でたいわゆる5ツールプレイヤーとしての成長を促す意味も含めて、欲張った選手起用をしているのでは?なべりょならそういう器用さを持っていると。今できなくても、こうやって重い失敗を重ねていくことが糧になる。栗山監督はかつて大谷翔平へ向けて「俺に奪われたことを忘れるな」と言い放っているが、つまりはそういうことなのでは。

・っていうかそもそもバント必要なくない?無駄にアウト献上してさ
→得点のきっかけを掴むためにまず一点をとりにいくということは特に昨日の美馬の調子から考えても十分あり得る。単打のみと言えどヒットや四球は豊富に出ていた現状、後続のコンスケの調子から考えても得点圏にランナーを詰め込んで、その1ヒットでとりうる得点の量を担保しようとしたのでは。もちろんうまくいかなかった訳だが。

・ならなおのことなべりょ使うべきじゃなくない?美馬で一点欲しいって状況になりそうなんだったら素直に中島とか杉谷使っておけよ
→さっきも言ったように、カード頭で、しかもなべりょを使ったからこそということに意味がある。おっしゃる通り中島や杉谷を使って初めからコツコツやっておけば良かったかもしれない。が、できると目されているやつができるのは当たり前のオプションでしかない。できなそうなやつ、下手そうなやつが決めるからエモーションも発生するし、意外性もある。うちは王道の野球だけで生き残れるほど裕福ではない訳で、できるはずのやつができなくなる状況だってここ最近はわりと頻繁に発生する。今後もし中島の膝がまた悪化したら?杉谷をすでに使ってしまっていたら?強打で進めていた試合だったがどうしてもバントで送りたい状況になったら?数多のたらればを抱えて進むペナントレースにおいて、なべりょだからここは強攻「するしかない」という戦術の消極的選択はできるだけ回避できた方が良い。常に複数の選択肢を用意することはリスクマネジメントとしてあり得る。それを何もここで、という話であれば、逆にそういうリスクの高いと分かっている戦術を試すのに良い機会、つまり捨て試合を作っている余裕など現状どこにもないのでは?

あえて昨日のなべりょの扱いを好意的に解釈するならば、上記のように、今後に向けての布石だ。栗山監督の起用は常に何かしらの考慮、特にその先に向けての布石という向きが多い。今回明らかにスタメンに長打を求めてラインナップしたにもかかわらず、2番なべりょに明らかなつなぎの役目を求めてみた訳だ。
これまでのことから考えても、栗山監督は個々の選手に「○○だけ」の選手であることを求めてはいない。つなぎだけ、カットだけ、出塁だけ、1巡だけ、最初だけ、直球だけ…。監督はなべりょだけでなく、選手たちには複数の役割を求めているのでは?そうであれば守備位置をコロコロと変えてみたり、打順を様々に組み替えていくことにも個人的には合点がいく。
そして付け加えるならば、なべりょもそれを理解しているから最後まで高い集中力で試合に臨むことができたのでは?本当になべりょに突然想定外のバントを指示しているならもっと困惑した表情や、試合の流れとして何かが大崩れしてもおかしくない。が、これまでもファイターズにはこういう外から見れば無謀とも見える栗山監督の采配が降りかかっているにもかかわらず、なんだかんだで数年置きに優勝するチームになっている。ここ最近はそのサイクルが崩れ始めているのが明白なので監督が叩かれ始めているだけでは。要は勝てば官軍である。
そもそも上記のように、栗山監督並びに首脳陣の中で昨日の采配には合理的な理由があったと考えることも当たり前にできる訳で、別に試合を捨てたわけでも、相手をおちょくったりふざけていた訳でもない。ごく当然の勝てる野球への布石として昨日のなべりょバントはあったのではないか?
選手についたイメージ(直球破壊王子とかいうダサいやつ)を逆手にとったとか、もし失敗してもリスクの少ないカード頭のエースの試合でやってみたとか、意図を見つけることは可能。もちろん負けてしまったことに関してはそういった首脳陣の意図が裏目に出たというところを否定できはしない。が、無意味であるとか、無能であるとか、暴走であるとか、そう言ったことは全て見ている側のバイアスによって歪められた見方の域を脱しない。僕らファンは現場で起こっていること、思考されていることのほんの少ししか見ていないのだから。
僕らはファイターズが好きであるが故にこうやって悪者を探したり文句を言ったりしがちだ、もちろん僕も含めて。
でも当たり前だが負けたくて策を弄す奴などいない。栗山監督はいつでも勝ちに行くためにいろんなことを考えている。今回のように結果が出なければ批判に晒され、勝てば選手がもてはやされる。もはや仕方のないことではある。

そして僕は時折こうやって批判的な言論に対して天邪鬼的に反発したくなる性分の持ち主で、こうやってやることによって「僕だけが皆が噛み砕けない事情まで分析して分かっているのだ、ふふん」とアリのような自尊心を満たして満足してしまうのである。

そう、僕は典型的B型気質なのだ。ふふふ、僕は分かっているぞ。
がんばれファイターズ。頑張れ栗山監督。

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