チャゲアスがきっかけでエイス・オブ・ベイスを好きになった思い出
初めて買ったCDはチャゲアスだった。私は小学生の頃チャゲアス(チャゲ&飛鳥)が大好きだった。1980〜90年代の人気デュオ。
渋くてセンスが良い!と思われるかもしれないが、小学4年生くらいだった私は、ただ単に飛鳥の顔がとてもかっこいいと思っていたのだ。
その頃学校ではSMAPや福山雅治が人気だった。
当時『101回目のプロポーズ』というドラマがものすごく流行っていて、たくさんの女子は観ていたが、その主題歌もチェゲアスのSAY YESだった。イントロからもう泣ける。
私にとって初めて買ったCDはチャゲアスのYAH YAH YAHだ。当時は長細いシングルのCD。何度も聞いていたので、今でもあの曲を聴くと小学生だった当時を思い出す。
「今からそいつを殴りに行こうか」というフレーズが子供心に斬新で、なんだか勇気の出る、とてもポジティブな歌として印象に残っている。
私は現在41歳。イギリス留学中に出会ったイギリス人の夫と、日本の大分で英会話教室をやっている。
ふと「いつから海外や英語に興味を持ったのだろう?」と原点を知りたくて思い起こしてみると、「チャゲアスがきっかけだ!」と最近気がついたのである。
チャゲアスは当時、日本で絶大な人気を誇っていた。その歌唱力、パッション溢れる歌い方、キャッチーなメロディ、どれをとっても申し分なかった。
そこで私は、チャゲアスの出ているテレビはできるだけ全て録画して観るようにしていた。
今でもよく覚えている。いつものように録画しておいたチャゲアスの番組を観ていたある日。
海外の音楽祭にチャゲアスが出ていて、欧米のそうそうたる出演者と一緒に、素晴らしいステージを披露していたのだった。(今調べてみると94年のモナコ音楽祭だった)
そのテレビを観ていて、「さすがチャゲアス」と通常どおり鑑賞しながら、私は突然、次に出てきた他のバンドに釘付けになった。
交互に二人の女性ボーカルが映し出される。ブロンドの女性が歌う姿も、ブルネットの女性の歌声も、澄んでいて惹きつけられる。まず、「こんな美しい人達がいるんだ」と思った。後ろで踊っている二人組のいかつい男二人もイケメンだった。
私は前のめりになって画面を凝視していた。
メロディーはポップでリズミカル。一度聞いたら忘れられないサウンド。
そのバンドは、エイス・オブ・ベイス。Ace of Base。スウェーデン出身の4人組音楽グループで、その時『The Sign』という歌を歌っていた。
それからはAce of Baseの虜になった。同時になんとなくチャゲアスへの熱が冷めてしまったこともよく覚えている。
もちろんチャゲアスも変わらず良いとは思うのだが、やっぱり英語のサウンドやポップなリズムに心惹かれて、その後はお小遣いを貯めたらAce of BaseのCDを買うようになってしまった。(お小遣いには限りがある)
まるでパンドラの箱を開けてしまったようだった。
その頃はインターネットもスマホのアプリもない。
エイス・オブ・ベイスを好きだと思ってからは、CDの洋楽のコーナーをチェックして新曲が出ていないか確認していた。
近所のTSUTAYAにビデオを借りに行った時、(当時はビデオをレンタルするのが全盛期の時代だった)不意にエイス・オブ・ベイスの曲が流れてきた。
声を聞いてすぐにピンときた私は、店員さんに声をかけ、「この曲はエイス・オブ・ベイスの何ていう曲ですか?」と聞いたら、店員さんが確認して、メモした紙を渡してくれた。
それを大事にしまっておいて、次にCDを買う時に持って行った。幸いにもエイス・オブ・ベイスは、その頃日本でも人気の音楽グループだったから、色々な場所で耳にすることができたのだ。
ただ小学生の私にとって海外のバンドというのは、SMAPや福山雅治とは違って、待っていて転がってくる情報があるわけではない。
エイス・オブ・ベイスの情報が欲しければ、自分から積極的に動いて情報を掴みに行く、CDを探しに行く、時には店員と話をして教えてもらうことが必要だった。
それは小学生だった私をどこか特別な場所へ連れて行ってくれるような気がする体験だった。
ほとんどのティーンネイジャーがそうであるように、私も早く大人になりたいと思っていたのだろう。
チャゲアスをきっかけにして海外の音楽に興味を持ち、その後もポップで耳に残る英語のサウンドを聞くと好きになり、そういった音楽をたくさん聞いた。
アメリカ、イギリスのバンド、歌手の歌を今も毎日のように聞いているが最近思うこと。
チャゲ&飛鳥のそれぞれのヒット曲のクオリティー。今でも色褪せることなく、圧倒的に素晴らしい。あの時代に海外の音楽祭に招待されるのもうなずける、ということだ。
これはもはや時代は関係なく、今でもいくらでも聴いていられる名曲ばかりである。
久しぶりにチャゲアスを聴いて、まだ海外に興味を持つ前の自分を思い出したいような、そしてはじめて英語の曲に興奮したあの時の原点を思い出したいような、そんな気がする。
自分の思い入れのある曲というのは、私たちをその当時に連れ帰っていくような、特別な力があると思う。
忙しい毎日であっても、時々は落ち着いて、昔自分が大好きだった曲に耳を傾けてみたい。
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