音MADに物語を込めて、「ストーリー系MAD」を作ろう

https://adventar.org/calendars/7965

※本記事は、「音MAD Advent Calendar 2022」に参加しています!
※本記事は、アニメーション「ゾンビランドサガ」「リコリス・リコイル」のネタバレを含めています!

お久しぶりです、そして初めての方は初めまして、音MAD作者の四角ともうします。この前まで音MAD関連記事をたまに書いていて最近は結構控えめになってしまいましたが、栄光にも音MAD Advent Calendar 2022の企画に参加することになりまた一つの記事を書くことになりました。それではよろしくお願いいたします。

今回私が記事で書いていきたいのは素材作品の物語を伝える音MADについてです。普通は総集編MADと言う表現がよく使われますが、自分が思ったところこの単語はちょっと範囲が狭いって感じたんです(これに関してはあとでもうちょっと話します)。だがこれを上手く表現できる普遍的な表現が見当たらなかったため、本記事ではこれを「ストーリー系MAD」と仮に命名して語ろうと思ってます。なのでこの表現が慣れていない方々の場合は普通に「ストーリー系MAD」を「総集編MAD」だと言う認識で読んでくださってもそんなに問題にはならないと思ってます。

この記事では「ストーリー系MADの基本的な組み方」「ストーリー系MADの良さ」、そして「オススメのストーリー系MADたち」です。私は自分の一生の代表作にもなっている「サガ/どやんすベア」を投稿したあと出来るだけ1年1回のストーリー系MADを作ろうとしていまして、そして他の音MAD作者の皆さんが作ったストーリー系や総集編MADもどんどん見ていきたいと思っています。なのでこのテーマを今回の記事に選びました。


①ストーリー系MADの軸を考えよう!
まず最初、ストーリー系だと言って別に全てが総集編MADである必要はございません。総集編MADとはとある作品のほぼ全ての内容を含んだMADのことでストーリー系音MADの一番一般的で理想的な表現方法ではありますが、作品の中でもとある人物の人生を集中的に映したり、オムニバス方式など全体的なストーリーが掴め辛いアニメでもとある主題をメインで見せたり色々なことがストーリー系MADになります。

そんなストーリー系MADを作るにはまず素材にするストーリーの中のをちゃんと選び出すのが最初です。この軸というのは簡単に言うと「ストーリーの核心内容」だと言う理解でいいですが、最近のアニメはオムニバス方式じゃなくてもギャグや萌えなどの軽い要素を強調しながらもそれなりのストーリーを進んでいくなど、多様なものを見せてくることが多いので、そこからストーリーの中で一番見せたい物語、特に人物の成長葛藤、危機、人間関係を主メインに見せることが大事になります。

「ゾンビランドサガ」のストーリー軸分析

まずは例えとして「ゾンビランドサガ」とそれのMAD「サガ/どやんすベア」の製作について語ってみましょ。まずこのゾンビランドサガと言うアニメは、基本的にキャラ別に個人エピソードを割り当てています。なのでストーリーの軸は(たえとゆうぎりを除く)6個が存在しているということになります。一応源さくらの物語の軸が全体的なストーリーを含め総集編MADに近いので選びました。

こう軸を選んだ場合軸に近いシーンをメインに連れ込み、そうでないシーン、例えば源さくらじゃないキャラの個人エピソードなどは自然にはぐれることになります。なので1~2話と10~12話をだいたい使うことになりました。これは逆に考えると、他のキャラを軸にまた別のMADを作れることもできることになります

そして色んな軸たちで作品全体に大事なことをできるだけで拾ったらそこから総集編MADで繋がったりもするので、一部のストーリーをそろった作品を作るだけでも理想の総集編MADの段階に踏み込むことに大事な経験にもなれそうだとも思います。一応あんまばずった動画ではありませんが唯一構成を図表としてのこした動画があったのでもう一本紹介いたします。

「リコリス・リコイル」のストーリー軸分析

この動画は総集編MADに近い、作品の全開で大事な軸を全部そろって作った動画です。リコリス・リコイルは「たきなとDAの葛藤」「真島とDAの葛藤」「千束とアランの葛藤」と言う三つの物語を中心にストーリーが進めていると分析できます。もちろんアニメの内にはご存知の「さかなー」など、日常シーンなども存在しますが、一応軸たちからは遠いシーンだと言うことでちょっと不採用よりになっちゃいました。

構成段階のシート

なのでこの三つの軸をアニメで主に映られる純で並ぶことで始まり、アニメの最新話がでるときに重要な台詞を置きながら作業を進めました。その中で、13話のミカのシーン(アラン軸の⑫)など時系列やアニメの順番では後だけど軸的には2番に当たる場合などは物語が自然に繋がるように前に出して構成しています。そして「返されてしまった」などのそこまで意味が重くない台詞を絶妙な位置に乗せて色んな意味を含むようにしたり、実際の原作とはちょっと違うけどストーリーの自然さを加えたりストーリーの深さを増やしたりすることもできます。

あくまでも自分が説明できるのはこうしう初期の構成段階で、セリフ合わせなり人力、映像なりで作りきるのは音MAD作者の皆さんの方がもっとうまいと思ってるのであとはよろしくお願いします!


②ストーリー系音MADの何がいい?
普通に音MADとはだいたいユーモアであり、なぜこの人はこんなに笑えない音MADに目を光らせているのか、と気になる方々もあると思います。なので私見だらけにはなっちゃいますが自分なりにこう言う音MADの良さを少しだけ語らせて下さったらありがたいです。

まずは普段の音MADとは違う視聴者の反応が楽しめます。音MADは結構笑える前提で作られることが多いので、ツッコミとか爆笑などの反応をよく見れますが、真面目なストーリーMADを作った反応はその様子も違くて、普通に音MADを見てる人じゃないと思われる方も結構見れます。私は今までもサガについてたYouTubeの「これをきっかけでゾンビランドサガ完走しました」というコメントを活動の原動力にしています。

そして映像技術が足りなくてもある程度は作れます。もちろんストーリー系でも雰囲気に似合う演出があるし、技術と言うのは「演出力」とはまた別のゾーンなので、実際にこれについて確信的に語るのは難しいかもしれません。でもこう言う動画を作るにはどちらかと言うと穏やか寄りの雰囲気が求められることが多いので、映像が自信ないという方もかなりいい動画が作れると思います。

あとは何よりも作った時の達成感が想像以上です。基本的にこう言うMADは素材の作品にかなりの愛がいない分は作りづらいですが、その分作り切った時の感覚は半端ないです。あの作品をもう一回一周してそれを記念する動画を作られたこと、結構思った以上の満足感になります。記事を見ているみなさんも一回挑戦してみたらどうでしょおうか。


③オススメのストーリー系・総集編MAD

1)ココロジョジョルシリーズ
一応最新作を代表としておきますがもちろん全シリーズ神動画です。恐らく総集編MADと言えば一番浮かび上がる曲「ココロオドル」の様々な音MADでも一番有名で、多分界隈外で一番人気である音MADのひとつかと思われます。もちろんココロオドルを使った他の音MADでもいい動画はたくさんありますが、全部並べたらこの記事がココロオドルだらけになってしまうのでこれだけで我慢します。

3部などはギャグシーンが入っていたり自分が説明したことと結構違うところもありますがそれが不自然じゃなく流れる様に入ってるところが良くて、誇張がないつつも華麗な映像表現、曲にはまったような台詞合わせはもちろん綺麗に軸がところどころに整理されているのも最高って感じました。そしてアニメができる前からゲーム版音声などでプロトタイプを作る準備性なども全部尊敬しているところです。

2)おジャ魔女どれみで人が死んだ回
どれみほぼみてなかったんですが普通に泣きそうになったどうがでした。こちらは総集編MADよりは特定のエピソードをメインに作られた動画で、シェーカーMADのテンプレートにちゃんと重要なポイントを挟めて組まれて穏やかに悲しさが伝わってくる動画です。回想シーンを挟んだり、EQ調整の演出をテンプレよりもう1回入れたりすることで雰囲気をさらに作ったりなどでとんでもない重さを感じてしまいました。

3)ラグとレイン
さっきまでは台詞合わせオンリーの動画でしたがついに人力付きの動画です。アニメの重要なシーンたちをサビ後に流すところの演出や、キャラの葛藤が激しく語られる部分はかなり視聴者の緊張度を高めてきて相当な没入感を与えています。映像も全体的に華やかなモーションなどってよりは大人しく落ち込んでる表現で作られて、ストーリーに集中できます。

4)ハッピー宣言
3番までの動画が全部重すぎたのでちょっと明るい動画で雰囲気を切り替えてみましょ。ウマ娘以外でもソシャゲのMADは、全体ストーリーを含む総集編MADをやるには分量も膨大で特定キャラの個人ストーリーもそこそこの分量なので後者を組み込んでつくるのがちょっと良かったりします。あとストーリー自体がやや明るかった時ならこう言う明るい選曲と陽気な動画表現も結構にあったりするので、あんまり重い心構えじゃなくても十分作れます。

5)ココココマンドー
ダダダダ天使MADの元凶としてもよく語られる動画です。コマンドーは重いと言うのはあれですが物語ってよりはアクション性をメインに見せる動画であり、またニコニコ動画、音MADでは映画自体よりは日本語音声のネタ感の方が強い方ですが、そう言う作品のなかでも娘に対しての愛を最も強調してかなり主人公の物語をちゃんと見れる、どっちとも違う風変わりな時点からコマンドーを見れるMAD動画だと思います。こう言う原作でよく見えなかったことを強調して作れるのも音MADで作ることのいいところだと思います。


最後に
今回は物語のある音MAD、仮称「ストーリー系MAD」について色々と書いてみました。もちろん音MADは基本ベースはユーモアの領域であり、恐らく笑わせた方が一番だとは自分自身も思っています。ですが、音MADという表現方式で「楽」だけではなく「喜、怒、哀」まで伝えると言うことだけは読者の皆様に何回でもお伝えいたしたいです。そして本当に好きな作品がある音MAD作者の皆様は1回ぐらい、挑戦して損はないことだと思っています。

あとは個人的な願いとして他の音MAD作者の皆さんも積極的にストーリーMADを作って下さったらとありがたいって言葉でこの記事終わらせていただきます。まだまだ足りない自分ですが記事を最後まで読んでくださった読者の皆さん、そして素晴らしい企画に読んでくださっkaikityouさん本当にありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?