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連載|OPINION

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『連載|OPINION 社会のココを深く掘る。』は、社会にある様々なテーマにスポットライトを当てて、第一人者などに頭の中にある考えを聞きにいくインタビュー企画です。
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#再生医療

再生医療と社会のこれから|日本再生医療学会理事 八代嘉美 後編

再生医療の基本的なお話から、最前線まで、色々な切り口で八代先生にお聞きしてきた連載も今回が最終回となりました。 今回は再生医療と我々の社会とのかかわりについてお聞きしたいと思います。 八代嘉美(やしろ・よしみ) 日本再生医療学会理事。神奈川県立保健福祉大学教授。専門は幹細胞生物学、科学技術社会論。造血幹細胞研究で学位を取得後、科学技術社会論的研究を開始し、幹細胞研究および再生医療に関する社会受容の形成やコスト面などの社会実装に関する研究を行う。2009年東京大学大学院医学

再生医療をより深く知る|日本再生医療学会理事 八代嘉美 中編

自分と同じ性質の細胞をつくりだす「自己複製能」。 そして体の中で、何らかの役割を果たす細胞へと変化する「分化能」を併せ持つ細胞=「幹細胞」。 この二つが、再生医療の一つのキーワードである、というお話を前回お聞きしました。 今回はこの幹細胞について、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。 八代嘉美(やしろ・よしみ) 日本再生医療学会理事。神奈川県立保健福祉大学教授。専門は幹細胞生物学、科学技術社会論。造血幹細胞研究で学位を取得後、科学技術社会論的研究を開始し、幹細胞研究

再生医療って何だろう?|日本再生医療学会理事 八代嘉美 前編

再生医療と聞いて、一般の読者が思い浮かぶことはなんでしょうか? やはり日本中で話題となった、京都大学の山中伸弥教授、そしてノーベル賞を受賞したiPS細胞の研究でしょうか? でも多くの人にとって、山中先生の話やiPS細胞、そして再生医療と聞いても、具体的にはなんのことだか今ひとつピンとこないと思います。 「再生医療って、人間の体が作れるの?」 「どんな大きな怪我でも治せちゃうの?」 そんな単純な疑問を多くの人が持っているのではないでしょうか? そこで今回は、長きにわた

組織工学で新しい心臓と社会をつくる!? 再生医療のスペシャリスト・清水達也氏・第2話

組織工学で人間の組織を再構築する――。 そんな最先端の研究・開発の動きは世界各国で始まっています。清水氏ら研究チームも、いずれ「臓器移植ゼロ」を目標に掲げて日夜、研究に取り組んでいると言います。 ただ新しい再構築技術が開発されたとしても、新たな臓器の品質を保ったままどのように低コストに量産・保存するかなどビジネス的側面、もしくは人間の細胞を活かした新たな臓器が法律的・倫理的に社会に受け入れられるのか、はたまた社会的に研究資金をいかに捻出していくかなどなど、各方面で課題は山

組織工学で新しい心臓と社会をつくる!?|再生医療スペシャリスト・清水達也・第1話

命を繋ぐ新しい技術として注目される再生医療は、人間の身体にもともと備わっている、ケガや病気を自ら治す「再生力」を利用した先端医療のひとつです。人間の身体には約60兆個の細胞があります。 なかでも、「体性幹細胞」「ES細胞」「iPS細胞」など、組織や臓器になりうる未分化な細胞である「幹細胞」は、現時点、また将来的に再生治療への応用が大いに期待されています。 そこで今回、再生医療のエキスパートである東京女子医科大学・先端生命医科学研究所の清水達也教授にお話しをお伺いすることに