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どんな家族にも、幸せな家族写真を諦めて欲しくない〜発達凸凹相談歓迎アイコン誕生秘話〜

 「どんな家族にも写真を諦めて欲しくない」
 「出張撮影ならきっと力になれる」

 そんな思いから始まった取り組みがあります。
 それは「発達凸凹相談歓迎」アイコンの表示です。

 2023年3月からはじまったこの取り組み。
 発達特性のあるお子さまを持つご家族が、写真撮影の相談ができるフォトグラファーと出会えるようにするためのものです。セミナーを受け、理解度テストに合格したフォトグラファーに目印となるマークを表示しています。

発達特性のあるお子さまとそのご家族の撮影の力になりたいフォトグラファーの目印

 今回はこの取り組みを始めたきっかけや、fotowaの想いについてお話しします。

fotowaへ寄せられた声をきっかけに

 実は、fotowaには以前からこんな声が寄せられていました。

 「発達障害があり、七五三のお祝いをやるかどうか悩んでいました。
  出張撮影なら撮影できるかもと思い予約しました。」

fotowaの公式サイトに寄せられたレビューより

 「慣れない所が苦手なので、スタジオ撮影は諦めていましたが、
  fotowaで笑顔の写真を納めてもらえて本当に嬉しかったです。」

fotowaの公式サイトに寄せられたレビューより

 家族写真を残すことに、悩んでいる方がいること。
 子どもの成長を祝いたいという当たり前の気持ちさえも、諦めている方がいること。
 出張撮影という手法なら、撮影を叶えられる場合があること。
 そんな状況が、撮影のレビュー(口コミ)を通して伝わってきました。

 「あらゆるご家族・お子さまに幸せな撮影体験と何度でも見返したくなる写真を届けたい」という思いでサービスを提供しているfotowaとして、何もせずにはいられませんでした。

 どうにかして、発達特性のあるお子さまを持つご家族の力になりたい。
家族写真を、子どもの成長を祝う家族の大切な時間を、諦めて欲しくない。

 何かできることはないだろうか? どんなことなら、力になれるのだろうか?

 そうやってご家族から届いた言葉を、思いを、運営メンバーが受け止め、
fotowaに何ができるのか考えてみることから始まりました。

ふたりにひとりが家族写真を諦めている実態

 fotowaに、一体何ができるのか。

 まずは、当事者が何に困っているのかを知るため、発達特性をお持ちのお子さまの保護者の方を対象にアンケートを実施しました。

 すると、これまで写真スタジオなどで撮影した際に、なにか「困ったことがある」人は約8割もいることがわかりました。しかも、お子様の特性を考慮して「撮影を諦めたことがある」人は約半数。なんと、2人に1人が家族の記念写真を諦めた経験があったのです。

 お困りごとは様々です。全ては解決できないかもしれないけれど、

 「集中できない・じっとしてられない」
 「知らない人や見慣れない場所・光・音・匂いが苦手」

 など、出張撮影という場所にとらわれない撮影スタイルや、お子さまのペースに合わせることで自然な様子を撮影してきたfotowaなら、さまざまなご事情に寄り添えそうだとわかってきました。

 また、あらかじめ撮影の相談が可能かどうかわかっていれば、プロに家族写真を「撮ってもらいたいと思う」人は約9割。当事者ご家族からは、「相談できることがわかる状態」が求められていることもわかりました。

フォトグラファーからも「撮影経験ある」「学びの機会が欲しい」「相談してほしい」の声

 fotowaで実際に撮影しているフォトグラファーにも、それぞれの経験を聞いてみました。

 すると、約9割がこれまでに発達特性があると思われるお子さまを「撮影したことがある」とわかりました。

 こんなにも多くの撮影の機会があったということは、もしかしたら、フォトグラファーも「この対応でいいのかな?」「こんなときは、どうしたらいいのだろう?」と悩むことがあったかもしれません。実際に、76.5%が発達特性について、学びの機会を欲していました。

 さらに、こんなこともわかりました。
 72.5%のフォトグラファーが「発達特性があるお子さまの撮影の相談に乗れることを伝えたい」と回答したのです。

 フォトグラファーは「写真撮影で、当事者家族の力になりたい」し、それを「ご家族に伝えたい」と考えている。実際に撮影もしたことがある。でも、ご家族の力になれる方法や専門家から正しい知識を学ぶ機会がない。

 そんな状況が明らかになり、fotowaができるふたつのことが見えてきました。
 それは、ご家族が「相談しやすい環境を整える」ことと、フォトグラファーに「学ぶ機会を提供」することです。

ご家族とフォトグラファーをつなぐサービスとしてできること

 こうして、相談可能なら撮影を望むご家族と、相談可能だと伝えたいフォトグラファーをつなぐための「発達凸凹相談歓迎」アイコン表示の取り組みがはじまりました。

「相談しやすい環境を整える」〜力になりたいと思っていることを目に見える形で表す〜

 様々な事情を抱える当事者の方にとって、「相談すること」には戸惑いや不安があります。また、それを乗り越えても「誰に相談できるのか」がわからないことは、とても不自由でハードルが高い状況です。

 「フォトグラファーさんに、子どもの特性の話をしていいのかな?」
 「相談して迷惑と思われたらどうしよう」
 
 これまで諦めてきたことがある方は、過去の経験から撮影のハードルが高いと感じ、相談することが億劫になっているかもしれません。

 でも、そんなときに「力になりたいと思っている」ということを伝えられれば。ひとめで「相談してもいいんだ」ということが分かれば。子どもや家族の写真を残したいという気持ちを諦める必要がないかもしれない。

 そんな思いを目で見える形で表し、相談のハードルを下げるための仕組みが「発達凸凹相談歓迎」というアイコンです。

 「お子さまの特性を考慮した撮影提案が可能な場合があるので、まずはご相談ください」というメッセージを込めて表示しています。

「学ぶ機会の提供」〜フォトグラファーが抑えるべき発達障害の基本と対応セミナーの開催〜

 fotowaの思いに共感し、この取り組みにご協力してくれることになったのは、一般社団法人 こども発達支援研究会さんです。障害者支援に従事する、臨床心理士、作業療法士、教員、特別支援教育士などが集まり、「障害を抱えた人を包括的に支援する組織」を目指し、2019年4月に設立された団体です。

 一般社団法人 こども発達支援研究会さんのご協力のもと、支援の現場に従事してきた専門家によるフォトグラファー向けセミナーを開催しました。
2時間弱のこのセミナーでは、発達特性のお子さまに関する基礎知識や、保護者とのミュニケーションの取り方、撮影の際に起こりやすいお困りごとに対処する方法をお伝えしました。

 このセミナーを受講後、一般社団法人こども発達支援研究会 監修による「理解度テスト」に全問正解することで、希望者はアイコン表示することができます。「理解度テスト」は発達特性の初歩的な知識とその対応方法についての理解度を確認するためのものです。

なぜ希望者だけ?〜自分らしく活躍することが「わが家にぴったりのフォトグラファー」との出会いに〜

 このアイコンは、希望したフォトグラファーに表示しています。
 アイコン表示をしていないフォトグラファーも、決して、発達特性を持つお子さまの撮影を拒んでいるわけでも、偏見があるわけではありません。

 fotowaに登録しているフォトグラファーは、皆、撮影するご家族がどんな事情があっても、幸せな時間を過ごし、素敵な家族写真を撮りたいという思いで活動しています。

 そして、幸せな時間と写真を提供するためには、フォトグラファー自身が、自分のできることや、得意なこと、苦手なことに正直でいることが大切です。

 fotowaはフォトグラファーが自分らしく活躍できることを願っています。

 誰かに強制されて何かをやるというのは、自分らしく活躍してほしいというfotowaの想いとはあまりマッチしません。フォトグラファーには、やりたいことを自分自身で選択してほしいという想いから、希望者に表示することにしました。

 そうすることで、fotowaを利用するご家族が「わが家にぴったりのフォトグラファー」と出会い、その家族に「わが家」らしい写真を届けるというfotowaの使命が果たせると思っています。

写真の力を信じたい

 fotowaは写真の力を信じています。

 幸せな家族写真と、家族との楽しかった思い出が詰まった写真は、いつかその日のことを振り返ったとき、心が満たされるはずです。写真は、きっとお子様やご家族を支える力になるでしょう。

 可愛い子どもの姿を、成長していく姿を残したい。
 家族で過ごすこの瞬間を残したい。

 その気持ちは、誰もが抱く普遍的な気持ちのはずです。
 家族写真を撮りたいと願うあらゆるご家族に、選択肢を提供すること。それがfotowaが「発達凸凹相談歓迎」アイコンの表示を始めた理由でした。

 発達の特性があるお子さまとそのご家族は、日常の生活の中で、様々な困難に直面しています。fotowaという家族写真のサービスが、そういったご家族のお役立てることはとても限定的で微力かもしれません。

 それでも、私たちはこういった取り組みが世の中に存在することで、多様な人が、それぞれ幸せに生きられる社会へと少しずつでも変わっていって欲しいと思います。

「出張撮影を通じてあらゆるご家族・お子さまに幸せな撮影体験と何度でも見返したくなる写真を届ける」

 今回の取り組みは、それを実現するための第一歩。fotowaは、今後も様々なご事情を抱えるご家族に寄り添いたいと考えています。今後も、fotowaにどんなことができるかや、その方法を模索していきます。

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