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「FE108SS-HP」専用のダブルバスレフ型エンクロージャー「UK108SSHP-DB」が新登場!生形三郎設計モデル。コイズミ無線で独占販売!

生形三郎氏が設計したフルレンジスピーカー「FE108SS-HP」専用のダブルバスレフ型エンクロージャー「UK108SSHP-DB」がコイズミ無線より発売となりました。
生形三郎氏より直々に設計の想いを綴っていただきました。

フォステクスから入魂のスペシャルユニットが発売されたので、筆者もその魅力に見合うようなエンクロージュアを設計してみました。それがこのキットのもととなるエンクロージュア作例「ブックシェルフ」です。こちらはもともと月刊ステレオ2022年4月号に掲載されたもので、ダブルバスレフ箱のブックシェルフ型でありながら、まさに名前のごとく本棚としても使用できるように設計したものです。2022年の3月にコイズミ無線本店でも試聴会を実施させて頂き、お陰さまで好評を頂きました。 

コイズミ無線で開催された試聴会(2022年3月21日)
これぞ「ブックシェルフ」

今回のキットは、その本棚部分を取り除いて、通常のボックス型としてより身近なエンクロージュアにしたもので、コイズミ無線だけのために企画したものになります。

UK108SSHP-DBの板材

コンセプトは、全てにおいてシンプルさを追求したことです。まずは、キットとしての作り易さを追求するためにシンプルな構造とすること、それに加えて、音質面でもシンプルにスピーカーユニットの持ち味を楽しむことが出来るものを目指して設計しました。 

UK108SSHP-DBの完成形

まず、ユニットの魅力からご紹介すると、この「FE108SS-HP」は、2021年にフォステクスから発売された16cmの限定ユニット「FE168SS-HP」の10cmバージョンとなるものです。

特徴ある振動板のFE108SS-HP

星型のように5分割された印象的な形状の振動板は、今回このユニットのために完全新規に起こしたHP形状振動板で、剛性を高めるとともに共振を抑える狙いがあります。さらに、基層の表面にセルロース・ナノファイバとマイカでコーティングを施して、ヤング率(歪みにくさ)、比曲げ剛性、音速を向上しながら内部損失の低下を抑制するというハイテクな仕様となっています。エッジとダンパーも、同社のユニットでお馴染みアップダウンロール形状とすることで、共振周波数を高めつつも分散させてピーク発生を抑制するという、これまでのフォステクスが培ってきた技術が継承されています。  

マグネット2枚重ねの磁気回路と強靭なダイキャストフレーム

ユニット設計者によると、このユニットで目指したのは、マグネット2枚重ねや新開発振動板など、限定ユニットならではの物量投入を実施して音響性能を贅沢に追い求めた限定モデルでありながらも、あくまで「音楽再生の心地よさ」であるそうです。伝統的にフォステクスの限定ユニットといえばキレキレのバックロードホーン用ユニットとなりますが、設計者によると「このユニットは、バックロードは勿論、バスレフも非常に魅力的な音が楽しめます」とのことで、懐の広い出色の出来となっています。  

設計前に色々な箱で試聴する筆者
10cmユニットならではの小型な設計

筆者も作例の設計前に色々な箱に入れて試しましたが、音像の輪郭を引き立てるようなメリハリある明快な描写力を持ちながら、独特の耳触りの良い落ち着いた表現を併せ持つ、魅力的なユニットだと感じました。美点として、押し出しの良い骨格のしっかりした低域再現が印象的で、音色のコントラストが高いことが挙げられます。フォステクスのFE系ユニットで感じる、オンマイクで録音されつつ音圧も適度に整えられたロックやポップス系の音源に対する相性の良さに加えて、限定ユニットならでは振動系や磁気回路の充実が相まってか、食いつきの良いローやアコースティック楽器の凛とした余韻表現など、リッチで充実した美味な聴き心地を楽しめるユニットになっているのです。磁気回路の充実もあってか、バスレフやダブルバスレフ、ラビリンスバスレフ等の箱に入れても、余裕を持って低域が引き出されることが印象的です。これならば、その落ち着いた音色感も相まって、10cmユニットならではの特徴でもある小型性を活かした小ぶりな箱でも十分に楽しめそうだと判断して、この小型ダブルバスレフエンクロージュアの設計を決めました。 

ポートは板厚のみのチューニング

今回のエンクロージュアの特徴ですが、板厚のみによるポート設計にあります。ダブルバスレフ方式は、豊かな低音を得られることが魅力の方式ですが、その反面、バスレフの共振が尾を引いて低音の描写が不明瞭になったり、低音のエネルギーに凹凸が発生し、ベース楽器の音圧が音程によって上下してしまうことがあります。そういった点を払拭しつつも、ダブルバスレフの魅力である豊かな低音は確保するという構造を狙いました。それが、板厚のみによるポート設計です。なるべく均一な低音補強が得られるような無理のない共振周波数を狙うことに加えて、板厚のみによるポート長が極めて短い設計とすることで、ダブルバスレフならではの充分な低域サポートは受けつつも、ヌケの良いすっきりとしたレスポンスのバスレフ低音を得ることを目指しました。 
さらにそのポート設計は、バスレフポートの為のパーツ自体が不要になるという構造的な部品点数の削減にもつながるため、エンクロージュアの作製自体も容易になるというメリットを実現します。この、サウンド面でのシンプルさ、製作工程のシンプルさを狙ったのが本キットなのです。 

内部構造 ポートに必要なパーツが不要

筆者自身も、「ブックシェルフ」をリビングで使用していますが、そのサウンドを非常に気に入っております。このユニットの魅力である、強力なマグネットと各点において歪みや共振の抑制を追求した振動系によって、明瞭でメリハリありつつも上質な聴き心地が引き出されていると実感します。小型サイズでありながらも、充実感のある音で、まさに毎日聴いていたくなる心に届く音となっています。とりわけボーカルソースの訴求力が高く、この特殊な素材配合による振動板が持つ仄かにスイートな音色感によって、歌声が心地よく浮かび上がってきます。低域も、サイズに見合わず豊かな量感と伸びを持っているので、ベースの押し出しや存在感も良好です。そしてなにより、その低音は癖のないスッキリとしたバスレフ低音となっているので、音が重たくならず、また、帯域による不自然な音圧のバラツキもないので、ソースのジャンルを問わず安心して聴けるものとなっています。 

今回の特別なスピーカーユニットと併せて、このコイズミ無線だけの特別なキットをお楽しみいただければ幸いです。 

毎日聴いていたくなる心に届く音をご家庭で

生形三郎(うぶかたさぶろう)プロフィール
音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家。東京都世田谷区出身。東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。在学中より国内外の作曲賞を受賞するほか、協同作品が文化庁メディア芸術祭審査委員推薦作品に選定される。録音/音楽制作、専門誌への執筆、各種アワード選考委員、TV出演など、音楽と音に関して多方面から取り組む。著作に『クラシック演奏家のためのデジタル録音入門』(音楽之友社)がある。  
 スピーカー自作への取り組みも多く、フルレンジユニットを作ったシンプルな作例から、ハイエンドスピーカーユニットを用いたマルチウェイスピーカーの設計などを実践。リファレンスにもオリジナルのスピーカーを使用している。近年の音楽之友社の工作シリーズでは、付録エンクロージュアの設計を担当する。

☟ご購入はコイズミ無線で☟
<コイズミ無線の特設ページ>

コイズミ無線より
【商品の販売に関する注意点】 
・予約商品となるため、注文から商品到着まで2週間~3週間ほど必要となります。 
・このキットは予約商品となるため、購入する際は、コイズミ無線ホームページからの注文、または店舗での直接予約が必要となります。 
・送料無料(沖縄県、離島を除く)で、他商品も同時に購入すると他の商品も送料無料となり
ます。 

FE108SS-HP特集

FE108SS-HP特集 その1
・FE108SS-HPの紹介
・振動板の色と素材
・HP形状の振動板
FE108SS-HP特集 その2
・測定値と設計の狙い
・ボトムプレートとポールピース
・ダイキャストフレーム
FE108SS-HP特集 その3
・エッジ
・ダンパー
・センターキャップ/ボイスコイルとボビン
・ダンプ剤
・ハトメレス
FE108SS-HP特集 その4
・FE108SS-HP の試聴
・D-101S(スーパースワン) で聴く FE108SS-HP
・Application Sheet のバックロードホーン

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