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人生の扉#06 困難とチャレンジー社内家賃制度の導入 管理部門は大反対の中でー

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【連載「人生の扉」について】
FOSC代表理事の小山さんに、どのような会社人生を歩んできたか、そしてそれを支えてきたものは何かを「人生の扉」というシリーズで語っていただきました。
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成長期真っただ中のソニーでは、生産を地方工場へシフトしても、事業部の成長や新規事業のために自社ビルだけでは必要面積が足りず、外部の賃借ビルを手当てすることになりました。

発生費用は、そこを使用している事業部の負担という財務会計が基本ですので、自部門のPL管理上、狭く汚くても安いオフィスを希望し、あるいは手放さず新しいオフィスへの移転はNGなのです。

しかし新規事業を立ち上げる部門にとって、賃借ビルは清潔で利便性が良いものの、高い家賃負担は事業の存続を危うくします。
そこで管理会計制度を導入し、自社ビルも賃借ビルもすべての発生費用を一度プールし再配分する案(社内家賃制度)を作成しました。

自社ビルは減価償却費、保守修繕費、清掃整備費、警備費、火災保険料、租税公課が主たる発生費用です。賃借ビルで家賃、共益費、一部の減価償却費が発生費用です。これをビルの立地、ビルのグレード、遊休スペース活用のための調整用で社内家賃を段階的に設定しました。

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管理会計の導入には、事前説明に伺った経営管理部門、経理部門そして各事業部の管理部長10数名が全員反対でした。本社部門は手間が二重になるのでNG。事業部門は今、安いところにいるのに冗談ではないと。

困り果てていた時、上司の部長がO社長にプレゼンテーション案件があり私も同行しました。用件が終わった後、社内家賃の話をO社長にお話ししたところ「会社の成長に必要な仕組みではないか。私は応援するがこんな良いアイデアを誰が反対しているのか?副社長何か問題ありますか?」と同席していた経営企画担当のI副社長に問いかけ、I副社長は「問題ありません」と即答。もともとは反対していたのだが・・・。

かくして社長の鶴の一声で社内家賃制度を進めることになりました。

年初の管理部長会での説明ではまだ不満の部長も多くいましたが、私は全員に「今年度分から徴収すべきとの意見もありましたが、今制度の導入は今年の4月からにします。どうか協力のほどよろしくお願いします。」、と話をしたことで「そうか来年度からなら良かった」と皆さん受け入れてくれました。

社内家賃制度が導入されたことにより
・財務会計の不公平感の解消
・拠点再配置での不公平感減少
・新規ビジネスの評価向上
・暗い、汚たない、狭いという古い自社ビルオフィスの環境改善がスタートしました。

オフィススタンダードの「快適なオフィス環境つくり」が大きく前進することになります。

この社内家賃制度は不動産担当や管理担当が、当初からしっかりした仕組みを考案したことで現在も続いています。

続く

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