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人生の扉#04 困難から学ぶ

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【連載「人生の扉」について】
FOSC代表理事の小山さんに、どのような会社人生を歩んできたか、そしてそれを支えてきたものは何かを「人生の扉」というシリーズで語っていただきました。
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K取締役間仕切り事件

スペース調整の結果、事業部と研究部門の間仕切り位置を柱のセンターで決定したが納得しないK取締役が「小山さん、あんたのせいではないが、キャビネット一つ分の奥行きがなくなったので仕事に支障が出る。取り敢えずI社長の特命事項があるので社長に文句を言うから・・・・」と一人いつまでも駄々をこねていました。スペース調整の失敗といわれて責任取らざるを得ないかもと思ったのですが、私の上司である取締役が直談判して事なきを得ました。身勝手な輩に対して総務の苦労は絶えないものです。

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宮城県N工場の火災1998年

バッテリーのエージング中に発火し夜中に火災が発生。ファシリティ戦略部長だった私は、仙台に出張中の建設部門Y課長に早急に被害状況の把握と復旧準備にかかるよう指示を出しました。火災現場に近い建屋の屋根は鉄骨が飴のようにぐにゃりと曲がり、室内は煤だらけ。配電盤にまで煤が入り込み絶縁不良となっていました。

私は担当者の情報をもとに大手建設会社とコンタクトし、大至急で約1千万円分の鉄骨の手配を開始しました。そして現地会社の社長、S社の事業部長をはじめ関係者で速やかに復旧計画を策定し、オーディオ事業の工場を担当するO副社長に被害状況を含め報告しました。その際、副社長から思わぬ言葉が・・・。
「ちょうど工場のリストラを考えていたところなので思い切って閉鎖してはどうか?」と切り出されてしまったのです。関係者全員唖然として誰も反論できずそのまま副社長室を後にしました。

オフィスに戻り、夜8時頃仕事をしていると監査役室から電話があり「今、N工場の火災の件で関係者から話を聞いているところだ。あなたもすぐに同席せよ」とのこと。既に関係する4名の役員が参加しているその会議に合流すると、皆さん何も言わずにうつむいている。
K監査役は「お前たちは工場で働く人の気持ちを考えたことがあるか。担当の副社長から工場閉鎖と言われてそのまますごすごと引き下がってきたのか。火災で被害を受けた工場を何とか早く復旧しようと懸命に働く社員のことをどこまで考えているのか。それでも男か!」と一喝しました。

私は右手を上げ、監査役に「一言言わせてください」と。
「私は工場復旧のための鉄骨を約1千万円分発注しています。これはスピードを重視し、会社の承認手続き経ず手配したものです。万が一工場の閉鎖が決まった時は、自宅を売却し手配した鉄骨を引き取る覚悟で行動しました。自宅が鉄骨に変わってしまうのです。それを戦犯みたいな言われ方をされたのは心外です。」

監査役は、「小山君の行動は分かった。良く思い切った行動をしてくれた。あなたはこちら側の席に移動しなさい」と監査役と対面していた席から監査役の隣に席を移動しました。呼び出された他のメンバーはそのままです。この工場はその後、担当副社長の理解も得て多くの人の理解のもと無事復旧を遂げました。

数ケ月後、復旧の感謝の会には工事関係者も含め100名以上が招待され、工場の復活を祝いました。

御殿山の土地の売却

2006年、本社跡地の売却を決めましたが、金額的に取締役会ではなく経営会議決裁案件となりました。売却時期が良かったのか、想定価格より相当高い金額での売却が成立したので、不動産管理部門としてはとても満足のいく結果となりました。

ところが突然、重鎮の名誉会長に呼び出され、「御殿山の土地を売ったのはお前か?先人の血と涙と汗の結晶である操業の地をなんと心得るか!社外取締役に聞いたらこの件は取締役会に諮られていないと言っていたがおかしくないか。」一喝されました。

私は「これは金額から経営会議で承認されたものです。」と説明しましたが「どこの部門が担当したのだ?」と返され、「総務センターの不動産部門です。」と答えると「ほら、やっぱりお前のところではないか」、「今すぐI社長に電話して、次の経営会議でお前を首にするよう進言する。分かったな!」「御殿山は某ゼネコンに1億円上乗せして売る。話はつけてある。手数料はもらう。これで文句はないだろう。」と・・・いろいろ記事にはできないやり取りもありました。怒りの矛先は担当部門に集中。矢面に立つとはこのようなこともあるのかと痛感しました。
自部門の担当役員がことの経緯をしっかり話してこの件はおさまりましたが、この後本社ビルの建設に関しては引き続き矢面に立つ場面が続きました。(この話はまた、どこかで)

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かくして打たれる総務は苦しくも強くなっていきます。

続く

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