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【作業情報】マウンテンバイクの組み立て

当店で購入を頂いたマウンテンバイク、
どのような工程でお渡しさせて頂くか、
簡単にではありますが、ご案内させていただきます。

まず、当店で購入いただくマウンテンバイク
組み立て工賃として車種によって異なりますが
22,000円~44,000円のアップチャージを頂戴しております。

組付けられているパーツの分解、グリスアップを行い、
再度組み直しを行っております。

少々押しつけがましく申し訳ございませんが、
後に生じる可能性のあるトラブルを未然に防ぐという意味でも
ご理解をいただければ幸いです。

※ご自身で手持ちのパーツとの入れ替え予定がある場合や、
分解組み立てが必要ない場合は別途ご相談を頂ければ幸いです。

・まずは分解

すでにご存じのお客様が多いと思いますが、
メーカー側でパーツアッセンブルがされた完成車は

7部組と呼ばれるほとんどのパーツが
組付けられた状態で納品されます。

SANTACRUZなんかは完成車でもバラに近い状態での納品です。

これを一旦分解してフレーム組と同様に
各部のグリスアップ、ラインの長さ調整等を行い組み直していきます。

・ヘッド周り

メーカーにより差異はありますが、
汗や水分の影響を受けやすいヘッド周り。
完成車の場合、薄っすらとグリスが塗られている程度で、
ベアリングの保護は不十分な状態です。

ベアリングやスペーサーを取り外し、
クリーニングを行い再度組付け直します。

当店ではヘッド周りのグリスには
WAKOSのブレーキプロテクターを使用しています。
シリコン系でカーボンへの攻撃性も無く、
耐熱、耐水性も抜群で、高耐久。

グリスの中では重い部類に入ります。
ハブベアリングやBBにも使用可能ですが、
大量に使うと回転が重くなってしまいます。

ヘッド周りはホイールやBB程の回転性能は要求されませんし、
大きな力で回転させる部分なので、
グリスによってステアリングに影響もほぼ出ません。

このグリスで組付けてあげれば、
ベアリングの劣化をかなり抑制することが可能です。
特にマウンテンバイクの場合、水分や汚れの影響が大きいので、
ここの処理を疎かにすると、
ハードに乗る方なら1年もせずにヘッドベアリングの交換。
「5000円ですねー」なんて事になりかねないのでご注意を。

・BB(ボトムブラケット)周り

水分や汚れの影響を受けやすい場所No.1。
BB自体もそれを想定してシール性能は高く作られていますが、
ここも処理を行わないと割とすぐに交換になったりします。

専用工具を多く必要とする部分。

BBはバイクに既に組付けられているので、
専用工具で取り外していきます。

最近ではスレッドタイプの車体がほとんど。昔は大変でした…

取り外した状態。スレッド部分にはほとんどグリスが乗っていません。
スレッドタイプの嚙み合わせ部分で音鳴りするケースは少ないですが、
この状態だと分かりません。また、高いトルクで組付けるため、
最悪の場合金属同士がかじりついて外すことが困難になります。

この場所にはWAKOSのスレッドコンパウンドをたっぷり塗布します。
金属同士の固着を防ぐ効果のあるグリスです。

茶色いのはグリスの銅成分の色。錆じゃありませんよ。

音鳴り防止にもなりますし、
これでBBが外れないなんて悲劇も生まれません。

ここはたくさんつけすぎると汚れを呼ぶので注意。

DUBの玉当り調整ナット部分のスレッドにも念のため薄く。
リングは樹脂製なので、回らなくなることはあまり無いと思いますが、
スレッドコンパウンドは樹脂への攻撃性もありません。

錆じゃないんです

クランクシャフトもBBとの接触部分はもちろん
水分からの保護も期待して、全体に塗り込みます。
シャフト挿入の際に大半は逃げてしまいますが、念のため。

最近では少なくなりましたが、圧入タイプのBBも存在します。

ちなみに、BBのタイプや、
素材によってグリスは使い分けていきます。

保護用に使うグリスもそれぞれで使い分けます。

・ハブ、フリーボディ

完成車付属のホイールではありませんが、参考画像です。

ホイールも千差万別ですが、フリーボディの分解、オイルアップ
ハブベアリングへのグリスアップを行っていきます。

クリスキングはメンテナンス系のケミカルも自社製

ハブベアリングも出荷状態ではグリスは入ってこないものがほとんど。
シール内へのグリスアップ、シール外へのグリスアップ。

しっかりとグリスを封入することで
ダメージを受けやすいハブベアリングを保護します。

こちらはINDUSTRY NINE指定のフリー用オイル

フリーボディのラチェット部分もしっかりと。
メーカー指定のオイル、グリスがあるので、
ここも製品によって使い分けていきます。

ここではタクリーノのシーリンググリスを使っています。

特に外側に露出するフランジ側のベアリングは傷みやすいので、
耐水性の高いグリスで保護します。

回転性能を下げないよう、あまり重いグリスは使えないので、
耐水性が高く、回転性能を損なわない良い塩梅のグリスを使います。

・ホイールバランス

振れ取り
スポークテンションの確認
ホイールセンターの確認

これらの行程を繰り返し、ホイールのバランスを取ります。
写真は完成車付属のホイールではありませんが、

完組ホイールも出荷状態では振れが取り切れていなかったり、
センターがズレている場合もあります。

新車で歪みやズレがあるのは気持ち悪いですからね。
修正の後お渡しさせていただきます。

・フレーム周り

フレームを分解して構造を理解するのも楽しみの一つ。

フルサスペンションフレームの場合、
フレームリンクも一度分解し各ベアリングの保護、
ボルトへの緩み止めの塗布を行います。

フレームのベアリングには保護用グリスが入っていないことがほとんど。
ベアリングに保護用グリスを塗布。
フレームのパーツ構成は結構なものになります。
ボルト類にはロックタイトを塗布します。

このように各ベアリング、ボルトへの処理をするだけでも、
ライド中のトラブルを減らすことが出来ます。

ボルトに緩みやガタがあると思ったら、
怖くてオフロード乗れませんからね。

・ブレーキ周り

こちらは新しいフルード

ブレーキについてはラインの長さを調整した後、
フルードの交換を行います。

新車とは言え、出荷待機が何か月も続いているケースもあり、
特に吸湿性の高いSRAM等のDOTフルードの場合、
使っていないのに劣化している事もあります。

せっかくエア抜きをしてもエア噛みをおこしやすくなるので、
こちらも新しいものに入れ替えます。

完成車に入っていたフルード

ブレーキは自転車の命でもあります。
適切にエア抜きをしていれば、
急にスカスカになるような事は起こりませんが、
耐久性は高い方に越したことなしです。

SRAMの異径4ポッドピストンは動きにバラつきが多いので、

センターが出せない場合等、
必要に応じて摺動のためにDOTグリスを軽く馴染ませます。

SRAM専用のDOTグリス

・まとめ

長々と説明を読んで頂きありがとうございました。
このほかにもご紹介したい作業はございますが、
細かくなり過ぎても見辛くなるので、この辺で。

アップチャージはフルサスペンションバイク、ハードテールバイク、
パーツ構成などにより異なります。(22000円~4,400円)

ハードな条件で使うMTBだからこそ、
長い目で見るとコスト減に繋がるかと思います。
是非、ご検討を頂ければ幸いです。

アップチャージ作業が必要無いという方は
アップチャージ無しの通常組み立てコースもございますので、
気兼ねなくお申し付けくださいませ。

BIKE SHOP FORZA  風間

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