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~野球の魅力を伝えてくれた人が語ったちっぽけなクリスマスプレゼント~

11年前から僕に夢を見せてくれてありがとう。

この記事を見る前に下記に記されたインタビューをご覧頂けるとありがたいです。

【独占告白】高橋由伸「これからの僕の『新しい夢』を語ろう」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181225-00059055-gendaibiz-bus_all

もう2ヶ月前になるかな、巨人ファンとして、野球ファンの俺に11年間夢を与えてくれた人がユニフォームを脱いだ。

高橋由伸

なんと言ってもあの怪我を恐れない全力プレーと立てたバットから一本足打法で繰り出す世界一美しいバッティングフォーム、何度となく美しい放物線を描いた。

俺にとってのキッカケは11年前、2007年のプロ野球開幕戦。横浜ベイスターズ(当時)対読売巨人軍の1番バッターが番長三浦大輔から初球を叩いてライトスタンドにぶち込んだ。テレビの前で見てた俺は衝撃を受けた。サッカー以外に初めて胸が震えるものを感じた。

「なんだこのバッター!中継始まっていきなりホームラン打ちやがった!」

そこから俺の巨人ファンが始まった。サッカーをやりながらも遊ぶ時は左打ち、必ずバットを立たせてフォロースルーまで真似をしてた。バッティングセンターで遊びに行っても全く同じことをしていた。
親父が慶應大学出身なので「直接的じゃないけど由伸は慶應の英雄よね」と中日ファンの親父も"由伸愛"を隠してなかった。今でも六大学野球見に行く親父は母校が負けると「やっぱ由伸みたいなスターがおらんからなあ、負けちゃうな(笑)」とポツリと言ったりする。

俺が巨人ファンの初年度、2007年は1番由伸2番谷3番小笠原4番李承燁…まあ切れ目もなければどこからでも点が取れた凄い選手ばっかだった。セ・リーグ制覇もして由伸はベストナイン、ゴールデングラブ賞、OPS.982、得点圏打率.409は12球団トップだった。今見返しても得点圏打率.409は異常なる勝負の強さだ。そしてなんと言ってもこの年の由伸と言えば先頭打者本塁打の数である。開幕戦から数えて9本、これは未だ破られてないプロ野球新記録らしい。

初めて野球を見に行った時、その男はいなかった

野球が好きになり、巨人というチームが好きになり、親父に東京ドームに2008年連れて行ってもらった。その時は立ち見席、確か8月の試合だったかな…勝利投手は高橋尚成だった気がする。ただ俺のお目当てはいなかった。よくよく調べてみると5月に登録抹消され、早々にシーズンを終えていたらしい。
2回目に見に行った時はなんと原辰徳第2次政権最初の3連覇の試合だった。勝利投手はオビスポ、物凄い盛り上がりで今じゃ作り出せるものでは無い異様な雰囲気だった。時代は変わり、5番に亀井がいたよな…由伸はここでも見れなかった。
1番好きな野球選手をキッカケになった時には負傷でいなかったのは残念極まりないが常に俺のヒーロー由伸が輝いてたのはテレビの前だった。
2010年、内海の熱投を援護するサヨナラホームランに2013年、結果的に日本一は楽天だったもののその年唯一の黒星をつけた決勝タイムリーを放っていたのは紛れもなく俺のヒーロー、高橋由伸だった。

初めて由伸を生で見れたのは現役晩年

月日が流れ、しばらく野球を見に行く機会がなかった俺が2015年、ハマスタでのオープン戦を見に行った時があった。もう既にキャリアとしては下降線を辿ってて代打とはいえ"選手"高橋由伸を初めて見れたのは心から嬉しかった。その年に読売新聞からの招待券で父親と見に行った東京ドームでの試合は偶然にも球団企画による高橋由伸デーだった。負けて代打の由伸もゲッツー倒れだったがチャンスで回ってきた時の球場を埋め尽くす巨人ファンが作り出す最高の雰囲気に「これが俺のヒーロー…!」と肌が震えたのも覚えてる。
そんな俺が後にも先にも部屋で丸一日こもっていて「なんでだよ…なんでだよ…」と泣きじゃくっていたのは由伸が現役引退、そして即監督就任だった。

後に本人はこう語ってる。

 ――私はあの時、もう「由伸さん」と呼べないなと思いました。選手の方々とは、つい先日まで一緒に選手として仲間だったのが監督に変わって、関係性はいかがでしたか。
高橋 うーん……実はそこが難しかった。別に僕はどう接してくれてもよかったんだけれど。基本的に、選手との距離は近くなるように意識していました。でも、中には「監督なのに選手の気分が抜けてない」「選手の気持ちでやってる」という声もあったし、逆に監督と選手の距離が近いことが高橋のいいところだ、と言う人もいました。

【独占告白】高橋由伸「これからの僕の『新しい夢』を語ろう」から引用

やはりこの部分から抜粋しても由伸本人はもちろん、チームメイトからも戸惑いは隠せなかったのだろう。当然だ。つい前週にヤクルトのバーネット(当時)から三振された瞬間を見てるからだ。


​初めて現地で見れた由伸、ネクストバッターズサークルの
準備してる姿である。
誰よりも画になってた​

"監督"高橋由伸を見守らなくてはいけないと誓った高校2年の冬

2015年秋、かくして原監督退任と同時に『高橋由伸監督』が誕生した。現役バリバリの時の由伸を現地で見れてなかった自分からしたら「監督としての由伸」をしっかり見守ろう、と決意した秋でもあった。
迎えた監督初年度2016年、巨人伝統の「外様だらけ」「若手の突き上げ」「優勝」という大きなプレッシャーと戦う由伸を見ていた。左腕田口の台頭や坂本の復活、村田が孤軍奮闘した初年度は2位、カープに大きなゲーム差を付けられてCSもファーストステージ敗退した。
翌年、山口俊に森福允彦、陽岱鋼やマギーを補強して挑んだ2017年。球団創設史上最大の連敗(13連敗)、そして12年ぶりのBクラス転落まで見た。奇しくも13連敗目、西武ドームにいた俺は泣きながら「こんなの巨人ちゃうわ!はよ勝たんかい!」とだけ叫んで球場を後にした。
叩きたい巨人、叩きたいけど夢をくれた恩人には言えない非情な世界。現場の責任者である由伸にはどうしても甘くいたい自分もいた。けどこんな悔しい思いはしたくないから口にしたい。だがしかし由伸…
ファンとしても辛かったよ。。。

新たなスターを芽生えさせた、心から一喜一憂した2018年

そんな心から悔しかった2017年を越え、新たなシーズンがやってきた。由伸の監督契約最終年度となる今季になった。元日になった時から俺は

「もしかしたら由伸を見れるのが最後かもしれない。その舞台を心に閉まっておきたい」

そんな決意から現地に足を運んだ。4月の中日戦から6月の京セラ…数えてみたら野球の現地は今季2桁越えだった。こんなに野球を見に行ったことはなかった。その影には背番号24が繋いだ、新たなスターを見たさもあった。

岡本和真

2014年ドラ1の巨人期待の大砲。未完の大器として疑われて4年目に由伸巨人3年間を語る上で、1年で語らせてくれる選手となった存在だ。22歳にして打率.309 HR33本 100打点という世界の王やゴジラ松井ですら成しえなかったものを成し遂げた。またチーム唯一の全試合出場。由伸はつくづく自身が怪我が多かった選手故に「怪我をしない選手、それでいて結果を残せる選手」と語っていた故にスランプはいくつかあったものの左右にHRを打ち分け、ムラのない守備を魅せてくれた。
ドラマチックな部分も由伸に既視感を感じたのかもしれない。
4番初の試合でHR(実は現地だったもののパナスタからのダブルヘッダーなので見逃す痛恨のミス)だったり、シーズン最終戦に100打点に乗せたりと勝負強さとインパクトが俺の心を掴んだ。侍ジャパンの試合を見に行った時、岡本の応援歌の前奏が流れた時は涙すら流しそうになって必死に堪えてたw

ニュースターの誕生、夢を与えてくれる24の次の番号。
(画像はスポーツ報知より拝借)

2018年の由伸巨人は3位、優勝争いどころか危うく2年連続Bクラスだった。しかし"由伸監督"は岡本を始めとした田中俊太、大城卓三、吉川尚輝…といったいわゆる"由伸チルドレン"とも呼ばれる若手野手の積極起用、目の前にある勝敗と共に若手底上げを徹底した。田中俊太のプロ初HRも現地で見れた。今年は目に納めるべきところは心置き無く目に納められた。CSでは帰ってきた上原浩治が満塁のピンチで山田哲人を三振に、絶対的エース菅野智之はノーヒットノーランとCSファーストステージ2試合連続現地の身からしたら最後まで監督高橋由伸を楽しませてもらった。ファイナルステージで敗退したが個人的には最も印象に、楽しませてもらったシーズンかもしれない。

そしてこのオフ、原辰徳が帰ってきて、背番号24がいない新たなシーズンを迎えようとしてる。チームも丸佳浩、炭谷銀仁朗、岩隈久志、中島裕之…という原スタイルとも言っていい大型補強を敢行。人的補償に最初に野球が好きになった2007年からのかつてのエース、内海哲也も失った。

由伸が俺に残した置き土産

俺の中での答えは「背番号24から背番号25へ、君の着るユニフォームも世代交代しろよ」という無言のメッセージかもしれない。
だとしたら来年は既に購入してある岡本のユニフォームを着て球場に行こう。

CSファーストステージ第2戦前に
東京ドームで買った岡本のユニフォーム、これからはコレを着よう

しかしこれだけは言わせて欲しい。
「野球で夢を見させてくれたのは高橋由伸、貴方だけだよ」と…

僕らの背番号24、永遠のアーチスト高橋由伸。巨人一筋を貫き監督としても夢を見させてくれた貴方をもう一度ユニフォームを着るその姿見るその日まで…
サヨナラは言わない。また会える日まで

監督由伸が1番好きだったのは
しっかりグラウンドに結果関係なく試合後お辞儀をする姿
世界一美しいのはスイングだけでなくお辞儀もだ。

クリスマスの日に送る、1人の巨人ファンの備忘録


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