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脱炭素先行地域の傾向と対策

理事の吉田です。
我が国はまず温室効果ガスを2030年度までに2013年度比46%削減せねばなりません。
直近データでは2020年度の2013年度比が18.4%減ということなので残り十年で約28%減せねばなりません。
https://www.env.go.jp/press/110272.html?adlt=strict&toWww=1&redig=E790E2D9910E4FE0992A2DE3C613C687

ということはあと10年で約28%減ということです。
10で割れば2.8%減させればいいや…なのかもしれませんが、2050年には実質ゼロ実現だし、刻一刻と気候危機の深刻な問題は世界中を襲っていますので状況は待ったなしです。
そんな中、昨年に環境省から素晴らしい補助金制度の募集が始まりました。

脱炭素先行地域とは

https://www.env.go.jp/content/000084555.pdf

この制度が凄いのはその補助額。

脱炭素先行地域づくり事業で50億円+重点対策加速化事業で都道府県は20億円、市区町村は15億円。
単年度ではなく数年かけてこの補助をテコに脱炭素実現をはかります。
令和4年度は第1回第2回と採択先が決定されました。

第1回は応募地域79に対して採択は26、第2回は応募50に対して20と30~40%の採択率。
現時点で46地域、最終的には100地域選定予定なのでまだチャンスがあるわけですが、今回はこの46地域採択の計画提案書に目を通してそれぞれどのような特徴があってどのようなことが必要なのかということを考察させていただきました。
ただ46と言ってもサイトで非公開が4地域あり、また提案書は1地域で50ページ近くありそれは流石に大変ですし、専門家でもないので、特に省エネについてを重点的に確認をしました。

全体の特徴

まずもって声を大にして言いたいのが省エネに対する取り組み、特に断熱に関しては”皆無”と言わざるを得ません。
これは流石に驚きました。
そのほとんどが再エネです。
確かに太陽光パネルを筆頭に費用対効果が非常に算出し易いですし、折角もらえる補助金だから再エネ設備を導入したいのは当然です。
もちろん持続可能なクリーンエネルギーは絶対必要なのでこれはこれで頑張らなくてはならないのですが、そこに更に断熱をしっかり施すだけで出を制するため倍増以上の効果があるわけです。

いや、そんなの都合のいい我田引水的だなぁと疑うこと勿れ!
当の環境省でも大々的に断熱がもっともCO2削減効果が高いと公表したんですから。
家庭のと限定はされていますがこれは建築物全般ととらえても何ら間違いではないですからね。

朝日新聞

故に、省エネ特に断熱に関しても皆無ではダメなのです。

第1回採択で断熱にも対策している唯一の地域

見落としがあるかもしれませんがわたしが確認した所、長野県松本市だけでした。
ここもあるぞ!とご指摘の方はお教えくださいm(__)m

長野県松本市提案書


長野県松本市提案書

断熱改修に1件につき52.5万円補助がつきますが8件までというのが少ないですね。
5年間はこの補助額なのでその先で更に上乗せをお願いしたいところです。

断熱はなかったがキラリと光る提案地域

なんかエラそうですが(^^;島根県邑南町は省エネ行動について言及が多くありました。

島根県邑南町提案書

このアンケートの取り方はかなり具体的な質問でこの数値から推察できる要素が多く考えられているなと。
因みにこういうアンケートを載せている地域も皆無でしたね。


島根県邑南町

更にわたしの大好きな薪ストーブの導入を1番目に出してるところもイイ。


島根県邑南町

COOL CHOICEも謳ってあって、これまでも色々具体的に実践してきたんだろうなぁと想像できますね。

これだけあってなぜ断熱がないのか、、、地域

で、少し残念だったのがこちらで提案書を見る限りでは省エネの要素があまりにもなさ過ぎでした。
今後是非とも断熱中心とした省エネに改訂をお願いしたいですね。



神奈川県横浜市提案書

第2回採択で断熱にも対策している地域

第2回は1回よりは増えていてホッとしました。
北から岩手県宮古市。


岩手県宮古市提案書


岩手県宮古市提案書
岩手県宮古市提案書

補助額はどれくらいかといえば1件に付き100万円×20件/年。
これは有難いですよね。


岩手県宮古市提案書

次に長野県飯田市。長野県は第1回からまた輩出しています。
さすがに環境先進県!



長野県飯田市提案書
長野県飯田市提案書

断熱改修1件につき120万円!ですが3件まで、、、ただ小中学校の断熱化も4校計画しています。素晴らしい。
次に兵庫県加西市。



兵庫県加西市提案書


兵庫県加西市提案書

断熱改修1件につき120万円、10件まで。
同市は住宅の断熱と健康にも言及しているところが素晴らしいですね。

兵庫県加西市提案書

更に、空き家にも断熱改修を入れてる所も更に素晴らしい。

兵庫県加西市提案書

最後は宮崎県延岡市。


宮崎県延岡市提案書

断熱改修50件。改修内容も具体的に記載されてますね。


宮崎県延岡市提案書


宮崎県延岡市提案書

いいこと言ってるのに断熱が、、、地域

惜しい!実に惜しい。
エネルギーが域外へ逃げてると素晴らしい言及があるのですが、残念ながら断熱に関してはなくて、そこも無駄に域外へ逃げてしまっているのですがね。


北海道奥尻町

以上になりますが、第3回募集は2/7~2/17です。
これを知ったのが今日であれば間に合いませんが第4回は8月頃とのことですのでこれに間に合わせるべく、そして先にあったように断熱がもっとも削減効果が高いとなりました。
また言うまでもないことですが断熱性能と健康リスクの関係も多くのエビデンスがあり、住民の医療費や社会保障費の観点からも自治体としてはこれ以上財政を圧迫してもらっては困ると思います。
断熱をしっかり施すことで健康リスクを抑えられることが分かっているわけですから、やはり断熱をやらない理由などないですよね。
応募予定でまだそこが甘い自治体さんは是非とも見直しをお願いしたいし、項目には入れてあっても補助額が少ないところも大幅増額をお願いしたいですm(__)m

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