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待ち受けていた現実③

僕がA社長にビジネスプランを説明して資金を貸して欲しいとお願いするとA社長の表情が明らかに曇るのがわかった。
僕がお願いした金額は700万。社長にとっては屁みたいな金額のはずだ。なのに昔と違い、二つ返事で引き受けない。
うーん。うーん。と唸りながら上を向いたり、ビールを飲んだりして、何かを考えている。 フリをしているように見えた。

あのなぁ。〇〇。お前まだ出てきたばっかだし少しゆっくりして周りの状況みてからにしたらどうだ?そんなに焦って始めることないだろ?

えっ?断られた?そんなに焦って始まることないって15万しか金がないのに何のんびりしろって言ってんだよ。
数年間も刑務所入って世間から取り残されてるのにゆっくりできないだろ。と心の中で思いながら、わかりました。また今度相談乗ってください。と言ってその日はキャバクラに飲みに行って別れた。

でも、僕の所持金は15万。早く何か手を打たないと生活ができなくなってしまう。
僕は次に警備会社を経営していたB社長に電話をかけた。
電話は歓迎され次の日B社長の事務所に訪ねて行くこととなった。
そこではB社長の妹が事務員をしていて僕もよく知っている人だったのでまずは3人でお茶と僕が持参した手土産のお菓子を食べながら刑務所での話や周りの変化などいろいろ話をした。

で、妹さんが銀行に行くタイミングでいなくなったのでその機会にB社長にビジネスプランと資金援助をお願いしてみた。

その瞬間B社長も困ったような表情に早変わりした。
(えっ?さっきまで陽線連発してたのにいきなり大陰線出てるやん!💦)

実はなー。今仕事あんまり調子よくなくて自由になるお金がないのよー。もうしばらくすればまた良くなると思うから。だから今は資金を出してあげるのは難しいわー。悪いな。

ってな感じで回答してきた。いや、本当はもっと遠回りにこねくり回したような言い方をしてきたけど要約するとこんな感じ。
でも、これはすぐに嘘だと僕はわかった。なぜならその社長は最近仕事が好調で事務所も新しく移転しようとしているとか、飲みに行っても羽振りがいいとかと言う情報をあらかじめ他の人から聞いていたからだ。
僕も金のない人に金を借りに行くほどバカではない。
その人が資金を出す十分な余裕があるのかどうかぐらいは付き合いのある人に聞いたりして最低限の情報収集はしてから話を切り出している。

あれ?なんかおかしい。A社長といいB社長の感じといい。
俺、避けられてるんちゃう?

僕は昔から周りの空気を読んだり人の態度の変化に気づくのは敏感で早い方だった。
しかし、だからといってB社長嘘つかないでくださいよ!
なんてことは物を頼んでいる立場から言えるわけがない。

仕方なくそこも、じぁあまた調子上がってきた時にはお願いしますねー🙇‍♀️といって事務所を後にした。

1番当てにしていた2人か立て続けに断られて、しかも嘘までつかれて、自信がなくなってきた。そしてものすごい不安が襲ってきた。

あれ?俺このまま何もできず終わるんちゃう?これヤバいんちゃう?

そう思った瞬間今まで描いていたら明るい未来が一気に暗黒の未来へと姿を変えるのが感じ取れた。

もう、なりふり構ってられない。
次は金はそんなに持ってはないけど仲の良かった同年代のC社長に電話をしてご飯の約束をした。

この人なら700万全額とは行かなくても300位ならなんとかしてくれるやろ。そんな気持ちだった。

やっぱり同年代で仲良かっただけあって明らかに前者の2人の社長とは違って打ち解けた雰囲気で楽しく話しながら食事をして飲みに行った。
そこで、僕は悪いけど300万ほど貸してくれとお願いした。

その社長はきたかーって顔して実はなー。って正直に僕に話してくれた。

それは耳を疑う話だった。

なんと、1番初めに挨拶に行ったA社長が周りの人達に連絡して僕から連絡があってもなんやかんや理由をつけて会わないようにとか、金の話をされても絶対出さないようにと根回しをしていたのだ。

あんな刑務所に行った奴とつるんでいたらこっち迄疑われるし信用なくすからな。あいつはもう終わった奴やからお前らももう付き合いするな。

と連絡が来たらしい。
しかも、それだけでなく、もし金貸したり仲良くつるんでいたりしたら俺との付き合いはなくなると思えよって言われたとの事。

なんだそれ!なんでそんなことなってんの?

僕は普段あまり怒りは露わにしない方だけどその時ばかりは怒り散らした。もちろんその同年代C社長が悪いわけでもないし、それどころかそう言われてたのにこうやって食事をしてさらにこんな暴露までしてくれたのだ。
でも、僕は怒りが収まらない。
しかし、どうしようもない。
その日はC社長にも当たり散らしてしまい、ほとんど飲まない酒も飲み酔っ払って近くのホテルにC社長が部屋を取ってくれたらしくそこで寝てしまった。

朝ホテルで目覚めた僕は昨日のことを思い出してまた怒りが湧いてきたが、それ以上にC社長に悪いことをしたと思って電話をかけた。たが、仕事しているのだろう。C社長はその時は電話には出なかった。

僕はホテルを出て帰ろうと思い、シャワーを浴びて支度をして、ドアの前に立った。

そうすると、ドアの前のカーペットの上に封筒が置いてあった。拾って中を見てみると一万円札が50枚入っていた。

C社長はホテルをとって僕を部屋に置いて帰った時この封筒を置いて行ってくれたのだ。

僕は泣いてしまった。その封筒をもう一度よく見つめてカバンの中にしまった。そしてLINEでC社長に
ありがとう
とだけメッセージを残した。
このお金を絶対無駄にはしないと心に誓って。

そして、もう1通メッセージを打った。
今度は最初に会ったA社長宛に。

もう二度とお会いするつもりはありません。今までお世話になりありがとうございました。
お体に気をつけて元気にお過ごしください。

と。僕の周りにはC社長以外誰もいなくなった。

元々知り合いや友達は経営者仲間や会社の幹部がほとんどだったのでこれでそのグループとも縁が切れたことになる。

正真正銘だった1人。何もないところから生きていくしかなくなった。

つづく。

FXの話まで全然進めてません。すみません。

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