2〜5月に聴いたアルバム

2月15日(金)

・MGMT - Oracular Spectacular (2007)
 ながらく聴いていなかったという感じ。デビューアルバムとしてはなかなかフックが強い。歌詞もなかなかドギツイし。個人的に「Kids」と「Electric Feel」が好き。

・SUGAR BABE - SONGS (1975)
 山下達郎が七〇年代に組んでいたバンドの唯一のアルバム。全体的に荒削りな感じ。曲の完成度は高い。よく演歌がバリバリ流行っていた頃にこんなシティポップを作れるよなあと思う。

・Grateful Dead - American Beauty (1970)
 カントリーというかフォークというか。この雰囲気にめっぽう弱い。ので、名盤。一曲目のイントロが良い。ほかもだいたいアコースティック主体。

・10cc - The Original Soundtrack (1975)
 架空の映画のサウンドトラック、というコンセプト。超名曲「I'm Not In Love」が収録されたアルバムでもある。「The Second Sitting For The Last Supper」いいですね。曲調がコロコロ変わるのもいいし、ぜんぜん古くない。

・Kurt Vile - Wakin On A Pretty Day (2013)
 Pavementの「Terror Twilight」に似た、インディーロックのゆるい空気をまとったアルバム。まだよくわからない。「Girl Called Alex」が良い。

・King Krule - The OOZ (2017)
 再聴。「Dum Surfer」を死ぬほど聴いたものの、アルバムごとではあまり聴いてこなかった。雰囲気は暗く重い。ジャズとブルースとインディーロックの共存。

2月16日(土)

・キリンジ - 3 (2000)
 ひじょうにジャケットが暑苦しいアルバム。キリンジは曲構成というかコードがだいぶひねくれている。いかにもポップス、という音でJPOPにはありえないような展開をするので(「車と女」と「ニュータウン」にはビビった)、良い意味で落ち着けない。一時間を超えるアルバムだがぜんぜん飽きない。やっぱりアウトロがめっちゃ長い曲はいいなあ(「サイレンの歌」を聴きながら)。

・松原みき - POCKET PARK (1980)
「真夜中のドア/Stay With Me」がなんといってもすばらしい。「That's All」もいい。シティポップを中心に、バリエーションよくおさえていると思う(曲調がだいぶばらけているというか)。いかにも八〇年代という感じ。

・Franz Ferdinand - Franz Ferdinand (2004)
 これもまともに聴いていなかった。六〇年代のロックの音がありながら完全に〇〇年代の音楽にとけ込んでいるのがすばらしい。このころたしかポストパンク・リバイバルとかいって、古い音への回帰じみたものがブームになっていたと思う(直接経験はしてない)。「Take Me Out」を聴いたときはほんとうに驚いた。「Cheating On You」めっちゃ楽しそう。

2月17日(日)

・Tortoise - TNT (1998)
 Bastroのドラマーだったジョン・マッケンタイアが加わったバンド、の3rd。「Millions Now Living Will Never Die」もあるが、こっちもまともには聴いてない。「I Set My Face To The Hillside」哀愁を感じる。

・The Smiths - Meat Is Murder (1985)
「The Headmaster Ritual」の軽快なイントロで幕を上げる(歌詞はかなり重い)。スミスのギターを聴くといつもスピッツを思い出す。初期あたりは確実に意識していると思う。明るい音と暗い歌詞の対比。

・Weezer - Weezer (1994)
 再聴。ダサい奴らでディズニーランド行ったみたいなジャケット。てっきり九九年くらいに出たと思っていたので、まさか「The Bends」の前年に発表されたとは思いもしなかった。しかし古くない。

・THA BLUE HERB - STILLING, STILL DREAMING (1999)
 ブルーハーブの1st。単純にBOSSの声がいい。日本語ラップはずっとダサいと思っていた矢先、「STOICIZM」を聴いてびっくりした。あとリリックがいい。

・Codeine - Frigid Stars (1990)
 再聴。極寒の星々。スロウコアの親玉といわれるバンドの1st。演奏の拙さをカバーするためにBPMを落としたらしい。冬の寒さと孤独感が押し寄せてくる。イントロが同じ曲がけっこう多い。

・Grouper - Ruins (2014)
 再聴。Liz HarrisのGrouper名義での10th。曲自体は2004〜2011の間に録音された(カエルの鳴き声も聞こえる)。いわゆるドローンミュージック。鳴っているのはピアノと声だけで、その声も細々としてほとんど聞き取れない。タイトル、ジャケット、音像、とにかく鬱々しいというか。しかし安らぐ。

2月19日(火)

・MONO NO AWARE - 人生、山折り谷折り (2017)
 モノ・ノー・アウェア、ではなくもののあはれ。「井戸育ち」歌詞がいい。「To(gen)kyo」の地名の使い方がおもしろいですね。あと音がこもってる。ギターが最近流行りぎみのドリームポップみたいで落ち着く。「駈け落ち」まさに駈け落ちていくような曲展開。

・MC5 - Kick Out The Jams (1969)
 冒頭のMCと曲の始まりが完璧。「Kick Out The Jams」はRATMもカバーした名曲。演奏もうまい。六〇年代にこのパンクをやれるのはすさまじい。「Borderline」Creamにこんな曲なかったっけ? 「Motor City Is Burning」静かなイントロから徐々に盛り上がるのがいいですね。

・Talking Heads - Remain In Light (1980)
 たぶん再聴。「Born Under Punches」を聴いたとき、三十年以上も前にこんな音楽をするバンドがいたのかと驚いた。ファンクのリズムというか、たぶんザゼンの向井秀徳も意識している要素が盛り込まれている。「Once In A Lifetime」の皮肉まみれな歌詞もいい。

・The Zombies - Odessey & Oracle (1968)
 ちょくちょく再結成しているらしい。コーラスワークがよい。あと流れがいい。ちょくちょくインタールードのような曲を挟んで小休止するところとか。オルガンの音が安らぐ。ビーチ・ボーイズもビートルズもそうだけど、この時代のバンドはみんなコーラスがうまい。

・The xx - The xx (2009)
 ギター、ベース、キーボードのみのバンド。音が少ないので曲がスカスカになるのは3ピースあるあるだが、その無音部分の使い方がうまい。「Crystalised」がいいですね。リズムギターの使い方もいい。印象に残るギターソロがないので何度も聴かないと全体像がつかめない。

・スタまにシリーズ 少女革命ウテナ (2005)
 ウテナは、二十年前のアニメといえどバンクや表現方法がとても斬新だったのと、キャラの描きかたがうまかったので、四十話近くある全編をすぐに完走してしまった。で当然曲にもほれる。天井桟敷のJ・A・シーザーが楽曲担当ということでかなり豪華。

2月20日(水)

・Talk Talk - Spirit Of Eden (1988)
 再聴。トーク・トークの4th。ジャズやクラシックの要素が濃い。アルバムそのものは一昨年に買っていたのだが、難しかったのであまり聴いてこなかった。パーソネルにあるように多くのサポートメンバーが雇われていて、もはやバンドの体をなしていない、ともいえる。静と動のバランスが良い。

・Four Tet - Rounds (2003)
 フォー・テットの3rd。弦楽器のサンプリングが印象的。パーカッションが小気味良い。「Unspoken」「Slow Jam」が白眉。ドミノレコードはだいぶ畑が広い。

・The La's - The La's (1990)
 ギリ九〇年代。これ一枚出してラーズは解散してしまった。短い曲が多い。全体的にふつう。とくに言うことなし。しかし「There She Goes」は完璧な曲。

・Neil Young - Harvest (1972)
 ニール・ヤングの4th。「After The Gold Rush」がとてもよかったのでこっちへ。カントリーの懐かしい感じが前面に出ている。「Heart Of Gold」はジョジョの元ネタ。「Old Man」めっちゃツボ。楽曲の振り幅が大きい。

・Nothing But Thieves - Nothing But Thieves (2015)
 ナシング・バット・シーヴズの1st。ボーカルの中性的な声がとても良い。無駄に引き伸ばさずスパッと曲を終えるのも良い。「Ban All The Music」「Hostage」「Drawing Pins」がツボ。

2月21日(木)

・スピッツ - ハヤブサ (2000)
 スピッツの9th。このバンドのなかでは異色作といわれている。「いろは」「甘い手」が良い。シューゲイザーっぽい曲(いわゆるライド歌謡)やブリットポップ(スミスとかキュアーとか)っぽい曲もあるが、どれもスピッツ「らしい」といえるのが凄まじいところ。「ホタル」も良い曲。「アカネ」は「1979」っぽい。

2月22日(金)

・The Slits - Cut (1979)
 3ピースガールズバンド。扇情的なジャケットが印象的なアルバム。パンクというよりはレゲエに近い。音はスカスカしていてなんといってもギターの音が小さい。変なドラムの使い方とやる気半分くらいのコーラスが独特のグルーヴを生み出している。ボーカルの声が良い。「Typical Girls」が良い。展開がまったく読めないところとか。やっぱりよくわからない。「Liebe And Romanze (Slow Version)」マジでわからん。

・あぶらだこ - あぶらだこ (1986)
 あぶらだこの2nd。いわゆる青盤。「ガロア」はドタバタドラムとゴリゴリベースが終始気持ちいい。気色悪い演奏にのっかる気色悪いボーカル。「祝言」とかかなりポップ。ディリンジャーにちょっとだけエモい展開があったように、あぶらだこにも正統なパンクの曲展開が垣間見える。「四部屋」盆踊りしかけた人間を殺す曲。

・04 Limited Sazabys - CAVU (2015)
 フォーリミの1st。ボーカルの声が良い。メロコアバンドってみんな演奏が上手いと思う。特にドラム。「fiction」疾走感がある。「knife」面白い曲。「me?」も曲の展開が好き。

・Death Cab For Cutie - Something About Airplane (1998)
 デスキャブの1st。このバンドがもつ優しさみたいなものは感じられる。「President Of What」が好み。「Sleep Spent」ドラムのやるせない感じがいい。「Amputations」→「Fake Frowns」の流れが良い。

・Dinosaur Jr. - Green Mind (1991)
 ダイナソーJr.の4th。ジャケットが良い。「The Wagon」初っぱなからエモい感じ。ドラムのドタバタがとても好み。ヘタウマなボーカルも良い。一人でぜんぶ演奏しているらしくて驚き。アコースティック多め。「Muck」好み。

2月23日(土)

・Noel Gallagher's High Flying Birds - ST (2011)
 ノエル・ギャラガーのソロの1st。「Dream On」がやっぱりいい曲。しっとりした曲が多い。「(I Wanna Live In A Dream In My) Record Machine」ピアノが印象的。「AKA... What A Life!」は次作の「Ballad Of The Mighty I」につながる感じ。「AKA... Broken Arrow」も良い。「Stop The Clocks」ビートルズのサイケな雰囲気。

・The Jimi Hendrix Experience - Are You Experienced (1967)
 ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスの1st。ドラムがめちゃくちゃ上手い。「Manic Depression」とか。

・The Music - Welcome To The North (2004)
 ザ・ミュージックの1st。「Welcome To The North」を聴いたときは衝撃的だった。あらゆるジャンルを融合させた音楽という感じ。できれば解散する前にライブを見に行きたかった。「Into The Night」曲構成が良い。あとボーカルの声が良い。良盤。

2月24日(日)

・thee michelle gun elephant - Chicken Zombies (1997)
 ミッシェルの3rd。正直いって音質が悪すぎる。ギターの音がダマになっていて耳障りがよくない。が、最初聴いたときはメッチャかっこいいと思った。チバユウスケのガラガラ声がいかにもパンクという感じ。ベースもゴリゴリして腹に響く。「Sunny Side River」エモくて良い。「I've Never Been You (King Time)」でスパッと終わらすのも良い。

・Joni Mitchell - Clouds (1969)
 ジョニ・ミッチェルの2nd。起き抜けのような音楽。「Chelsea Morning」コーラスが好み。アルバム全体に妖艶な雰囲気がある。「Roses Blue」のジワジワ迫ってくる感覚がおそろしい。ほとんどアコースティックギターと声のみだが、これ以上足すものが要るとも思えない。「Songs To Aging Children Come」ただならぬ重さを感じる。「Both Sides, Now」良い曲。

・AAA - GOLD SYMPHONY (2014)
 AAAの9th。思っていたよりも長いこと活動していて驚いた。声が良い。「CIRCLE」良い曲。「Love」で小休止を挟んでいるのが良い。あと多人数なので合唱に近い歌い方だったりラップ担当がいたりと、メンバーにその都度割り振り出来るのが強みに感じる。「V.O.L」良い曲。「Wake up!」を最後にもってきてるのが良い。

・Little Feat - Sailin' Shoes (1972)
 リトル・フィートの2nd。気味悪いジャケット。「Willin'」良い曲。表題曲の不安定な感じもいい。ガラッと雰囲気をかえる「Teenage Nervous Breakdown」も良い。まだよくわからないので様子見。

・Elliott Smith - Elliott Smith (1995)
 エリオット・スミスの1st。アコースティックギター主体の素朴な味付けが多い。優しいような声で「fuckin'」とか言うので油断ならない。「Southern Belle」良い曲。

・GRAPEVINE - 真昼のストレンジランド (2011)
 グレイプバインの11th。正直いってこのアルバムはあまり聴いていない。ほかのアルバムとくらべて「異国感」があったからだろうか。アメリカンインディーくさい雰囲気みたいな。「Sanctuary」「Dry November」みたいなタイトルからフォークナーが連想される。「真昼の子供たち」も元ネタはラシュディの「真夜中の子供たち」だし。田中和将は日本でも指折りのリリシストだと感じる。

2月27日(水)

・Robert Wyatt - A Short Break (1992)
 ロバート・ワイアットのEP。彼の在籍していたソフト・マシーンはまだ聴いてない。宅録丸出しの四トラックの音。この人の音楽はよくわからない。ビョークやシガー・ロスもそうだが、あまりに風土の異なった人々の音楽を聴くと、同じ人間とはいえこうも音の使い方が違ってくるのかと驚くことがある。ロバート・ワイアットはイギリスの出身だが、ほかのブリティッシュアーティストとは毛色がちがうというか、一線を画しているというか。

4月13日(土)

・水中、それは苦しい - 手をかえ品をかえ (2011)
 水中、それは苦しい(以下「水中」)の5th。一九九二年に結成されたと聞いてなにかの冗談かとびっくりしたが、現在のアコギ、バイオリン、ドラムの編成は二〇〇五年にできたものらしい。初っぱなの「農業、校長、そして手品」からぶっとんでいる。リスナーをどの感情へもっていきたいのかはなはだ理解できない。バイオリンとコーラスがよい。やっぱりストリングスって大事なんだなあ。「俳句」俳句じゃねえし。

5月19日(日)

・四人囃子 - 一触即発 (1974)
 ながらくやめていたアルバム日記の再始動の一枚。邦楽におけるプログレの草分け的存在、とのこと。表題曲のイントロにふたたび帰っていく展開がひじょうに格好いい。ディリンジャーの「43% Burnt」もそうだが、曲途中にイントロに戻る展開が僕は好き。「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」奇妙なメロディに奇妙な歌詞がのっかる。映画に出たことのない子どもは円盤には乗れない、らしい。ゆらゆら帝国に通ずるものがある。

・The Millennium - Begin (1968)
「Sing To Me」良い曲。「Karmic Dream Sequence #1 」後半から突然琴の音がしはじめて雅。

・青葉市子 - qp (2018)
 全体的に物憂い雰囲気。Nick Drakeの「Pink Moon」を彷彿とさせるミニマムな音づくり。「月の丘」が白眉。どの曲も、真夜中の公園に月がさして、その光のなかに子どもがたたずんでいる、というイメージが想起される。浮き世離れした感じ。

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