10月に聴いたアルバム

10月5日(土)

●ペトロールズ - GGKKNRSSSTW (2019)
 ペトロールズの2nd。「GIRL」イントロがないのがすごい。ぬるっと始まり爆発しぬるっと終わる。「GO AHEAD」展開が少なくシンプル。良い曲。「KAMONE」多幸感のある曲。EDに流したい。「KOMEKAMI」コーラスがいい。アルバム全体で音がこもってる感じがする。「NIGERO」長さを感じない。「REVERB」2:10〜あたりからの展開が好み。良い曲。「SEKKINSEN」特に音数が少ない。ライブで見たクラップみたいな音がする変な形のシンバルが印象的。ラップを混ぜたような歌い方もいい。「SHAPE」落ち着いた感じがある。「SMOOTH ME」字間の詰まった珍しい曲。「TANOC」全然楽しそうじゃない感じなのが良い。「WAON」名残惜しさのある曲。全体的には、たしかに曲があるだけというイメージが強く、べつにどの曲から始まって、どの曲で終わってもかまわない、そんな感じがある。

10月6日(日)

●Sun Kil Moon - Admiral Fell Promises (2010)
 サン・キル・ムーンの4th。全編マーク・コズレックによるクラシックギターの弾き語り。「Alesund」 ノルウェイの都市オーレスンを歌った歌。夕方ごろの冷たい風が吹く岸辺が感じられる。「Half Moon Bay」カリフォルニア州のハーフムーンベイ。朝の霧の中のイメージ。「Sam Wong Hotel」これもカリフォルニアに関した歌?歌詞が否定的。「Third And Seneca」さまざまな地名と人物のつらなり、IとYouの対比に気が沈む。無常を感じる。良い曲。「You Are My Sun」静謐な歌詞がいい。優しさと哀しさが同居している感じ。「Admiral Fell Promises」すごい歌詞。常人には書けない。「The Leaning Tree」これも歌詞がいい。終わったとみせかけて、まだちょっとだけ展開するという感じがいい。「Australian Water」まさしく川のように流れるギターの音がいい。「Church Of The Pines」深夜の空気が感じられる。「Bay Of Skulls」夜明けのころの、ちょうどジャケットのモノクロ写真のような色合いの曲。これからの季節にぴったり。

・辻隼人 - 狂子先生 (2012)
 辻隼人の1st(たぶん)。ピアノの弾き語りでオルタナティブロックをやるトムヨークという感じ。「羊歯の眼の彼女」ミニマルな進行とうめき声みたいなボーカルがいい。ギターだとエフェクター次第で緩急をつけられるが、基本的に音が単一のピアノでここまでできるのはすごいと思う。「OH! エリオット」いい曲。躁鬱っぽくていい。「憂鬱と病気と子供の時代へ」エレクトロニカみたい。「WRECKER」最終回で流したい。「氷のベルを鳴らす者」階段をのぼっていく感じの曲。ピアノってここまでできるんだと気づかせてくれるいい一枚。

・Public Image Ltd. - Flowers Of Romance (1981)
 パブリック・イメージ・リミテッドの3rd。「Four Enclosed Walls」エスニックなボーカルとドラムと水がちょろちょろ流れる音みたいなので構成された曲。「Track 8」凄い。反復するずれたドラムの上になにを奏でるでもないギターが乗っかっただけ。エレクトロニカの先触れともいえるが。「Phenagen」なんか薄暗い地下室みたいな…This Heatぽさがある。あれもダブなので、通底するものがあるのかもしれない。「Flowers Of Romance」祭儀音楽?ドラムとボーカルだけで成立してる節さえある。「Under The House」のちのバウハウスやデッド・カン・ダンスにつながっていきそうな感じの音。ドラムというか太鼓。きわめて土着的な神にむすびついた「音楽」の気がある。「Banging The Door」ここにきてやっと普通の曲。「Go Back」これとか凄い。普通にライアーズあたりがやりそう。「Francis Massacre」やりたい放題。ボアダムスもそうだが、やはりドラムだけで充分に音楽は成り立つのかも。

10月7日(月)

・R.E.M. - Green (1988)
 R.E.M.の6th。「Pop Song 89」歌詞が面白い。いい曲。「Stand」いい曲。同じフレーズを繰り返すだけでもそれっぽくなるのがすごい。「World Leader Pretend」USインディーの温かみを感じる。「Orange Crush」ベースとドラムで引っ張る感じのかっこいい曲。アッサリしたアコースティックの曲をこういった曲の間に挟んでいる感じがある。「I Remember California」雰囲気がいい。ずっと聴いてたら気が狂いそうになるが。「11」隠しトラックもいい。おそらくこれからも聴くだろうアルバム。

10月9日(水)

・Jaco Pastorius - Jaco Pastorius (1976)
 ジャコ・パストリアスの1st。「Donna Lee」太鼓とベースが鳴るのみ。だがすごくいい。ハーモニクスが特に。「Come On, Come Over」ベースを中心とした曲。リズムがいい。「Continuum」ベースがキーボードのように聴こえる。ぬめぬめした感じがまさにContinuum。「Kuru / Speak Like A Child」木綿のハンカチーフみたいなイントロ。打って変わってジャジーな曲。「Portrait Of Tracy」めっちゃいい。こういう曲だけでアルバム作らなかったんかな。「Okonkole Y Trompa」つぶさに聴こえるベースとドラムの上で悠長に音が鳴っているのがいい。いいアルバム。

●R.E.M. - Out Of Time (1991)
 R.E.M.の7th。「Radio Song」the world is collapsingというフレーズで始まる一曲。ギターのアルペジオがいい。劇的な盛り上がりをしないのもいい。「Losing My Religion」楽器の数が多いが名曲。疲れてる感じがいい。「Low」打って変わって落ち着いた感じ。「Near Wild Heaven」温かみのある良い曲。「Shiny Happy People」構成が面白い。「Belong」小休止的な曲なんだろうけどめちゃめちゃいい。「Half A World Away」メロディが良すぎる。天才か?「Texarkana」すごい。「Country Feedback」虚脱感。「Me In Honey」展開しない曲。おそろしいアルバム。なによりこれの翌年に『Automatic For The People』を出したことが。

10月11日(金)

●Nick Drake - Made To Love Magic (2004)
 ニック・ドレイクの未発表曲集。「Rider On The Wheel」優しい。すばらしい一曲。「Magic」儚げな歌詞と温かなメロディ。「River Man」アコースティック版。音も悪いがこっちのほうが好み。「Joey」良いギター。「Thoughts Of Mary Jane」エレキギターの絡みがいい。「Mayfair」楽しげな一曲。珍しいっちゃ珍しい。「Hanging On A Star」ファルセットを使った曲。おそらく一本なのだろうが、二本あるように聴こえるギターの音がすごい。「Three Hours」太鼓がいい。「Clothes Of Sand」いい曲。「Voices」『Pink Moon』にあってもおかしくない曲。「Time Of No Reply」正直ギターだけでいい。いい曲。「Black Eyed Dog」朝を感じる曲。「Tow The Line」静か。アウトテイクとは思えないくらい良い曲ばかりのすばらしい一枚。

・平沢進 - サイエンスの幽霊 (1990)
 平沢進の2nd。「世界タービン」気狂う。どの機械を使うとこの音が出るのかはわからないが、凄まじい曲。「ロケット」一転してアコースティックな曲。コーラスが戸川純。同じフレーズを何度も繰り返すのでライブ映えしそう。「フィッシュ・ソング」P-MODEL時代の曲のカバー。原曲を知らないのでなんともいえないが、いい曲。「カウボーイとインディアン」ネタ曲?運動会で盛り上がりそう。「QUIT」ゆったりした曲。荒涼とした砂漠を思わせる。アウトロの笑い声が怖い。「アモール・バッファー」咳込み。「夢みる機械」いい曲。「テクノの娘」ほぼインスト。「FGG」短いがいい曲。およそ30年前の音楽とは思えない。

10月12日(土)

・Marissa Nadler - Ballads Of Living And Dying (2004)
 マリッサ・ナドラーの1st。「Fifty Five Walls」ジャケットのイメージを想起させる曲。「Hey Tantos Muertos」寒い。「Box Of Cedar」いい曲。どの曲も室内で宅録したような孤独感と温かみ優しさがあり、Codeineの『Frigid Stars』にならんで、冬の季節によく合うアルバムと思う。

10月13日(日)

・折坂悠太 - 平成 (2018)
 折坂悠太の2nd。「坂道」懐かしい感じがする。昭和の感じ。「逢引」歌い回しが凄い。「平成」赤い夕暮れが思われる。打ち込みではあるが決して冷たくない。「みーちゃん」Beckの「Go It Alone」を想起せられるイントロからのフォークな伴奏。いい曲。「夜学」なぜかこの曲の語り手が眼鏡のガリ勉なように聴こえる。「さびしさ」秋の夜風に吹かれたい一曲。EDで流したい。ライブでもこの曲が特にすごかった。「光」名残惜しさを感じるいい曲。いいアルバム。

・THE NOVEMBERS - zeitgeist (2013)
 THE NOVEMBERSの4th。時代精神。「zeitgeist」変拍子で襲いかかってくる。「We」緻密なフレーズと各楽器のバランスによって不安を描き出すと感じる。タイトルはザミャーチンの『われら』から?「Louder Than War (2019)」緊張感があってたいへんよい。「Wire (Fahrenheit 154)」メロディに違和感ない日本語を乗っけられるのがすごい。「D-503」手のひらを太陽にからの引用を聴くとは思わなかった。「鉄の夢」緩急のつけかたがいい。ライブで盛り上がる。名曲。「Meursault」カミュ『異邦人』のムルソーから?「Sky Crawlers」盛り上がり方がいい。「Ceremony」歌詞がいい。シメの「Flower of life」もいい。なぜかフィッシュマンズの「BABY BLUE」を思い出す。良盤。

・Fleetwood Mac - Rumours (1977)
 フリートウッド・マックの11th。「Second Hand News」いい曲。「Dreams」良質なポップスという感じ。「Never Going Back Again」→「Don’t Stop」の流れがいい。「Go Your Own Way」ノリのいい曲。「Songbird」裏で鳴るアコギがよい。「The Chain」ロック然とした曲。「You Make Loving Fun」コーラスがいい。「Oh Daddy」いろいろな音が入って面白い。「Gold Dust Woman」荒涼とした大地を感じる。一度聴いたかぎりでは、良質なポップスとしか感じられない。

10月14日(月)

・Killing Joke - Killing Joke (1980)
 キリング・ジョークの1st。良ジャケット。「Requiem」めっちゃかっこいい。インダストリアルロックの先触れという感じ。「Wardance」一定のフレーズを刻みつづける楽器隊によりダンサブルな要素もあるのがいい。「Tommorow’s World」このフレーズの繰り返しはビッグ・ブラックを思わせるものがある。「Bloodsport」インスト。「The Wait」テンポがいい。「Complication」バスドラがずっと鳴ってるのがいい。「S.O.36」緊張感があっていい。「Primitive」締めがいい。のちのパンクにつながる名盤と思う。

●Boards Of Canada - Music Has The Right To Children (1998)
 ボーズ・オブ・カナダの1st。「Telephasic Workshop」バスドラ連打が気持ちいい。タイトルどおり、古ぼけたカメラで撮られた幼児期を想起させる。「Turquoise Hexagon Sun」虚脱感を感じる。名曲。ドラムの音がいい。「Roygbiv」名曲。全体として抽象的な音像とクリアなパーカッションの絡みがマジでいい。たしかな名盤。

10月15日(火)

・Built To Spill - Perfect From Now On (1997)
 ビルト・トゥ・スピルの3rd。全8曲54分。「Randy Described Eternity」やるせない感じ。ビルスピのなかでもギターの歪みに重きを置いたアルバムで全体的に重い。「I Would Hurt A Fly」なにかしらの後悔の感じ。ずっとギューンやってるギターとリズムを弾くギターとで役割分担してるのがいい。「Stop The Show」ポップな曲。「Made-Up Dreams」劇的に展開はしないがエモさを感じる。「Velvet Waltz」呻きのようなギターがつらい。「Out Of Site」いい曲。どんな曲構成をしているのかはまったくわからないが。「Kicked It In The Sun」リフが明るめで文字どおり太陽を思わせる一曲。「Untrustable / Part 2 (About Someone Else)」ゆっくり丁寧に進んでいく印象を受ける。

10月16日(水)

・OGRE YOU ASSHOLE - 100年後 (2012)
 OGRE YOU ASSHOLEの5th。「これから」ゆったりした曲。ゆらゆら帝国みを感じる。「夜の船」名曲。郷愁を感じる。「素敵な予感」必要最低限の音だけが鳴っていると思う。シームレスに「100年後」へ。「すべて大丈夫」個人的にめっちゃ好きな曲。EDで流したい。「黒い窓」喪失感の一曲。「記憶に残らない」配置が完璧。「泡になって」いい曲。ミドルテンポで聴かせるアルバム。

・People In The Box - Ghost Apple (2009)
 People In The Boxの3rdEP。全7曲で月〜金曜日のコンセプトアルバム。「月曜日 / 無菌室」いい曲。とても3ピースとは思えないが、たしかにギターが一本しか鳴っていないので凄い。「火曜日 / 空室」ベースの音をサンプリングのように使っているのがいい。世界の構築が巧みだと思う。「水曜日 / 密室」マジで変態。ジェットコースターのような曲。「木曜日 / 寝室」歌詞のアンバランスさがよい。「金曜日 / 集中治療室」ギターでマーチみたいな音を出してるのがいい。「土曜日 / 待合室」だれかが死んだ曲?「日曜日 / 浴室」なんか突き抜けた感じがある。強烈な一枚。

◎Neutral Milk Hotel - In The Aeroplane Over The Sea (1998)
 ニュートラル・ミルク・ホテルの2nd。大海原をただようようなメロディと音の尖ったアコギやドラムやトランペットが絶妙にからみあう。「In The Aeroplane Over The Sea」と「Holland, 1945」は間違いなく名曲。文句なしの名盤。言うことなし。

◎GRAPEVINE - Sing (2008)
 GRAPEVINEの9th。流れが完璧。すばらしい一枚。言うことなし。

10月20日(日)

・Kendrick Lamar - To Pimp A Butterfly (2015)
 ケンドリック・ラマーの3rd。メンツが超豪華。「Wesley’s Theory」だいぶジャジー。「For Free? (Interlude)」ドラムが凄い。コーラスが凄い。インタールードとは思えん完成度。「Institutuonalized」スヌープ・ドッグ参加。「U」鬼気迫る語り口。「Alright」名曲。ときどき差し挟まる「I remember you was conflicted…」のフレーズがアルバム全体を表現しているように思う。「The Blacker The Berry」これも怒りを感じる曲。「I」アップテンポ。いい曲。最後の「Mortal Man」は二人の問答で終わるのだが、英語なのでこればかりはわからない。しかしインストだけとってみても非常に完成度の高い一枚といえる。

10月21日(月)

・中村一義 - 太陽 (1998)
 中村一義の2nd。「魂の本」突拍子のない展開が続く。例によって何を言っているかわからない。「再会」夕暮れの曲。「ゆうなぎ」懐かしさを感じる。楽器がいい。「日の出の日」めっちゃいい。EDにしたい。「そこへゆけ」歌詞の通り海に向かってる感じがある。しかしどちらかというと帰宅の曲?「歌」哲学の問いのような曲。というか歌。「笑顔」合唱曲みたい。いい。「生きている」その名の通り生を感じる。「いつも二人で」いいシメ。

10月26日(土)

・Metallica - Metallica (1991)
 メタリカの5th。「Enter Sandman」チョーーーーかっこいい。「Sad But True」リフがヘヴィーでずっしりくる。基本的にミドルテンポで全体で盛り上げにいく感じの曲が多く、職人技といわざるをえない。「The God That Failed」めっちゃかっこいい。曲順にかんしては特につかみかねたが、91年とは思えん音作りがひじょうによい。

・Tim Buckley - Goodbye And Hello (1967)
 ティム・バックリーの2nd。「No Man Can Find The War」変な曲。「Carnival Song」これも変な曲。サイケっぽくて怖い。「Pleasant Street」ほとんど女性ボーカルに聴こえる。「I Never Asked To Be Your Mountain」たくさん楽器が鳴っているが、頭のなかに浮かぶイメージにはボーカル一人しかいない、そんな曲。「Once I Was」歌詞がいい。「Goodbye And Hello」8分を超える長尺の曲。展開がめまぐるしく変わりミュージカルのよう。ただの弾き語りでは終わらせないなにかがある。

10月27日(日)

●銀杏BOYZ - 君と僕の第三次世界大戦的革命 (2005)
 銀杏BOYZの1st。気持ち悪り〜〜。「SKOOL KILL」きめぇ〜。突っ走る感じがいい。これ中学のときに聴いてたらヤバい拗らせかたしただろうな。「トラッシュ」歌詞がいい。「駆け抜けて性春」いい曲。エモい。アルバムが進むごとにだんだんしおらしくなっていく感じがある。「漂流教室」こういうのに弱い。「若者たち」7分間テンション上げっぱなしで続くすげえ曲。すばらしい。「青春時代」すごい。「東京」人生の縮図のような曲。まさしく一大絵巻。完璧な名盤。

・Daniel Johnston - 1990 (1990)
 ダニエル・ジョンストンの11th。「Devil Town」で静かに始まる。前3曲は同じ主題について歌っていると(感覚だが)感じる。ピアノとアコギの弾き語りが多い。「Don’t Play Cards With Satan」ライブ音源。急に叫ぶ。「True Love Will Find You In The End」名曲。「Got To Get You Into My Life」ビートルズのカバー。なぜかめっちゃ低い鍵盤を叩いていて謎。「Funeral Home」ライブ録音。客が笑いながら唱和してて雰囲気がいい。「Softly And Tenderly」教会音楽(教会音楽でした)のような合唱で終わる。統一感はないがローファイな質感がいい一枚。

10月30日(水)

・七尾旅人 - リトルメロディ (2012)
 七尾旅人の6th。「圏内の歌」しっとり始まる。夜寝るときの感じ。いい曲。「Everything is gone」コーラスが心地よい。「サーカスナイト」名曲。テンポが一定していてよい。いつまでも続きそうな曲。「湘南が遠くなっていく」海岸沿いの道路を走っているような曲。「劣悪、俗悪、醜悪、最悪」→「busy men」にびっくりした。遊び心があっていいね。「アブラカダブラ」タブラが印象的な一曲。「Memory Lane」これいいな。特にギター。「リトルメロディ」子供の声が入るのがいい。いいことがありそうな予感のする一枚。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?