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もうひとつのフォーミュラリー 第1巻 ~薬剤師向けの医薬品集は存在しない~
第1章 はじめに
▶病院薬剤師の5つの悩み
この度は拙著を手に取っていただき、ありがとうございます。
突然ですが質問です。
あなたの施設は下記のうち、どれかに当てはまりますか?
□ 「薬剤師不足」に喘いでいる
□ 「教育体制」が不十分である
□ 「業務改善」の余地が沢山ある
□ 「情報共有」が徹底していない
□ 「予算」が不足している
もし当てはまらない場合は、今すぐ読むのを止めていただいて結構です。
本稿はこれらに該当する医療施設の薬剤師向けに書かれています。
かく言う私の勤務先もそうでした。
深刻な「薬剤師不足」が何年間も続いた(というか現在も続いている)
↓
「教育体制」が不十分なまま、若手を現場に投入せざるを得ない事態に
↓
やがて課題が山積し、「業務改善」が急務となる
↓
原因分析の結果、「情報共有」の必要性が浮上する
↓
情報統合システムを導入しようにも、高額なため「予算」が足りない
この5つの悩み(薬剤師不足・教育体制・業務改善・情報共有・予算)を克服するための方策こそが、本書のテーマ「フォーミュラリー」なのです。
▶フォーミュラリーとは?~7つの機能~
近年「フォーミュラリー」という言葉をよく耳にするようになりました。
特に有名なのが、2015年頃より増原慶壮先生(元聖マリアンナ医科大学病院薬剤部長・現日本調剤取締役)が提唱されている「科学的根拠に経済性を踏まえて策定された医薬品の使用指針」としてのフォーミュラリーです。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35137995/picture_pc_a9a594a6232254fdc5dcd1c8c0e597d6.jpg)
導入すれば近々診療報酬として評価されるという噂も漏れ聞きます。
ただ、何もこれだけがフォーミュラリーではありません。
フォーミュラリーは直訳すれば「医薬品集」。
下記のように、実に様々な意味合いがあるのです。
≪フォーミュラリーの7つの機能・側面≫
1.採用医薬品集(リスト):100%
2.臨床エビデンス(有効性・安全性)の評価・確認:76%
3.病院コストに対する薬剤費の影響の評価:85%
4.採用・中止の手続きのルール化(委員会・手順):93%
5.医薬品の使用手順書(標準化・適正使用) :63%
6.薬剤選択をサポートする情報(適正使用・チーム医療):45%
7.ジェネリック医薬品の使用促進:97%
※平成30年度第3回JASDIフォーラムより
ちなみに、付記したパーセントはJASDI(日本医薬品情報学会)会員施設に対して実施したアンケート結果に基づいています。
この本のタイトル「もうひとつのフォーミュラリー」とは、私がブログ・YouTube・Twitterで情報発信している「クラウド型医薬品集」のことです。
▶クラウド型医薬品集とは?~求められる3要件~
クラウド型医薬品集(以下「クラウド型」)は、文字通りクラウド上で制作した医薬品集のことで、医薬品情報サイトのリンクや専門書の引用で構成されています。
これは、「IT全盛」という時代背景を考慮すれば、(少なくともDI担当者ならば)ごく自然に思いつく発想です。
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