ちょっと待って!それ与えないで!
缶詰のドッグフードを愛犬に与えている方々へ。
ミズーリ大学の研究者によって行われ、『Science of the Total Environment』誌に掲載された最新の研究によると、缶詰のドッグフードを短期間与えるだけでも、犬の体内のビスフェノールA(BPA)の量が大幅に増加することが明らかになりました。
今回もドクターベッカーとミズーリ大学の研究の資料を元に、わかりやすく説明していきたいと思います。
ビスフェノールAに関連する健康問題
ビスフェノールAは、硬質プラスチック製の水筒や哺乳瓶、家電製品やスポーツ用品、DVDやCD、医療・歯科用具、眼鏡レンズ、歯科用シーラントや詰め物、サーマルペーパー(店舗のレシートなど)を含む、幅広い家庭用製品に含まれています。
また、ビスフェノールAは食品や飲料缶の内側にコーティングとして使用されるエポキシ樹脂にも含まれています。ビスフェノールAは内分泌撹乱物質であり、『Medical News Today』によると「…自然ホルモンの産生、分泌、輸送、作用、機能、排出を妨げる産業化学物質」と書かれています。
BPAは体のホルモン、特に女性ホルモンのエストロゲンをまねることで、人間や動物の健康に害を及ぼすことがあります。人間では、BPAにさらされることで、いくつかの健康上の問題が起こる可能性があります。
女性における生殖障害や乳がん、男性におけるインポテンツ(勃起不全)
心臓病、糖尿病、肝酵素異常 脳機能、記憶力、学習能力の問題 化学療法の効果低下 喘息
缶詰の食事を与えられた犬のBPAレベルを測定する研究
ほとんどの動物、人間も含めて、BPAには食事から触れることが多いです。市販のドッグフードにBPAがどれくらい含まれているか、そしてそれが犬の健康にどう影響するかは、あまり研究されていません。そこで、ミズーリ大学の研究者たちは、市販の缶詰ドッグフードを犬に少しの間与えたら、犬の血液の中のBPAの量がどう変わるかを調べることにしました。
研究チームは、缶詰ドッグフードからのBPAが、犬の腸の中の細菌にどう作用するか、また、犬の体の代謝にどんな変化をもたらすかも研究しました。
この2週間の研究には、普段はキブル(ドライフード)を食べている健康なペットの犬14匹が参加しました。犬の飼い主には、2週間の間、BPAを含む可能性があるプラスチック製の食器や器具を使用しないよう指示されました。また、プラスチック容器に入ったおやつを与えないようにとも言われました。
2週間の期間の前後で、犬から採取した血液と便のサンプル(腸内細菌の評価用)を使用しました。この期間中、犬には市販されている2種類の缶詰ドッグフードのいずれかを与えられました。そのうちの1つはBPAフリーであると主張していました。缶とその中のフードも、BPAのレベルを分析するために調べられました。
缶詰ドッグフードをたった2週間食べた後、BPAのレベルが3倍に増加
この研究の著者であるチェリル・ローゼンフェルド博士は、ミズーリ大学の獣医学部の生物医学科の准教授であり、ボンド生命科学センターの研究員です。
研究に参加した犬たちは、基準となる血液を採取した時点で、血中に少量のBPAを持っていました。しかし、2週間の間に2種類の缶詰食品のいずれかを食べた後、BPAはほぼ3倍に増加しました
血液中のBPAが増えると、犬の腸内の細菌や体の代謝に変化が見られました。また、BPAが増えると、BPAや他の環境化学物質を分解する細菌が減るかもしれません。
BPAにさらされると、腸の中の細菌にも変化が?!
血中のBPAレベルが増加しただけでなく、犬は代謝の変化や腸内細菌の変化もありました。研究者たちは、BPAに関連する環境化学物質を分解するのを助ける細菌の一種を減少させた可能性があると考えています。
犬は人間の健康の問題を知るのいい手がかり。。
私たちと同じ内部および外部環境を共有する犬は、BPAやその他の環境化学物質による人間の健康への潜在的な問題を示す優れた指標となる可能性があります。これらの発見は野生動物にも関連があるかもしれません。
BPAフリーと書いてるけど、それってほんと?
数年前、ペットフード活動家でありTruthAboutPetFood.comの創設者であるスーザン・シクストンはペットフード缶がBPAフリーであると主張するペットフードメーカーのリストを公開しました。スーザンによると、彼女のリストはミズーリ大学の研究でリンクされていたので、研究で使用された「BPAフリー」とされる缶詰ドッグフードが以下の10のメーカーからのものである可能性を絞り込むことができます。
Chicken Soup
Petropics
Merrick
Nutro
Weruva
Purina
Blue Buffalo
Iams/Eukanuba
Canidae/Felidae
Fromm
スーザンによると、もしこれらの企業のどれかが作る缶詰ドッグフードを愛犬に与えている場合、少なくともその缶がBPAフリーかもしれないし、そうでないかもしれないことが分かります。残念ながら、どれがBPAフリーでどれがそうでないかを確実に判断する方法はありません。
ペットフードの製造業者が、消費者がペットフードに含まれてほしくないもの(この場合は缶の内側のBPA)を知ると、その中のいくつかの会社は嘘をつくことがあります。嘘があるという確かな証拠(例えばテスト結果)がない限り、私たちができることはほとんどありません。
もし愛犬の缶詰フードに含まれるビスフェノールAが心配なら、栄養バランスの取れた新鮮な食事への切り替えを検討することをお勧めします。これは自宅で手作りするか、市販のものを利用することができます。
缶詰からドライドッグフードへの切り替えはおすすめしません。ドライフードは犬にとって適していないです。さらに、高温で加熱されることでタンパク質が変わり、栄養が減少し、発がん物質がペットの体に入る恐れがあります。
加工された食事を愛犬に与えている場合は、断続的なデトックス(解毒)プロトコルを検討してください。また、プラスチック製ではなく、ステンレス鋼、ガラス、またはセラミック製の食器や水の器を使用することをお勧めします。
少しでも愛犬に長生きしてもらいたいですよね。
今日もお付き合いありがとうございました。
参考資料:
https://truthaboutpetfood.com/bpa-lies/?ref=barkandwhiskers.com
https://www.medicalnewstoday.com/articles/221205