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静岡茶の染物「~駿河和染~」

静岡市は昔から織物や染物が盛んな町でした。地名にも布にちなんだものが多くあります。安倍川とその支流の藁科川に挟まれた「服織」という地名もその一つです。「ハトリ」と読みます。昨日お訪ねした染物工房はこの服織にあります。

私は、東京で国産地域木材にこだわった家具ショップを営んでおり、全国各地に取引先があります。張地についてもオーガニックな日本の織物にしたいと思い、日本各地を探していたのですが、一つの候補として偶然見つけたのがこの服織の工房でした。これだけでも縁を感じていたのですが、なんとこの工房の現在の代表である5代目が、同じ服織小学校の出身だということが昨日わかりました。こうなると、もう運命的なものを感じています。子供の頃は、服織の意味なんて考えたこともありませんでしたが、何かが繋がっていたのですね。

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さて、かんじんの染物についてですが、日本では、化学繊維の発達に伴い年々織物工場や染物工房は姿を消しています。静岡でもご多分に漏れず、後継者がいない工房はどんどん廃業しています。そんな中で若くして先代を亡くされた5代目は、試行錯誤の末、地元静岡の「静岡茶」に行きつきます。

これは、この鷲巣染物店が始めた技法です。
単純にお茶を使用し、染め上げるだけでは色を定着させることが出来ないため鉄を加えたり、化学反応を試したり。日々試行錯誤しながら静岡のお茶染めを研究して、染める時の温度や時間を変えたり、また何度も染めを重ねることによりこの薄紫色にたどり着きました。

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また、彼の工房はとても整理整頓されています。一般の方向けのワークショップを開いているからでもありますが、人の目を意識したレイアウトにすると、道具の使い勝手もよくなるのだと言っていました。たしかに、他の方の工房を訪ねると、みなさん例外なく道具の保管場所は整理されています。

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上の写真の刷毛は染料を布地に塗るためのもので、硬さや大きさを使いわけていますが、使用している毛は全て鹿です。刷毛は他にも人の髪の毛、馬の毛、シュロなどありますが、用途によって違うのですね。この道具も綺麗に並べてありました。やはり、いい職人は道具を大切にします。

静岡茶で染めた布地をうまく家具に使えないか。強度の問題、色落ちの問題、メンテナンスの問題、課題はいろいろありますが、考えるとなんかワクワクしてきます!

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