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日本円の実力低下、ルーブル暴落、米ドルは? 人民元が基軸通貨になる日は近い?

つい先日、こんなニュースが話題になりました。

世界で日本円の実力が下がり続けていることをご存じでしょうか。実力とは円と主要通貨を比較し、貿易量や物価状況を考慮して円の総合的な価値を計る「実質実効為替レート」で、この数字が50年前の水準に落ち込んでいます。

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経済オンチの私はくわしいことはわかりませんが、「良くないこと」というのはわかります。
私が中学生のとき、米ドル、ポンド、マルク、円などが、国際的な主要通貨だと習った覚えがあります。欧米の主要通貨に肩を並べるアジアの円を誇らしく思ったものです。

しかし、時代は変わりました。
ユーロが誕生し、日本経済や企業は長引く不況で元気を失いました。そして、30年前には考えられなかった中国の人民元の台頭。
数年前、北京国際ブックフェアで北京に行ったときには驚嘆しました。街にあふれる熱気、人の多さ、スマホを使ったキャッシュレス決済システムの浸透、洗練されたインフラ……20年ほど前に中国を旅行した身としては隔世の感があったものです。
とてもとても、日本がアジア経済の中心だなんてイキれません。こんな大国に日本が勝てるわけがない、いつか日本円は中国経済圏に飲み込まれてしまうだろう……と。
以下は現地メディアの日本語版ですが、人民元が日本円を抜いたというニュースもあります。

さらに、人民元が基軸通貨になる可能性について触れた記事もあります。

中国人民元が基軸通貨になり得るこれだけの理由
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2021/03/post-138.php

一昔前なら一笑に付されたでしょうが、人民元が米ドルと肩を並べて基軸通貨になる――そのリアリティが徐々に増しているようですが、実際はどうなのでしょう?
そんな疑問のヒントになる箇所を吉野薫『これだけは知っておきたい「経済」の基本と常識 改訂新版』から一部抜粋してお届けします。

 世界には国・地域の数だけ通貨の種類があると言っても過言ではありません。したがって多国間の貿易や投資の決済にそれぞれの通貨を用いていると大変な手間が掛かります。
 そこで、実際には「基軸通貨」と呼ばれる主要な通貨で決済されることがしばしばです。
「基軸通貨」とは世界的に決済に受け入れられる性質を持った通貨のことで、必要な条件として「世界的に流通量が多い」「通貨としての価値が安定している」「自由に取引される市場が世界各地にある」などを満たしている必要があります。
 基軸通貨として最もよく使われているのがアメリカのドルです。さまざまな通貨の為替レートを示す上でも、たとえば日本円であれば1ドル=100円といった具合に、米ドルを基準として各国の通貨の価値を示すのが一般的です。
 基軸通貨を握ると、その国はあらゆる国との間で貿易や投資の決済を自国通貨で行うことができるのですから、まずもって便利ですし、また為替レートの変動のリスクを低減することができます。
 第二次世界大戦後、米国が世界随一の基軸通貨を発行する国として、長らくその地位を享受してきたのです。
 これに挑戦しようとしているのが中国です
 中国は「人民元の国際化」を図っており、その一環として暗号資産の技術を活用した「デジタル人民元」の構想を実現しようとしています。
「デジタル人民元」の実証実験はすでに中国国内の主要都市で実施されており、その実現に向けた技術開発はすでに完了した、と中国人民銀行は述べています。

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 これが海外とのやりとりにも使われるようになって、その利便性が実証されれば、中国との経済関係が深い新興国などを中心に、人民元を利用して貿易や投資の決済が行われる事例が増える可能性があると指摘されています。
 もっとも現状では、国際的な決済において人民元が用いられる例はごくわずかにとどまっています。基軸通貨としてのアメリカドルの地位を人民元がおびやかす日が訪れるとしても、それは遠い将来のことになりそうです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(編集部 石黒)


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