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ガマズミの実を見る度「わらびのこう」恩地日出夫監督のフレーズを思いだす 原作「蕨野行」

*ガマズミの実が色付いて来ました。2020/9/22は秋分の日です。冬至まで夕暮れが早くなっていきます。寒さに向かう候ですが冬至が過ぎるまでのこの時期が好きです。

ガマズミは特別の木ではなく、山地や丘陵地の明るい林や草原に生えています。落葉低木で2m程度なので手に届きやすく採取が楽です。

アルミ媒染で薄柿色が染ります。

名前の由来を見ても「神つ実」あるいは「嚙み酢実」の転化。「スミ」は染からきたものという説もある。

アルミ媒染で明るい柿色が簡単に求めることが出来るのでこちらを信じたい感・・・です。

**私にはこの「ガマズミ」に特別な思い出があります。

「蕨野行」芥川賞作家 村田喜代子 と同名で、恩地日出夫監督「わらびのこう」(2003)映画です。

豊かな自然溢れる山形が舞台で、たまたま住んでいた山形で思い入れも多く見ることが出来ました。西置賜郡飯豊町で四季を通じて撮影されました。「日本で最も美しい村連合」加盟

「楢山節考」(深沢七郎) 貧しいい部落の「掟」を描いた棄老伝説。とは違った視点・発想ですが、残虐な事に変わりはありません。

美しすぎる山と変化する自然にのめり込んで、現実を忘れそうになりますが事実は胸が詰まるほど切ない「掟」です。

市原悦子さんが主演されていますが2019年に他界されています。

***それまでは都会で暮らしていて、いわゆる雑木林の中で暮らすことを夢見ていました。この映画を見てから雑木林は怖く夢は夢でなくなりました。樹は必要ならば植えればよいと。

インタビューの質問に「無人島に行く時何をもっていきますか?」と軽く尋ねられることがあります。海ではなく「一冬山で暮らさねばならない」のです。

60歳を過ぎて春まで生きていれば帰れる。”手ぶら”です。クイズやグランピングではありません。

人により捉え方はさまざまでしょうが、自然の美しさに飲み込まれこの現実と対峙することを忘れそうになります。

雪の中で死んでいく人もいます。その人を思い出した人の「ガマズミのような女だった」とフレーズが頭に残ってしまいました。ガマズミは晩秋になると熟して毒々しい色になります。春は白い小さな花がこぼれるように咲きます。

その時代には個性が目立つ方だった気がします。何度も響くフレーズですがガマズミの実は悲しくも早雪の中では際立って美しいのもです。

故人(女性)をしのぶフレーズは花に例えることが多い。この場合は花なのか実なのか・・・私には朱い朱い熟した”実”に思えたのです。

****江戸中期。時代区分で1681~1780年 棄老伝説(きろうでんせつ)も様々な説があります。しかし、60歳定年説を考えると「収入が無くなる」と同じ運命か・・・ともかんがえます。

後、一人生!(40年) 働く=収入を得ると違った価値観を考えてはいかがなものかと思い・・・ます。

以来この時期になると車を運転しながらも”ガマズミ”を探してしまいます。

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