森の種陶工所・森和良
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森の種陶工所・森和良


作品のこと

森の種陶工所は、「家の作品」と「日常使いの器」、ふたつのテーマで陶器を制作しています。
「家」をテーマにした作品は、15年くらい前に、突然イメージが頭の中にぱっと現れたことがきっかけでした。
今では、ティーポットやマグカップなどの食器もありますが、初めて作り始めたのが、家の中に灯りが灯る「灯りの家」です。

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作り始めたころは、家の中は空っぽでしたが、床ができ、暖炉や食器棚、テーブル、食事の様子など、人の暮らす風景も作るようになってきました。どんな家にしようかと考えるところから楽しく、時間を忘れて没頭してしまうので、自分の中では創作活動と位置付けています。
これは「保存食づくりが好きな人の家」です。棚に保存瓶がたくさん並んでいます。

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これは「クリスマスイブの家」。テーブルの上に鶏の丸焼きやプレゼント、バラの花が活けられた花瓶を置いています。

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「日常使いの器」では、現代の暮らしに寄り添い、使い勝手のよさを考えながら制作しています。最近は型を使って「たたら」で作る器が、軽くて重ねられ、円形以外の形も作ることができるので、積極的に取り組んでいます。
型は自分が作り、制作は陶芸修業中の奥さんにも手伝ってもらっています。

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私たちの暮らし

2020年春、新型コロナウイルスの影響を受け、クラフトフェアまつもとをはじめ予定していた仕事がすべて無くなりました。4年前に京都府綾部市の築100年を超える茅葺屋根の古民家と出会い、大阪の工房とを行き来ししながら改修したり、畑で野菜を作ったりしていましたが、これを機にと拠点を移しました。

家は、大工仕事に興味がある自分の手で改修したかったので、市から助成金をもらえる範囲は基礎の部分だけ工務店にしてもらい、それ以外の内装、外装すべてをこれから自らの手で行います。現在の住まいは、母屋の隣にある現在6畳一間に簡易台所を設置した離れのひと部屋だけです。お風呂もまだありません。
引っ越してきた当初は、家に付いてきた1.3反の畑を耕し、夏野菜をたくさん育てました。おかげで、この夏は野菜を収穫し食べる地盤を固めることができました。

仕事ばかりだった日々がいったんリセットされたことにより、がむしゃらに制作して販売することだけが人生の全てじゃない、ということを改めて考えました。
野菜は畑で育て、田んぼで米を作り、肉は狩猟で確保し、鶏を飼い、燃料は薪で確保。そして最低限必要なお金を、自分の楽しいやりかたで制作し、販売していく。世の中がどうなろうと、食べるものを自分で作り、暮らしていくことが一番の生きていく強みになると、この春、身をもって体感しました。
そんな理想の暮らしを目指して、一日一日、できることを精一杯やりながら、充実した毎日を過ごしています。

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ものづくりの相棒

器を作るとき「蹴ろくろ」を使っています。自分の足で蹴りながら、ろくろを回転させます。自ら蹴ることで、ろくろが体の一部となり、自由自在に微妙なところを調整できて、楽しいのです。

そして、相棒といえば、やはり「手」かな。手がすべての始まりです。
陶芸では木のコテも使うけれど、ろくろで形を決めるとき、型で輪花の花弁の押し込みをするとき、やはり「手」なのです。この両手で生み出すことが、僕のものづくりです。

修行していたころ、夜中、寝つけなくて、両手を宙にかざし、街灯の薄明かりに僅かに見える自分の両手を見ながら、「いつかこの手が輝く時がくるのだろうか…」と見えない未来への不安の中、いつまでも手を見ていたことを思い出します。
まだ光を放つとは言えないけれど、あのころ悩んだ時からは、前に進んで作品を作り続けているし、これからも作っていくことが僕の人生です。
今は家を作っているけれど(笑)
この「手」から生まれた作品が、誰かの暮らしの中で使われて、日々の僅かな喜びにつながればいいなと思っています。

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今、夢中なこと

家の改修です。陶芸とはまた違ったものづくりができることがとても新鮮で、楽しいです。自分の住む家なので、とことんこだわって作っています。
柱や梁にほぞとほぞ穴を彫ったり、現代の大工がビスで済ませることを昔ながらの方法で行っています。でも断熱材など新しくてよいものは取り入れ、豪雪地帯のここでも冬を温かく過ごせる、住み心地のよい家を完成させたいと思っています。家の電気工事もできるよう、第二種電気工事士の免許も取りました。
先月から、助っ人さんが毎週末ボランティアで手伝いに来てくださるので、平日は仕事や畑、週末は大工仕事とメリハリのある日々を送ることができています。

最近は、茅葺屋根の屋根裏を寝室などの部屋にしたくて、屋根を支えていた中央の柱を撤去する作業を行いました。代わりになる柱を2本立てた後、栗の木でできた重い柱を取り出しました。
新しく入れた根太を他の古い柱の色と合うよう、試しに墨汁を塗ってみたらぴったり。その後、厚さ30㎜の杉板のフローリングを敷き詰めているところです。

これから、冬になる前に五右衛門風呂も作らないといけないし、薪ストーブの煙突を設置するため茅葺屋根をぶち抜かないといけないし、ほかにもまだまだすることがたくさんで、完成が何年先になるのか見えませんが、一番楽しい究極のものづくりとは、「家づくり」なのではないかなと思ったりするこの頃です。原寸大のプラモデルのようです。

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結局、陶芸でも古民家改修でも、「家」を作るのが好きなんですね。​


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森 和良/森 明子 京都府綾部市の築100年を超える茅葺屋根の古民家に2020年春、大阪から移住。 自分で家を直しながら、畑を耕し、陶器を作り、夫婦ふたりで暮らしています。