かつての里山に暮らす動植物 その3 草 ~花の魅力は~
さて、かつての里山に生える草編の続き。上はなんとも奇怪な姿の花、オオバウマノスズクサ(ツル植物)。模様もなんだかおどろおどろしいが、形も草の花とは思えない。
横から見るとこんな。
その模様や形からして、ハエのようなものを引き寄せ、奥のほうになにかお目当てのものが隠されているのではないのだろうかと思い、調べてみると、やはり小型のハエがやって来て中にある雄しべの花粉を食べるよう。ただ、花には雌性期と雄性期とがあり、雌性期(雌しべのみが成熟している)には筒の中の毛が立っており、入ったハエは外へ出ることができなくなってしまうが、1日経つと雄しべが成熟して花粉が付き、同時に筒の中の毛が寝ることで花粉を付けたハエが外へ出てほかの花に移ることができるのだという(https://zassou-ya.com/「ざっそう屋」参照)。こうすることで見事、他家受粉が達成されるというわけだ。見事な仕組みである。
そんなオオバウマノスズクサだが、体には毒があり、この葉を食べて育つジャコウアゲハはこの毒を吸収し、チョウになって身を守るのに役立てているのだという。これもまたあっぱれな仕組みである。
こちらノヤマトンボ(別名オオバノトンボソウ)。花の形がトンボの飛んでいる姿に似ているのかな?小さくて、鮮やかさもないけれど、ランの仲間。
よく見ると、確かに小さなトンボたちが舞っているようでなんだかおもしろい。森の地面(林床)で見られます。
本日の最後は純白の花を咲かせるオカトラノオ。尾状の花を”虎の尾(トラノオ”と見立てたようです。ちなみに沼に生えるヌマトラノオという仲間もあります。
草の花で純白のものはあまりないのか、初夏にこの花に会うと思わずハッとしてしまいます。こうした”花”に魅了されてしまうのは、大抵が森の緑を背景に、白や黄色、赤に紫と、目を引く色をしていること、そして、ここへ来てよと言わんばかりに開かれたその形ゆえでしょうか。さらに、人間以外の動物たちにとってはとくに、かぐわしい匂い(ときに腐臭も)で彼らを引き寄せ、自らの子孫を残そうとする。そんなアピールがわたしたち人間の目を引くことになっているのかもしれません。
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