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誕生日を迎えた母へ、24年間の感謝を届ける。

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母へ

誕生日おめでとう。
僕も気づけば24歳、親も年をとるわけです。

地元から離れ6年目、
今年からこうして身近に親がいる安心感とともに
甘えが出てしまっている気持ちもあります。

先日、メンバーのKさん、Tくんに
昔のエピソードを話しました。

両親とはどんなことをして暮らしてきたか、
何を学び、何をしてあげられたか。

その中のひとつに家族との
誕生日ケーキの話題がありました。



缶カラの貯金箱から
お年玉でもらった数千円を握りしめ、
まだまだ小さかった体で大きな自転車にまたがる。

今ではあっという間に着くお菓子屋さんが
長旅にすら感じていた頃。

「ただ、喜んでほしい」

その想いが何よりもエンジンになり、
必死にペダルをこいでいたことを
鮮明に覚えています。

店内をぐるぐる回って、
あれか…これか…と、悩む少年。

恥ずかしがり屋の僕は
いつも勇気を出して、

「これをください!」

と、ショーケースの中の
おいしそうなケーキを指差していました。

大事に抱えたケーキの箱。
なんとしても崩してはいけないと、
前のカゴにそっと入れる。

買いに来る時とは打って変わって、
歩道の段差に気を付けながら
ゆっくりと家を目指します。

ワクワクからハラハラに変わっていく
あの感覚は心臓に悪かった…

そしてバレないように、
部屋の奥の冷蔵庫に置く。

夕食が終わるまで
「いつ出すか…!」とソワソワしていたの、
多分気づいていたでしょう。

ようやく箱を開けられ
中のケーキが無事だったとき、
「よかった…」と安心できる。

あのとき食べたチョコケーキの味なんて、
覚えていません。



今日、マイカーにあなたを乗せて
一緒にケーキを買いに行った。

随分サラッと動けるようになってしまったけど、
「喜んでほしい」その気持ちだけは変わりません。

またこうして家族みんなで祝えること、
幸せですね。


話は変わりますが、
ひとつ聞きたいことがあります。

“僕は、優しい人になれたでしょうか”

優しい人になってほしいという想いで
付けられた「優紀」の名前。

最近、ふと意識することが
多くなりました。


新卒で入った会社を1年もせず辞めると言ったとき、
いきなり100万円を払ってライターになると言ったとき、
グループを立ち上げビジネスを始めると言ったとき、

きっとどんな言葉をかけていいか迷ったはず。

昔から身体も弱かったし、
嫌なことからはすぐ逃げる。

わがままで好きなことばかりやってきた僕は、
親からみて「優しい人」とは言えないですよね。


特に今、僕に抱く感情は
不安や心配ばかりでしょう。

いつもこれからのビジョンを話すと
暗い印象なので、さすがにわかります。


だからこそ、
わかってくれとは言いません。

その心配してくれる想いが大切で、
相手にされているうちが幸せなんだと
気づいています。


でも、少しだけ考えてみてください。

あなたのこれまでの57年間の人生は、
後悔のない日々だったでしょうか。

やりたいことはできていますか?

自分を犠牲にして、
誰かのために頑張りすぎていませんか?

「あのとき気持ちに素直になっていれば…」
なんてこと、ありませんか?

僕は…
年老いてから、そういう記憶を
思い出すのが怖いんです。

昨日まで生きていた人が
突然旅立つことも経験したから、

”やりたいことがやりきれないまま死ぬ怖さ”
これがどうしても頭を離れません。

だから僕は、
「今、やりたいことをやって生きる」
これを人生のテーマに決めました。

もちろん非常識な生き方をするから、
その分の辛さは覚悟の上です。

ただ…

100回苦しいことがあって、
100回嬉しいこともある。

そんな人生のほうが、
何もしないゼロよりも
楽しいと思うんです。

”いつ死ぬかわからないから、
いつ死んでもいいように
後悔のない人生を過ごしたい”

それが本当の充実だなって。



こんなわがままな僕ができる恩返しは、
大舞台に両親を連れていくこと。


メンバーで作り上げた個展、
僕の絵が飾られた競馬場、
そしてたまには旅行にも行きましょう。

まだ何も成し遂げていないけど、
こうやって夢を追いかけている今が
めちゃくちゃ楽しいんです。


だからね、僕は伝えたい。

「これからの人生、最高に楽しんで!」

特別なことをやらなくていい。
ただ、今やりたかったことに
向き合える時間を作ってほしいんです。

いろんなわだかまりから解放されて、
思う存分、何かに夢中になっている姿を見てみたい。


これが僕からの勝手な願いです。


今まで24年間、
たくさん面倒みてもって、
守ってきてもらった。

次は、あなたが自由になる番。


受け取ったすべてのものが
僕への愛情、温もりにつながっています。

だからこそ、

「こんな息子でよかった!」
と思ってもらえるように、
胸を張って、堂々と生きていきます。

僕が大きな夢を叶えたときに
元気でいてもらいたい。

今まで背負ってきた
「親としての使命」を少しずつ置いて、
身軽になってくださいね。

どんな困難があろうと、
僕も、仲間も、家族も、
みんな幸せにしていく。

その強さを持てるくらい、
立派に育ててくれました。



最後にひとこと。


いつだって、
親は子に安全であることを願うように、

いつだって、
子は親にずっと笑顔でいてくれることを願っています。


それがあなたから学んだ
一番大切な想いです。


57歳、幸せな1年にしようね。

改めて、誕生日おめでとう。


そして…


ありがとう。


優紀より


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先日の母の誕生日、
このケーキと一緒に渡した手紙です。

狙っていた人気のショートケーキが買えてよかった。
幸せそうに食べていた顔は、何度見てもいいものですね。

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大切な誰かのためになら
どこまでも頑張れてしまう。

自分は苦労していいから、
相手に喜んでほしい。

心配性すぎて
いつも余計なことまで考える。


そんな僕の性格は母親譲り。


お互いに性格が似ていると、
気が合うものなんです。



と、言いたいのですが…
それも安易なのかな。


僕から母に向けての感謝の言葉は
いくらでも湧いてきます。

しかし、母が僕に向けて抱いている感情は
どんなものなのでしょうか。


「こう感じていたのかな…」
「あのときどう思って言った言葉なのかな…」

この正解は、本人に聞かないとわかりません。

ズバリ心理を的中させるのは
容易いことではないですよね。


当たり前のことですが、
その“当たり前”がどこまで行っても難しい。

だから簡単には
「理解・共感」なんてできない。

あなたの気持ちを
「こうだろうと思い込む」ことしか、
僕はできていないんです。


だれよりも長い時間を共にした家族。

その中でも性格が似ていると
感じている母にでさえ、

「きっとこう思ったよね」

と、推測でしか汲み取れなかった。
悔しいけど、これが事実です。


でも…

これがライターにとっては
何よりも大切なんです。


自分からの主観ではなく、
「相手のフィルターから見つめてみる」


これをどこまで追求できるかで、
本当に感情を動かせる文章を
書けるかが決まるんです。


間違った認識のまま書き連ねては、
なんの説得力も得られない。


「この人はどんな問題を抱えているのだろう」

「解決したい悩みはなんだろう」

こういった“書く前の準備”が
すべてを決めることに気づきました。


もちろん、ライターでなくても
生活の中で大切な要素になるでしょう。


相手のフィルターからみた自分を
想像することができれば、
今まで以上に気持ちに寄り添うことができるはずです。


あなたが大切にしたい人から、
あなたはどう思ってもらっているでしょうか。


この機会に一度だけでも
考えてみてください。


それが本当の気持ちと違ったとしても、
寄り添おうとしてくれた姿を見ただけで
きっと心の距離はもっと近くなるはずですよ。




最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

またお話しますね。


セールスコピーライター兼画家
佐藤優紀








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