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「海里」を聞かれても動じない!【第59回-実技1-問2(2) 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

問題

(2) (1)の解答図を用いて、17日21時から18日21時にかけての、地上と500hPa面の低気圧の相対的な位置関係について述べた次の文章の空欄(①)〜(④)に入る適切な語句又は数値を答えよ。ただし、①③は16方位、②④は50刻みの整数で答えよ。

 地上の低気圧中心は、17日21時には 500hPa面の低気圧中心の(①)側(②)海里に位置しているが、次第に接近し、18日21時には(③)側(④)海里に位置するようになる。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
(1)の解答図(解答例)
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

(1)で作図した図を使います。

図には、2つの高さでの低気圧中心があり、次のことがわかります。

  • 500hPaの低気圧:×印。地上の低気圧など:◉印。

  • 500hPaの低気圧の南側に、地上の低気圧が位置していることが多い

  • 両者は、しだいに接近していく

海里って何だっけ?

「海里」を解答しますが、皆さま大丈夫でしょうか?
日常生活で使わない単位で問わないで!と思います。

緯度の基礎知識

海里を理解するには、まず緯度を理解しておかねばなりません。
超重要なポイントは次の点です。

  • 緯度1度を60等分すると、1分緯度1分をさらに60等分すると、1秒という。

  • 天気図では、緯度10度ごとに、横線が引かれている。
    (屋久島の南に北緯30度線、秋田県・岩手県に北緯40度線)

  • したがって、北緯30度線と40度線の間は、
    緯度10度であって、緯度600分(60分/度 × 10度)です。

海里の基礎知識

そしてそして、海里を超ざっくりいうと、

  • 距離を表す単位のことで、

  • 緯度1分=1海里

したがって、例えば、次の換算ができます。

  • 緯度1度=緯度60分=60海里

  • 緯度10度=緯度600分=600海里

17日21時には?

では、17日21時をみてみましょう。

まず、地上の低気圧中心◎は、500hPa面の低気圧中心×の南東側にあります。
(おそらく、たいして難しくないと思います)

そして、何海里あるのかを求めるには、
①図を定規で計測したのち、②比例式で計算します。

  1. 定規を使い、北緯30〜40度の緯度10度で、4.0cmとわかる

  2. 定規を使い、500hPaの×印と、地上の◎印の間が、2.1cmとわかる

  3. 比例式で計算する。
    緯度10度は600海里なので、
    600海里 : 4.0cm = x 海里 : 2.1cm
    x =315

  4. 50刻みなので、解答は、300海里

※図を定規で測った結果(1.の4.0cmなど)は、
印刷環境等によって多少誤差があります。

18日21時には?

同じように、18日21時もみてみましょう。

まず、地上の低気圧中心◎は、500hPa面の低気圧中心×の東側にあります。

そして、何海里あるのかですが、先ほど同様、

  1. 定規を使い、北緯30〜40度の緯度10度で、4.0cmとわかる

  2. 定規を使い、500hPaの×印と、地上の◎印の間が、1.0cmとわかる

  3. 比例式で計算する。
    緯度10度は600海里なので、
    600海里 : 4.0cm = x 海里 : 1.0cm
    x =150

  4. 50刻みなので、解答は、150海里

※図を定規で測った結果(2.の1.0cmなど)は、
印刷環境等によって多少誤差があります。

まとめ

いかがでしたか?😁

この問題のポイントは、
緯度10度=緯度600分=600海里 だと思います。

しばしば問1の実況でも出題されますので、忘れずにおさえておきましょう。

また、こういう問題は、日本語にも気をつけましょう。
地上の低気圧からみて、500hPaの低気圧はどの方角か」なのか、
500hPaの低気圧からみて、地上の低気圧はどの方角か」なのかで、
解答が真逆になります。

ややこしや〜ややこしや!😱

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。