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鉛直流と温度移流を60字!?【第59回-実技1-問1(2) 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

問題

(2) 図3(下)によると、東シナ海にある前線上の波動の周辺では低気圧の発生を示唆する特徴が見られる。この低気圧の発生を示唆する鉛直流と温度移流の分布の特徴について、鉛直流の極値に符号を付して言及し、解答用紙に示した書き出しを含めて、60字程度で述べよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

解答用紙の書き出しは…

前線上の波動の周辺では、

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
図3下 (一財)気象業務支援センターの掲載許可済

何が問われているのか

いきなり書き出す前に、何について問われているのか、
要素を整理することが大事です。

こうすることで、図から考察すべきポイントが絞れますので、時短になります。

問題文によると、図1で確認した東シナ海の、
停滞前線の波動(前線が波打っているところ)に注目し、

図3下(AXFE578)を読み取って、
鉛直流の分布の特徴を、極値を含めて述べなさい
温度移流の分布の特徴を述べなさい
という指示です。

①鉛直流の分布

鉛直流とは、空気の垂直移動のことです。
要は、空気が上昇するのか下降するのかという話です。

判別するには、図3下をみて、縦じま模様のエリアが上昇流域
模様がないエリアが下降流域となります。

図3下をみると、東シナ海の前線波動のあたりには、
縦じま模様で示される上昇流が広がっています。
また、その付近の上昇流の極値(最大値)は、-64hPa/hです。

②温度移流の分布

温度移流を判断するには、等温線と風向風速に注目します。

等温線を風が横切っていて、
①暖気側から寒気側に風が吹いている
  = 暖かい風が寒い地域に吹いている = 暖気移流

②寒気側から暖気側に風が吹いている
  = 寒い風が暖かい地域に吹いている = 寒気移流

また、

  • 等温線と風向の角度が直角に近いほど

  • 風速が大きいほど

温度移流は強いと判断します。

図3下をみると、
波動の東側にある対馬海峡付近で、6℃の等温線を、
暖気側から寒気側に横切る風があります。(=暖気移流がある)

一方で、波動の西側にある大陸では、6~12℃の等温線を、
寒気側から暖気側に横切る風があります。(=寒気移流がある)

さぁ、作文しましょう!

分布を聞かれていますので、何が、どこに分布しているのかを答えます。

①前線上の波動の周辺では、-64hPa/hの強い上昇流があり、
②波動の東側で暖気移流が、波動の西側で寒気移流がある。

と答えます。

まとめ

いかがでしたか?(^▽^)/

私が考える記述問題のポイントは次のとおりです。

  1. ビビらない。図に書いてあることを読み取るだけ!
    指定されていない図から答えたり、フィクションを答えたりするのは❌

  2. 何を問われているのかを明らかにしてから、図を観察する!時短。

  3. 解答文には、主語を忘れずに!
    何がどこにあるの?

記述問題をみた瞬間、「はい次〜」と飛ばしたり、
「とりあえず書いてみよう」と書き始めたりするのでなく、
「図をみれば解ける」と心を落ち着けてから着手しましょう!

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。