海上警報の判別と、発表の理由【第59回-実技2-問1(2) 気象予報士試験の解説】
第59回気象予報士試験の実技2を解説していきます。
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1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。
今回は、第59回実技2、問1(2)、海上警報と発表の理由を解説します。
①海上警報の名称
さて、図1では、東シナ海から南西諸島付近で波線で囲まれた領域に、
海上警報が発表されているそうです。
図1をみると、確かに、東シナ海付近に波線で囲まれた領域があり、
その中には、海上濃霧警報FOG[W]と、海上強風警報[GW]の記載があります。
うーん・・・波線で囲まれた領域と対応する海上警報はどっち??
この問題、正直、難しいと思います。
結論からいうと、波線の領域は、①海上強風警報が対応します。
この2種類の海上警報は、囲んでいる波線の違いで判別します。
図1では、日本の東に、海上濃霧警報FOG[W]があります。
その警報を囲んでいる波線はトゲトゲしています。
すなわち、トゲトゲしている波線に囲まれた海上警報は、
海上濃霧警報FOG[W]だとわかります。
一方で、東シナ海付近の波線は、トゲトゲでなく、丸みを帯びています。
したがって、東シナ海付近の海上警報は、
海上濃霧警報ではなく、別の海上警報だと見当をつけます。
実際、「アジア太平洋域 実況天気図」(ASAS)では、次のような凡例があります。
海上濃霧警報FOG[W]と、海上強風警報[GW]を囲む波線は、
はっきりと別物であることがわかります。
②海上警報が発表される理由
続いて、海上強風警報が発表される理由を、
高気圧か低気圧に言及して述べよとの指示です。
端的にいえば、海上強風警報が発表されるのは、
その海域で強風だから or 強風の見込みだからです。
今回はさらに、高気圧や低気圧にも言及せよとの指示なので、
その強風の原因となる気圧配置にも触れます。
方法としては、
図1、図7(下)、図8(下)は、どれも地上の気圧を示していますので、
3つの図を時系列で見比べるといいでしょう。
特に、強風の理由を聞かれていますので、
気圧配置や等圧線の間隔に注目しましょう。
すると、図1に比べ、図7(下)や図8(下)は、次のことがいえます。
大陸から高気圧が張り出している
等圧線の間隔が狭い
したがって、強風警報の理由、解答例は次のとおりです。
中国大陸の高気圧の張り出しにより、等圧線の間隔が狭まり、風が強まるため。
今後、高気圧が大陸から張り出す
→ だから、等圧線の間隔が狭まる
→ だから、風が強まる
→ だから、海上強風警報の発表
というロジックになります。
出典など
出典1:「気象庁|天気図」(https://www.jma.go.jp/bosai/weather_map/)から抜粋して作成
※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。