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高層天気図をサクサク!【第59回-実技2-問1(1)後編 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技2を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

今回は、第59回実技2、問1(1)の⑤から⑩を解説します。


⑤⑥500hPa天気図の解析

 500hPa天気図によると、中国東北区には寒冷低気圧があり、この中心付近の気温の最低値として(⑤)℃が観測されている。この寒冷低気圧を回り込むように分布している強風軸は、低気圧の南側では等高度線の(⑥)m付近に位置している。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
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図2、500hPa天気図をみて、
中国東北区の寒冷低気圧に注目します。

まず、中心付近の気温ですが、
最低値として、⑤-40.5℃があります。

続いて、問題文によると、
・その寒冷低気圧の南側に強風軸があって、
・その強風軸は、どの等高度線の近くにあるのか?だそうです。

強風軸とは、その付近で最も風速が大きい地点を結んだものです。

したがって、風速、天気図でいう矢羽根に注目すると、
寒冷低気圧の南側に最大で85ktの地点があります。

それは、等高度線5340mと5400mの間にありますので、
⑥5340mまたは⑥5400m付近に強風軸があります。

⑦⑧図3・図4が示すもの

 図3の解析図、図4の予想図によると、対馬海峡付近の低気圧からのびる前線とその南の停滞前線の850hPaにおける位置は、等温線および(⑦)線の分布、(⑧)の分布およびその極大値の位置から、それぞれ(⑨)℃付近と(⑩)℃付近の等温線に対応していると推定される。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済

続いて、図3、図4をみて答えます。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
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まず、⑦についてですが、「等温線および(⑦)線」とあります。
したがって、⑦は、〇〇線という語句が入ります。

図3には、850hPaの「等温線」があります。
また、図4には、850hPaの「等相当温位線」があります。

したがって、「等温線および⑦等相当温位線」となります。

さらに、⑧についてですが、「(⑧)の分布およびその極大値の位置」とあります。
ここで、「その極大値」がヒントです。

2つの図のうち、極大値が示してあるのは、図3の700hPa鉛直p速度です。
具体的には、周辺より下降流が強い場所を+〇〇、
上昇流が強い場所を−◎◎といった形で示します。

本問のように、前線の位置を判別するには、
負の鉛直p速度の大きい場所、上昇流の強い場所を探します。

したがって、「⑧上昇流(負の鉛直p速度)の分布およびその極大値の位置」となります。

⑨⑩前線と等温線の対応

さて、対馬海峡から東シナ海に伸びる前線と、沖縄の南にある前線について、
それぞれ、850hPaのどの等温線に対応するのかを答えます。

まず、対馬海峡から東シナ海に伸びる前線ですが、
図3の等温線集中帯の南縁、図4の等相当温位線集中帯の南縁に注目すると、
およそ⑨9℃線に対応するといえるでしょう。

続いて、沖縄の南にある前線ですが、
残念ながら、等温線集中帯、等相当温位線集中帯がはっきりしません。

そこで、上昇流が激しい場所に、前線があるのではないかと仮説を立て、
負の鉛直p速度に注目します。

すると、沖縄の西に、「−113」があります。
これは、周辺よりも上昇流が強いことを示します。

その「−113」は、およそ⑩12℃線のそばにあります。
なお、解答例では、⑩15℃線も正答としています。

出典など

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。