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なんで、福岡上空に雲があるか、推理せよ!【第59回-実技1-問1(3)④ 気象予報士試験の解説】

第59回気象予報士試験の実技1を解説していきます。
全ての記事を無料で公開します。
1人でも多くの人に、気象について興味を持ってもらえたらうれしいです。

問題

(3) 図4には華中から東シナ海にのびる停滞前線の転移層がみられる。このことに関連して、以下の問いに答えよ。

④ 図3(下)によると850hPa面の風は東シナ海では概ね南西風となっている。このことと図4および②③の解答を参考に、福岡付近の雲の成因について30字程度で述べよ。

(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
図3(下)
(一財)気象業務支援センターの掲載許可済
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何が問われているのか

記述問題では、まず書き出す前に、
何が問われているのかを確認することが、
時短の点で超重要です。

今回は、超ざっくり言うと、
「福岡上空になんで雲があるんですか」だそうです。

突然「なんで?」って問われても、
「湿った空気があって、上空で水蒸気から水滴になったからでは?」
「それ以外、理由あるの?😟」と困惑してしまいます。

そこで、出題者は、踏まえるべき点を指定してくれました。

  • 東シナ海上(海抜0m)の停滞前線から福岡上空にかけて、
    上り勾配の前線面がある。(②による)

  • 福岡の上空では、前線面のさらに上に、
    湿数3℃以下の湿潤層がある
    。(③による)

  • 湿潤層には雲が存在すると思われる。(③による)

また、風向の分布については、次のヒントをもらいました。

  • 東シナ海にある停滞前線付近は、概ね南西風。(問題文による)

  • 福岡上空の湿潤層は西よりの風。(図4による)

これらから、次のとおり推理できます。

  • 東シナ海上(海抜0m)に、停滞前線がある。

  • そこから、北東にある福岡方面に向かって、空気が前線面を滑昇し、

  • 福岡の上空で、水蒸気が水滴へと凝結しているため。

超ざっくりとしたイメージ(前線記号:出典1)

さぁ、作文しましょう!

福岡上空に雲がある理由を、30字程度でとの指示です。

出題者の解答例は、次のとおりです。

東シナ海から前線面を滑昇した空気中の水蒸気が凝結したため。

おそらく、盛り込むべき要素は2つあります。

  • 空気中の水蒸気が水滴に凝結して、雲ができること

  • 東シナ海から福岡に向けて上り勾配の前線面を、空気が滑昇すること

まとめ

いかがでしたか?😳

雲がなぜできるのかですので、
目に見えない水蒸気が、目に見える水滴に凝結したことは、
当然指摘しましょう!

さらに、今回は問題文の指示にしたがって、
東シナ海の地上から福岡の上空にかけて広がっている前線面、
その上にある湿潤層に触れましょう!

出典など

出典1:気象庁「気象庁|予想天気図の説明」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/FSAS_kaisetu.html)から抜粋して作成

※ 本記事における解答や解法は、個人の見解であり、(一財)気象業務支援センターとは関係ありません。