21/3/27 ワークシフトが述べる21世紀の生き方

イギリスの組織論学者であるリンダ・グラットン氏は著書「ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>」の中で、個人の働き方について次のように述べている。2011年に出版された書籍であるが、10年後の現在にも重要な価値のあるメッセージである。

〈第一のシフト〉で目指すのは、専門技能の習熟に土台を置くキャリアを意識的に築くこと。一つのものごとに集中して本腰を入れることが出発点となる。
〈第一のシフト〉に関して、私は次の二つの資質が重要だと考えている。

専門技能の連続的習得──未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、ほかの分野の専門知識と技能の習得を続ける。

セルフマーケティング──自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。グローバルな人材市場の一員となり、そこから脱落しないために、そういう努力が欠かせない。

リンダ・グラットン氏は1つの技能だけで仕事をするのではなく、2つ目、3つ目の技能を身につけて、仕事をシフトさせていく生き方の重要性を説く。1つの技能だけに依存して仕事をしていくことは、非常にリスクのある生き方であることは、2021年現在のコロナ禍を例にとってもわかる。人間の寿命はどんどん延びていき、テクノロジーやそれによって形成される社会は急激に変化し、想定外の天災が発生する現代において、1つしか仕事をもたないことは、これらの変化に対応することはできない。2つ以上の仕事、そして、2つ以上の場所で仕事ができるようになることが望ましい。

本業を軸にして副業を育てていく発想が必要である。本業で安定的にお金を稼げているのであれば、副業は自分のやりたいことを追求すべきである。その副業は、今いる場所でなくてもできる仕事が望ましい。そして、副業を1つ、2つと増やしていくにつれて、1つの仕事、1つの場所に依存する必要がなくなり、自由な気持ちで生きることができるし、社会の変化にも対応することができる。リンダ氏はこれを専門技能の連続的習得と呼んでいる。テクノロジーの進化により専門技能の連続的習得は容易になっている。

そして、専門技能の連続的習得とともに、セルフマーケティングも重要であると語っている。全てがオンラインでつながっている社会において、セルフマーケティングは非常に重要な要素となった。執筆、写真、動画はオンラインで仕事をする上で必須のスキルとなった。まさに、生き抜くための術である。

個人が21世紀を生き抜く上で、専門技能の連続的習得及びセルフマーケティングを軸として考えていく必要がありそうだ。

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