「ホテル・インヒューマンズ」から学ぶ、人との向き合い方

おはようございます。

以前取り上げたマンガ『ホテル・インヒューマンズ』から、今回は原作第2話「ダイイング・サービス」から学ぶ、人との向き合い方です。

色眼鏡かけていませんか?

『ホテル・インヒューマンズ』は、殺し屋専用のホテルを舞台にした、コンシェルジュと殺し屋のヒューマンドラマで、オムニバス形式に話が進んでいきます。

新米コンシェルジュの生朗(いくろう)は、第1話の冒頭では、殺し屋は「悪人」と思っている節があり、読者と同じような感性を見せます。お客様から預かるジャケットからナイフが出てきたり、ホテルではよく目にする服のクリーニングでさえ、血痕をきれいにするためにホテルへ預けられたり、なにかと物騒です。

第2話では、「加瀬(かせ)」という「お客様」が登場しますが、生朗は親しみを持っているように描写されています。加瀬は、計画通り完璧に仕事をこなす殺し屋ですが、機械的な冷たい風貌に対して、生朗の前では無自覚に妻とのノロケをこぼします。

第1話と併せて考えると生朗は、お客様が殺し屋に対して読者のように悪者というイメージを持ちながらも、目の前の人の想いに触れるとその色眼鏡を外して、お客様個人に向き合っているようです。

そのせいか夫婦仲がよい加瀬とは、かなり親しげに接しており、加瀬を殺し屋として見るのではなく、ひとりの人間として見てるのだと窺えます。相手のことを知ると、生朗のように、殺し屋という肩書きだけでは、推し量ることのできない人となりが見えてきますね。

自分とは真逆かも?だから合うこともある

この「ダイイング・サービス」のエピソードは、加瀬と妻との愛情が中心に描かれており、妻は元々加瀬が表(おもて)の顔として会社員に扮した先の職場の上司でした。完璧に仕事をこなすことを信条とする加瀬と、そんな彼を驚かせたい妻、本当に性格が真逆ですが、むしろ真逆だからこそが、お互い惹かれたのかもしれません。

エピソード中に、加瀬と妻が恋に落ちるシーンもあり、殺伐とした世界で生きる彼に、妻が計画通り行かなくてもいいじゃない、と笑いかけていて、見開きページがきれいなシーンです。殺し屋としては計画通り行かない、すなわち生死に関わるものとも取れると思いますが、予想外な妻の言動に、緊迫状態の加瀬も毒気を抜かれます。

加瀬にとって、自分とは真逆の妻は終始「読めない人」で、生朗相手に、振り回されてばかりだと口にします。妻の驚かせ方が、読者としてはかわいく愛からくるドッキリという類であるため、温かい気持ちになるのですが、私としても生朗と同じセリフを口にしてしまいました。それはノロケだ、と。

相手を知ると良い関係が築ける

自分とタイプが全然違う人と出会った時、皆さんはどう思いますか?合うかどうか分からないと思うこともあるかもしれません。また、見た目で判断してしまっていることもあるかもしれませんし、はたまた学校や仕事でイメージを自分の頭の中で当てはめているかもしれません。

私が様々な人と出会う中で大事にしていることは、相手をよく知り、理解に努めることです。先入観という色眼鏡を外して、相手の価値観や背景を知っていくと、自分とは違う想いや価値観に触れます。だからこそ面白いなと思いますし、そこから新しい関係が生まれることもあります。良縁は相手を知ることから、日々の出会いを大事にしていきます。

金現珍


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