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上勝町で感じた「分別をしない」というごみの未来

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みなさんこんにちは!ごみの学校 運営代表寺井です。
2月8日から2月10日まで、GREEN WORK KAMIKATSUというサーキュラーな町づくりを考えるワークショップに参加してきました!
そこで今回はその中で感じた気付きや課題をまとめてみました。

上勝町とは?

上勝町は徳島県にある人口約1500人の小さな町です。日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を発表し、リサイクル率80%以上を達成しました。現在は街で発生するごみをゼロウェイストセンターにて45種類に仕分けてリサイクルを推進しています。

上勝町ゼロウェイストセンター
45種類の分別箱

GREEN WORK KAMIKATSUとは?

GREEN WORK KAMIKATSU

[GREEN WORK KAMIKATSUとは]
ゼロ・ウェイストからサステナブルへ。
上勝町の未来を考える企業参加型プログラム。
ゼロ・ウェイストの先進エリアである徳島県上勝町で、
サーキュラーエコノミーモデルをヒントにビジネスアイデアを起案します。
学びと体験、地域交流とワークショップを通じて、上勝町の新しい未来を考えていきます。

GREEN  WORK KAMIKATSU  HPより

大手企業から、先進技術をもったベンチャーまで多種多様な企業が参加をしており、企業人と上勝市民また、ワークショップの講師陣も混ざり合い、上勝町の未来について真剣に、熱く話し合い、議論を深めていきました。
最終的に出てきたアイデアはどれも本当に素晴らしく、どれも実現させたい内容でした。


上勝で感じたごみの課題

前提として上勝町の取り組みは素晴らしいと思います!
町のみんなで考えて、住民も移住者も協力し今のゼロウェイストへの取り組みを進めてきているのは素晴らしい!
お金があればできることではなく、住民の方の理解や、自治体の方の働きかけ、移住組の新たな発想や技術。これらがあるからこそ成立しているんだなと感じました。

でもワークの中で実際に上勝町に住んでいる人の話を聞いていると、僕の中でひとつの疑問が湧いてきました。

「ごみを45分別するって本当にサステナブルなんやろか?」と。

ゼロウェイストを掲げた上勝町は、35分別から現在45分別まで増えているんです。
自分の子どもが大人になるころには100分別?
土日はごみの分別だけで1日が終わりそう。
今の45分別だけでも、お年寄りには負担が大きいようで、高齢化が進む中で、今後もよりお年寄りへの負担は増していきそう。。。

なんで45分別もしないといけないの?

でも確かに廃棄物処理業者の視点からすると、上勝町で行っている分別はリサイクルするためには必要なことでした。では、そもそもなんでそんなに分別しなくてはいけなくなっているのだろうか?を色々と考えてみました。
そうすると3つの理由が見えてきました。

①お金になるから分ける
ごみの中でもまず、お金になるものとならないものがあります。
代表例:金属類(アルミ缶)・古紙(段ボール・雑紙等)
※ペットボトルやトレイは運賃を差し引くと処理費用がかかる。

②危険だから分ける
処理が難しいものも事前にに分別しないといけません。
代表例:乾電池・ライター・蛍光灯・カイロなど

③リサイクルするためにはわけないといけない
物の素材や特性によって、リサイクルされる方法が違うため、
種類によって分別が必要となります。
代表例:粗大ごみ・服・家電・割り箸など

上勝町では当初22分別からスタートして、2001年には35分別になり、現在では45分別まで分別する数が増えてきています。おそらく今後ゼロウェイストを推進していくとどんどん分別数は増えてくると思います。

でもこれは上勝町に限った話ではなく、日本の各自治体でもリサイクルを推進していくには分別する数を増やさないといけず、1つ分別する種類を増やすだけでも、市民への説明が大変で断念していたりしています。

ここで感じた違和感として、「分別する」ことは、大事だし、実際必要ではあるものの、分別し続けることを前提にしたルールや技術開発ってサステナブルでは無いよねと感じました。

今の世の中は高機能なものをつくるためにどんどん複雑なものが造られています。
例えば、電池だけでみても、過去には乾電池・ボタン電池ぐらいだったのが、リチウムイオン電池や水素電池などが生まれていて、それらがまた処理が難しいゴミとして未来には出てくるわけです。
プラスチックを代替するために、新素材をどんどん開発していますが、そうした新素材もリサイクルするためには新たな分別が必要になってしまいます。。。

分別する種類を増やさないこと

新素材や新製品が生まれていますが、「新たな製品や素材が生まれる」=「分別の種類が増えている」ということになってしまう構造がどうしても無理を生んでいると思います。今の世の中では新素材があれば、サステナブルな未来は創れるということを全体に進んでいるとお思いますが、その先にはあるのが、100種類に分別しなくてはいけない未来だとすれば、本当にそれは、人にとっても自然にとっても優しい未来と言えるだろうか?そう感じます。

新素材を開発するという技術者の方の情熱や知識は素晴らしいと思いますが、例えば、今ある素材(間伐材・服・廃棄食品・海洋プラ)リサイクルさせて、素材の種類は増やさず、環境負荷を減らすこともできると思いますし、そうした技術の開発にも力を入れて欲しいなと思います。
上勝町の分別の種類は今の45種類をピークとして、今後は分別する種類を増やさずにいかに減らしていけるかが重要です。

とある市民の方との会話で思わずメモした付箋

分別しない未来をつくるために

実は日本のリサイクル率は平成19年ごろからここ10年ほど全く変わっておらず20%前後を横ばいになっています。平成元年から平成19年までは色々なリサイクル法ができ、市民がそのルールに則り分別をしてきた訳ですが、「市民が頑張る」でできる限界は20%なんだと思います。

環境省 「日本の廃棄物処理平成30年度版」

「市民が頑張る」ではなく、他の企業や組織も正しくゼロウェイストを実現させていくために舵を切って欲しいなと思います。
例えば以下のような感じとか。

メーカー:新素材を増やさず、今ある素材の活用を考える
販売店:資源回収拠点としての機能をもつ
廃棄物処理業者:回収方法や選別技術を磨き、市民の負担を減らす
行政・自治体:市民任せにせず、上記の企業へとしっかりコミュニケーションをする

上勝町は本当に市民・自治体が頑張ってゼロウェイストに取り組んでいる日本が誇れる町である一方で、企業が市民に任せっきりだなと感じました。
廃棄物処理業者としてももっとこの町には関われると思いますし、もっと貢献していかないといけないと感じていますので、これからは連携できるような企画をまとめていきたいなと思います。

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