1-8ある1Kのキッチン(大塚桜)

小さな頃に見た、私よりも年下の可愛い女の子が出演していた料理バラエティー番組。明日から再放送がはじまると聞いたからか、そのリアルな夢で目が覚めた。

生まれて初めて「これがしたい」と言い出したのがまさかのテレビ出演だから親も困惑したそうだけど、なんとか今の私は料理で自分のアイデンティティを確立できている。
今日も「うめ飯日記」のアクセスは好調。
SNS一本だけでここまで…….。本当に長かったなあ……。

31歳。結婚に関してはもう詰んだ感がある。正直あまり気にしちゃいないけど。
テレビで見るマッチングサービス利用者の女性が「年収は絶対に1000万以上でぇ〜……できれば普通以上の見た目で〜……あ、でも私よりも身長が高ければ嬉しいくらいで、健康な人であれば〜…」と話してスタッフを困惑させるような「自分が厚かましいことにすら気づいていない傲慢&身の程知らず女」を笑える程度には現実を見れていると思うけど、一方心の奥底では「私はこの人たちとは違って年収も中央値くらいだし、料理もこれだけ完璧にできます、見た目はまぁ……普通くらいかな?この人たちよりは顔も肌も綺麗な方ですよね?」と、これはこれで随分厚かましい自己評価をしていることに最近気づいて鳥肌が立った。

27歳の頃、いい人だなと思っていた兄の知り合いに街でばったりと出くわして、「ムンス行く?」と誘われたのをなぜか断ってしまって以来、一度も男性から誘われたことはない。それからは、変なプライドが邪魔してムンスはおろかカフェに行けていない。 断ってしまったその日、なぜか自分は結婚できるのかが心配になって、怖くなって、寝ることができず、勢いで「"永遠の婚活アカウント"うめ日記」を始めた。名前の下の一言、「私は変わる!」すらこの4年で変わっていない。笑える。
でも、料理は随分できるようになった。おしゃれな料理を作れるようになるにつれて自信はついたはずなのに、私から誰かを誘うことがなぜか余計に怖くなってしまった。前は女の友達と家でご飯を作って食べたりしていたのに、それすら減っている気がする。なんでだろう。
今、もし誰か男性に食事にでも誘っていただけたとして、まだ気軽について行ける気がしないのはどうしてだろう。見た目も中身もあの頃とは変わったと思うんだけど、あの頃よりもどうしてもスローダウンしてしまって、脆くなってしまった部分も沢山ある。自信をつけようとすることだけが目的になっていたから、そうなってしまったのかも。

「永遠の婚活アカウントと言っている割には男が好きな料理は全然作っていない」と、世界のどこかの知らない誰かから指摘を受けた、ここ数年で一番、目から鱗が落ちた想いになった。私はただ「確かに…」と関心して引用して投稿したら、「こんな失礼な人の言うことは気にしなくていいです」とか勝手に言い合いが始まってしまって、コメント欄が初めてのプチ炎上みたいになってしまった。

何を作ればよかったんだろう。今更だけど、そもそとだけど、男の人って何が好きなんだろう。……考えてみたら、自分のお兄ちゃん二人出されたものならなんでも食べる人だったし、ただ美味しい美味しいと言ってお母さんの料理を食べてた。
う〜ん……。男の人??牛丼とか?いや〜……絶っっっ対買って食べた方が美味しいじゃんねえ……。あれは資本主義が完成させた味。私個人なんかが勝てる気がしない。
「牛丼いいよねー!久しぶりに食べたーい♡」の方が絶対モテるに決まってるでしょ。私だって「家に美味しいコーヒー豆あるけど、飲んでく?」とかキモいこと言われるよりは、「ムンス行こ〜」の方がいいもの…。
……女だって千差万別なんだから、考えても意味ないかあ。わざわざ好きな物何か聞いてそれ作るのもめんどくさーーーーー。お兄ちゃんみたいになんでも食べてくれて「うめ♡全部美味しいよ♡」がいいんじゃああーーー!!!

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