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日テレ4-1マイナビ(2020年8月30日)

今回は、2020年なでしこリーグ第7節、味の素フィールド西が丘で行われた日テレベレーザ対マイナビベガルタ仙台レディースの一戦です。ここ数年、ベレーザを中心に年間5試合くらいは現場で観戦をしてますが、こうやって観戦日記を書くのは初の試みです。

試合前

この試合を観に行こうと思った直接的なキッカケはこの記事です。

FW田中南美:INAC神戸レオネッサへ移籍
MF籾木結花:中断期間中にアメリカへ移籍
DF石清水梓:昨シーズン終盤から産休

・・・と、それぞれのポジションで主力がいなくなり、それでなくても変革の予感が漂っていた所でこの2選手の負傷のニュース。特に土光真代は全治8ヶ月との事なので、今シーズンの復帰は絶望でしょう。

昨シーズンまでのリーグ5連覇を支えた選手が5人いなくなる。スタメンで言えばフィールドプレーヤーの半分がいなくなるという、まさに緊急事態。一体誰をどこに配置して、どういう風に戦うのか。この日の興味はその一点でした。

前半

1分、自陣でパスを受けた植木理子が中盤に落としたボールが中途半端になって奪われると、そのままDFラインの裏にスルーパス。村松智子と競り合いながら走り込んだ浜田遥がやや角度のない位置から左足でシュート(GK山下杏也加がセーブ)

8分、松田紫野から縦パスを受けた遠藤純が左サイドから大きなクロス。植木理子、小林里歌子と頭でつないだボールを木下桃香が収めると、切り返しで相手DF2人を振り切って左足でシュート(相手DFがブロック)

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8分、左サイドでのスローインで三浦成美がボールを受け、長谷川唯へのパスがミスになった所を三浦成美が自ら奪い返すと、長谷川唯がDFラインの裏に流し込んだスルーパスを、走り込んだ小林里歌子が右足シュート。

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1-0。小林里歌子の4試合連続6点目となるゴールで、日テレベレーザが先制します。

15分、菅野奏音が左サイドへロングフィードを送ると、走り込んだ遠藤純がワントラップからグラウンダーのパス。中央に入っていた小林里歌子がこれを一度スルーすると、植木理子が落としたボールを小林里歌子がダイレクトでシュート(枠の外へ)

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16分、自陣で奪ったボールを木下桃香が植木理子に預けると、落としたボールを受けた長谷川唯がセンターサークル内から超ロングシュート(GK池尻凪沙がわずかに触れてCKへ)

17分、右からの遠藤純のCKからクリアされたボールを菅野奏音が拾うと、リフティングしながら相手をブロックして反転し、そのまま左足でシュート。

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前にいた植木理子に当たってこぼれた所を、セットプレーで前線に上がっていた村松智子がフォロー。

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このボールに反応して抜け出した三浦成美がGK池尻凪沙と1対1に。

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しかし、タイミングよく勇気をもって前に出たGK池尻凪沙がシュートをストップ。

25分、右サイドを小林里歌子がドリブルで持ち上がると、後ろからつつかれて一度失ったボールをスライディングでクリアを阻止。自ら拾ったボールを有吉佐織⇒植木理子と繋ぎ、再び奪われた所を自ら体を張って奪い返すと、こぼれ球を拾った長谷川唯がキックフェイントで相手を揺さぶっておいて右足でシュート(相手DFのブロックでCKへ)

30分、中盤でボールを奪った隅田凜が左に展開。浜田遥がドリブルからカットインでエリア付近まで持ち込んで右足でシュート(GK山下杏也加の正面)

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32分、敵陣右サイドでボールを奪った長谷川唯がドリブルで少し中に持ち出して左足でシュート(GK池尻凪沙がキャッチ)

36分、長谷川唯から左サイドでパスを受けた木下桃香が、応対する佐藤楓との間合いをはかりながらカットインで中央へ。一度三浦成美に預けてリターンパスを受けると右足を強振。

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しかし、このシュートはクロスバーを直撃。

39分、中盤の福田ゆいからDFラインの裏に縦パスが入ると、オフサイドラインギリギリで抜け出した浜田遥が左サイドを独走。中央寄りにコースを変えてエリア内に進入すると、そのまま右足でシュート。

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しかし、前に出て間合いを詰めたGK山下杏也加がこのシュートをストップ。

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さらに、こぼれ球を後ろから走り込んだ池尻茉由が狙うも、シュートはバーの上。

46分、センターサークル内の三浦成美からくさびのパスを受けた小林里歌子が反転からドリブルで持ち上がり、すぐ左側をフォローに駆け上がって来た長谷川唯へ。トラップが少し流れた所をDFにつつかれますが、こぼれた所を遠藤純がダイレクトでシュート(GK池尻茉由の正面)

47分、右からの安本紗和子のクロスがはね返された所を万屋美穂が拾って左に展開。高平美憂が左からクロスを入れると中央に走り込んだ隅田凜が左足でシュート(ゴールの右へ)

前半はこのまま1-0で終了。

後半

選手交代はないものの、後半から攻撃陣が木下桃香が右、長谷川唯が左、小林里歌子と植木理子の2トップの形に変更。

56分、自陣でのビルドアップから菅野奏音が大きく縦に展開。左サイドに走り込んだ植木理子が國武愛美と競り合いながらボールを収めると、カットインから中に持ち出すと見せかけてヒールで残したボールを遠藤純が右足でシュート(GK池尻茉由がセーブ)

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57分、植木理子⇒宮澤ひなた

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宮澤ひなたが右サイドに入り、木下桃香がトップの位置に。

58分、三浦成美からのくさびのパスを受けた小林里歌子がそのまま反転から中央をドリブルで持ち上がって右足シュート(枠の外へ)

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58分、高平美憂⇒白木星

60分、自陣でのビルドアップから坂井優紀がドリブルで持ち上がってセンターサークル付近から縦パスを入れると、オフサイドラインギリギリで抜け出した安本紗和子が完全に独走状態に。

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フリーでエリア内に進入した安本紗和子がGK山下杏也加との1対1からシュートを放ちますが、ココも山下杏也加がストップ。

61分、バイタルでボールを受けた小林里歌子が裏に出したパスはDFにカットされますが、このボールに対して宮澤ひなたがプレスをかけ、こぼれた所を拾った木下桃香が右足でシュート。

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これがゴール左に決まって2-0。ベレーザが待望の追加点を挙げます。

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今シーズン2ゴール目を決め、先輩方から祝福を受ける木下桃香。

65分、自陣でのビルドアップから三浦成美が前線にくさびを入れると、木下桃香が落としたボールを有吉佐織が右にはたいて前線へ。宮澤ひなたからのリターンパスを受け、坂井優紀のチェックをかわして中央に折り返すと、長谷川唯がワントラップから右足でコントロールショット。

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しかし、ボールは惜しくもポストを直撃して得点ならず。

65分、菅野奏音⇒中里優

67分、福田ゆい⇒市瀬菜々、安本 紗和子⇒佐藤瑞夏

69分、中盤でのボール回しから木下桃香がドリブルで持ち上がって縦パスを入れると、ボールを受けた小林里歌子が反転。少し流れたボールを宮澤ひなたがフォローして折り返すと、小林里歌子が左足でシュート(DFに当たって枠の外へ)

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82分、相手最終ラインからのパスを小林里歌子がカット。こぼれ球を拾った木下桃香から小林里歌子⇒長谷川唯と繋いで右のスペースにスルーパスを送ると、走り込んだ宮澤ひなたがドリブルから右足でシュート。

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このボールがタックルに来た相手選手に当たってコースが変わり、そのままゴールへと吸い込まれて3-0。ベレーザが追加点を挙げました。

85分、中盤でのボール回しから、センターサークル内でパスを受けた長谷川唯が大きく右に展開。対応に来た万屋美穂との間合いを図りながら宮澤ひなたが中央にグラウンダーのパスを返すと、長谷川唯がエリア内から右足でシュート。

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ボールは鮮やかな弧を描いてGK池尻茉由の頭上を破り、ゴールネットに吸い込まれて4-0。長谷川唯の3試合連続ゴールとなるループシュートでベレーザがさらに追加点を挙げました。

85分、浜田遥⇒武田菜々子
85分、村松智子⇒伊藤彩羅、木下桃香⇒原衣吹

長谷川唯がトップに上がり、原衣吹が中盤左へ。

90分、万屋美穂の左からのクロスに対し、GK山下杏也加の前に飛び込んだ佐藤瑞夏が右足アウトでコースを変えて4-1。マイナビベガルタ仙台が一矢報います。

試合はこのまま4-1で終了。日テレベレーザが3連勝を飾りました。

試合を終えて

冒頭に「昨シーズンまでのリーグ5連覇を支えた選手が5人いなくなる」と書きましたが、いなければいないなりに何とか試合を形にして結果を出した。そんな感じでしょうか。

勝敗の分岐点は60分。GK山下杏也加が安本紗和子との1対1からのシュートを止め、返す刀で木下桃香が2点差に突き放すゴールを挙げる。マイナビベガルタからすれば、1-1のはずが一瞬で0-2になった訳ですから、この1分間の攻防が勝敗を分けたと言っても過言ではないでしょう。

ただ、勝つには勝ちましたが問題は山積みです。特に守備陣。

1試合に、DFラインの裏に独走を許してGKと1対1になるシーンが2度も起きるというのは通常アリエナイ話です。ベレーザのレベルになれば特に。清水梨沙はともかく、土光真代がシーズン中に戻って来れない事はほぼ確実なので、今いるメンバーで守備陣のリーダーを定めて、DFラインの整備を図る必要があると思います。

DFラインの不安は攻撃面でも顕著でした。一度、相手のプレスが前からかかる状態になると、なかなかそこから抜け出せないという場面を何度か見かけました。石清水梓、土光真代の両CBが健在の頃は、誰にどれだけプレスをかけられてもGK山下杏也加を含めた3人のパス回しで、惚れ惚れするほど鮮やかにプレスを剥がしてボールを前に運んでましたが、今日の試合を観る限り、プレスをいなすというより、プレスにかからないよう必死にボールを逃がしてる印象を受けました。

無いものねだりしても仕方ないので、現状CBだけでプレスをかいくぐるのが難しいのならば、SBやボランチまで含めて、より効率的にボールを前に運ぶ方法を模索するべきだと思います。

一方の攻撃陣に関しては、田中美南と籾木結花が移籍したといっても、元々控えにも日本代表が並ぶような陣容なので駒は揃っていると思いますが、その豊富な選手層を活かす最適解が見つかってない感じがします。

植木理子と小林里歌子のどちらを前線の軸に据えるのか。

2019年成績(リーグ戦)
植木理子 :16試合8得点
小林里歌子:16試合11得点
田中美南 :16試合20得点

田中美南の圧倒的な数字を目にすると若干かすみますが、植木理子と小林里歌子も日本代表選手であり、十分に能力も実績もある選手です。田中美南がいないのだから、この2選手にさらなる量産を期待するのはごく自然の流れですが、この試合でも植木理子を中央、小林里歌子を右サイドで試合をスタートさせて前半途中に両者の位置を入れ替え、さらに後半は2トップに変更したように、2人をどう並べればお互いの能力が最大化できるのか、いまだに決めかねている気がします。

個人的には、前線は植木理子と小林里歌子の2トップにして、長谷川唯が左サイドから中央に入ってゲームメイクをし、空いた左サイドに後ろから遠藤純が入ってくる後半の形が面白いと思いますが・・・

今日の一枚

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「不在の在」とはよく言いますが、勝つには勝ったとは言え、この両者の不在を大きく感じる試合でした。そりゃあ、影響が小さい訳はないですよね。2人とも日本代表でDFラインの主力で、おまけに2番は主将ですもんね。

スタッツ

ハイライト映像

次回予告

なでしこリーグの次回は9/12(土)INAC神戸との大一番を観戦予定です。

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