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【PickUpMatch】#005.大然のスピードと垣田のポストプレー

 J1は第5節。あっという間に3月も半ばに差し掛かり、年度を跨ごうとしている。
 東京オリンピック・パラリンピックが開催される今季は平日開催も多分に併用しながらのJリーグは開催となる。

 今回は一昨年のリーグ王者横浜Fマリノスがホームに、昨季J2を制した徳島ヴォルティスを迎えた一戦。
 選手にフォーカスして印象に残ったプレーやシーンを残したい。

Topic①:前田大然の猛烈プレスと圧倒的なスピード

 ぶっちぎるとは彼のことを言うのではないか。この選手猛烈にスピードがある。U24の日本代表であり、オリンピック代表候補であるが風貌はすでにベテラン。
 マリノスのチーム内ではその風貌から、ブラジル人を騙すなというイジリまで生まれている。

 テレビ画面上で見ていても、もうここまで移動したの?と思うくらいストライドが速い。卓越した下半身があってこそ織りなせるのだろう。
 現に前半10分。大然のプレスから先制点が生まれる。前線でプレスをかけ、相手センターバックからボールを奪うと一人でゴールを陥れた。
 この選手がすごいのは、ボールに対しチャレンジができることだ。通常フォワードの選手はボールに対しコースを限定したりプレスをかけるものの、なかなかボールにチャレンジはできない。
 (チャレンジすれば、外されるリスクが高まるし、最前線の選手は通常そこまで守備タスクとして求められないことが多い)

 ただ、この前田大然という選手は、涼しい顔でやってのけてしまう。スプリント回数が試合の中で圧倒的に多いのは守備の貢献の高さも起因しているはずだ。

 一方、徳島はこういったプレスに対し、自陣ゴール前でボールを失い続ければ手遅れになりかねない。
 チームとしての戦い方や方向性含め、修正が必要だろう。全体でトレーニングできる時間は限られているからこそ、「なにをしないのか」を監督やコーチ陣には判断することが求められる。
 もちろん、ビルドアップのトレーニングをすることは大切だ。でも結果を残していかなきゃいけない中で本当に取り組むべき課題はそこなのか吟味する必要がある。
(そんなとき監督がまだ入国できていないのはかなり状況として厳しく、フロントは解雇も含め早急に判断すべきだ。ずるずるいけば、4チーム降格してしまう今シーズンにおいて相当厳しい後半戦になるのは火をみるより明らかだ)

Topic②:垣田裕暉という可能性

 後半24分。1点ビハインドの徳島はセンターフォワードを垣田にスイッチする。
 高さだけでなく、スピードと走力も持ち合わせる大型センターフォワード。例えるなら、モラタのような選手だ。

 前線にターゲットができたことで、徳島の選手の逃げ道ができた。またロングボールを蹴っても前線でタメを作り時間を作ってくれるので全体を押し上げる時間もできた。
 もちろん、後半も中盤から終盤にかかる時間であったし、マリノスの一点リードという状況もあり、マリノスのチームとしての重心が一列下がったことで徳島の中盤にスペースができはじめたタイミングであったことは事実だ。ただ、それをさっぴいてもお釣りがくる程、この試合では垣田の存在が際立っていた。

 終了間際までゴールに迫るプレーを見せ、得点の雰囲気を感じさせてくれた23歳のフォワードは徳島ヴォルティスがJ1残留を果たす上で大きなピースになっていくはずだ。

Topic③:ラストピースはボランチにあり

 もし徳島ヴォルティスがスタイルを捨て、明確にロングボールで起点を作るサッカーに舵を切ったら、今の序列は大きく変わるに違いない。
 中盤でボールを回収し、散らせる選手がより重宝されはじめるだろう。その時キーマンになるのは鈴木徳真だと僕は思う。
 マリノス戦、後半34分に途中出場し、J1デビューを飾ると、落ち着いたプレーと卓越したポジショニングで中盤に安定をもたらした。もちろん、先に述べたように垣田投入の効果で徳島ペースになっていたことは事実である。それでも、中盤でボールを回収する位置取りとスキルの高さは抜けていたように思う。

 今は徳島ヴォルティスの精神的支柱であり、顔である岩尾がボランチの軸だ。
 ただこの序列を今シーズン覆すことがあれば、徳島ヴォルティスは残留に近いチームになるかもしれない。
 垣田というセンターフォワードの覚醒とボランチ鈴木徳真の成長を心から期待したいと思う。
(あと、フロンターレ好きとしては、宮代君も2桁得点取ってくれるととても嬉しい)

それでは。

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