見出し画像

【考察】2024-25競技規則改正

みなさん、こんにちは。まっつんです。
3月2日に、IFABより2024-25競技規則改正についてのリリースがありました。この記事では、その内容について考察していきます。
なぜ「解説」ではなく「考察」なのかと言うと、今回のリリースは概要レベルの説明に留まっていて、詳細な情報が含まれていません。そこで、リリースの内容と現行競技規則(2023-24)を照らし合わせて「こうなりそう?」という考察を行っていきます。

改正トピック

主な改正事項は以下の3つです。

  • 第3条:脳震盪交代ルールの恒久化

  • 第12条:ハンドの反則における懲戒罰の変更

  • 第14条:ペナルティーキックにおける反則の明確化

第12条:ハンドの反則における懲戒罰の変更

今回の改正における最大の変更点について考察します。
まずは、リリースの原文を見ていきましょう。

Handball offences that are not deliberate, and for which penalties are awarded, are to be treated in the same way as other fouls.

IFAB:The IFAB approves permanent concussion substitutes among several changes to the Laws of the Game

日本語に訳すと「意図的でないハンドの反則で、PKが与えられる場合は、その他の反則と同様に扱われる」といったところでしょうか。細かく見ていきます。

「Handball offences that are not deliberate」の解釈

ボールが腕や手に当たっただけではハンドの反則とはなりません。以下の2つのパターンのうち、いずれかに該当した(と主審が判断)場合に反則となります。

・手や腕をボールの方向に動かし、意図的に手や腕でボールに触れる
・手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる(以降は省略)

JFA:サッカー競技規則2023/24

簡単に述べると「意図的にボールに触れる」か「不自然に身体を大きくしてボールに触れる」です。「意図的にボールに触れる」は競技規則の英語版にて"deliberately touches the ball"という文言になっている事から、リリースの表現「Handball offences that are not deliberate」は、「意図的にボールに触れる」ではないハンド・・・ 即ち「不自然に身体を大きくしてボールに触れる」を示唆していると考えられます。

「and for which penalties are awarded」の解釈

競技規則の英語版を参照すると"penalties"という用語はPK戦の意味で用いられていますが、これは「ペナルティーキックが与えられる」・・・即ち、ペナルティーエリア内で行われる守備側競技者の反則、という意味で間違いないでしょう。

「are to be treated in the same way as other fouls.」の解釈

ここは、"other fouls"(その他の反則)をどう解釈するかが重要です。僕は、直接フリーキックとなるその他の反則・・・即ち、キッキングやトリッピングのことだと解釈しました。

ハンドの反則における懲戒罰の軽減

つまるところ、ボールにチャレンジしている+PKが与えられる場合に懲戒罰が軽減されるルールが、ハンドの反則にも適用される事になります。

例えば、DOGSOの状況で反則したが、それがペナルティーエリア内であり且つボールにチャレンジしていれば退場ではなく警告にグレードダウン。同様に、状況がSPAであれば懲戒罰無しにグレードダウン。逆に、ペナルティーエリア内であってもボールにチャレンジしていなければ、グレードダウンは無し。

これをそのままハンドにも適用すると、以下になります。

  • DOGSO+PK で反則が「不自然に身体を大きくしたハンド」→ 退場からグレードダウンで 警告

  • DOGSO+PKで反則が「意図的にボールに触れたハンド」→ 退場

  • SPA+PKで反則が「不自然に身体を大きくしたハンド」→ 警告からグレードダウンでノーカード

  • SPA+PKで反則が「意図的にボールに触れたハンド」→ 警告

これまで、シュートブロックの状況でハンドを取られると警告となっていましたが、今後は「不自然に身体を大きくしたハンド」であればノーカードとなりそうです。

得点阻止がどの様な扱いになるかは、今後の詳細発表を待つ必要があります。ただ、例えば「DOGSO+PK+トリッピングの反則」において状況がDOGSOであっても得点阻止であっても警告にグレードダウンすることに変わりはないので、リリースの原文"are to be treated in the same way as other fouls."を素直に読むと、ハンドの反則においても得点阻止はDOGSOと同様の扱い(区別しない)になると考えられます。

第14条:ペナルティーキックにおける反則の明確化

まずは、リリースの原文を見ていきましょう。

encroachment by outfield players will be penalised only if it has an impact.

IFAB:The IFAB approves permanent concussion substitutes among several changes to the Laws of the Game

日本語に訳すと「キッカー以外のその他の選手による侵入は、影響があった場合にのみ罰せられる」といったところでしょうか。

現行の競技規則では影響の有無に関わらず侵入=反則と定義されています。一方でVAR有りの試合では、介入するか否かの要素として侵入=反則とは見なさず、侵入したうえで結果に対して直接的に影響を与えたかどうか、を考慮します。

例えば、キーパーが止めたボールを守備側競技者がクリアした場合、そのクリアした選手が侵入したかどうかをVARはチェックします。仮に攻撃側競技者が侵入していたとしても一切考慮しません。あくまで「クリア」という結果に影響を与えた選手にのみフォーカスする、という考え。

こういった競技規則上の文言とVAR介入判断の乖離は、これまで試合後に度々Twitterが荒れる要因になっていましたが、今後はその乖離が無くなりそうです。「侵入=即 反則ではなくなる」と覚えておきましょう。

第3条:脳震盪交代ルールの恒久化

脳震盪交代枠ルールは導入開始から数年経ったので既にかなり浸透していますが、実は現状の競技規則では試験的扱いという位置付けでした。それが2024-25から恒久適用されます。本題からは逸れますが、その交代を脳震盪枠とするかどうかはチームドクターの判断であり、審判団が判断するものではないという事も覚えておきましょう。

あとがき

という事で、ここまで2024-25競技規則改正について考察してきました。改めて述べますが、本記事の内容は解説ではなく考察です。短い文章のリリース原文から推測しているので誤った解釈が含まれている可能性はありますが、まずは詳細なリリースを待ちたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?