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メイラード反応の善と悪1(褐色反応の基礎知識)

食品が茶色く変色(褐色)する反応には、大きく3種類あります。

酵素的褐変とカラメル反応、そしてメイラード反応があります。

酵素的褐変

酵素的褐変は名前の通り、酵素によって茶色くなるもので、
例えばリンゴを切ると表面が茶色くなるのは、リンゴの酵素の働きによるものです。

カラメル反応

カラメル反応は、先ほどの酵素的褐変とは反対の、非酵素褐変と言います。
砂糖を加熱すると飴色になるのがカラメル反応です。
糖が加熱によって分解され、色が変わっていきます。

メイラード反応

メイラード反応も非酵素褐変の一つです。
還元糖(ブドウ糖、果糖、乳糖など)という種類の糖と、アミノ酸(たんぱく質)が加熱によって結びつく反応のことです。
温度が低くてもメイラード反応は進みます。赤みそなど熟成する期間が長いほど濃い茶色になるのは、メイラード反応のためです。
フランス料理でフォン(出し汁)を取るときに、野菜をいためて褐変させるのもメイラード反応です。

実は言い間違いかも!?

よく料理人が「キャラメリゼ」と呼んでいるのは、カラメル化のことを言っている時もあれば、メイラード反応のことを言っている場合もあります。
ですが、正しくは砂糖をカラメルにするのは、メイラード反応とは呼びません。

メイラード反応とは?

メイラード反応でできた成分を総称して、「メイラード反応生成物」と言います。
メイラード反応生成物の特徴は2つ。
褐色であることと、少し苦味があることです。

メイラード反応を起こしやすい食材

ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖などを含む食材を想像してみてください。

例えばみりんやはちみつなどがあります。他にもフルーツや野菜も色々挙げられます。

メイラード反応で一番想像できるのは、玉ねぎを炒めるときです。
ハンバーグやカレーなどを作るときに、玉ねぎを茶色くなるまで炒めるのはメイラード反応が起きています。
例えば、この玉ねぎを炒めている時に、同じくメイラード反応を起こす”みりん”を少し加えると、メイラード反応が早く進んですぐに茶色くなりやすいです。
時短したい場合はぜひ活用してみてください。

ちなみに砂糖はメイラード反応を起こしません
*砂糖の成分は”ショ糖”です。

そして砂糖のカラメル化反応とメイラード反応は、匂いの成分や質が違います。

また、同じメイラード反応を起こす食材でも、アミノ酸(たんぱく質を分解したもの)の種類は食材ごとに違うので、そのアミノ酸の違いや加熱温度の違いで匂いが大きく変わってきます。

メイラード反応 3つの条件

温度・pH(酸性かアルカリ性かの度合い)・水分。

<条件1>温度:
加熱温度が高いほど起こりやすくなります。10℃以下ではほとんど起こりません。
温度が10℃高くなればなるほど反応速度が3-5倍速くなると言われています。
*表面温度が150℃以上になると“焼き色”がつきます。

<条件2>pH:
ピーエイチまたはペーハーと呼びますが、数値が1から14まであり、7の中性を軸に、7以下になるほど酸性が強くなり、7以上になるほどアルカリ性が強くなります。
これは特殊な方法で、”酸なのかアルカリなのか”を調べているので、単に酸っぱいから酸性というわけではないです。
例えば、梅干しは酸っぱいので酸性だと思う人は多いですが、pHの検出法ではアルカリ性食品になります。*一般的に酸性食品は体に悪いという印象です(すべてではありません)。

pHの説明は以上にして、

pHによるメイラード反応の条件は、pH3.0以上です。つまり中性やアルカリ性で起こりやすいということです。

<条件3>水分:
保存食品の場合ですが、10~15%の中間水分食品と呼ばれる干物で起こりやすいです。
玉ねぎが最初はなかなかすぐに茶色くならないのは、玉ねぎに水分がたくさんあるからというのも一つの理由です。

実はほとんどの調理でメイラード反応が起こっている?

ちなみにほとんどの食品や調味料に、メイラード反応を起こす条件の糖とアミノ酸(そして水分)が含まれています。
つまり、だいたいの食品は加熱して茶色くなれば、メイラード反応が起こっていると言えます。
そしてそれが、おいしさの役割の一端を担っていると考えられます。

さらに、メイラード反応の香りは水溶性の成分が多いのです。これは水に溶けやすいということなので、鍋にこびりついたメイラード反応生成物(コゲとよばれるもの)を水とかワインを入れて溶かしてソースなどにするのはとても理にかなっていると言えます。

以上、ここまでは常識的なことをお伝えしましたが、私が伝えたいのはここからです。

ここまでの知識がないと、次から話すことがチンプンカンプンで理解できない可能性があるので、まずは褐色反応の違いや、メイラード反応とは何かについてお伝えしました。

料理をおいしくするメイラード反応でも、実は良い面と悪い面があるので、
扱い方によってかなり注意しないと健康を害することになります。

そのことについて次回お伝えします。

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