アメリカで事件に巻き込まれた話

今回は私が年始に体験した不思議なお話です。

これを書いている今でさえ、本当にそんなことが起こったのか信じられないようなできごとなんですが、記憶を辿りながら当時のことを思い出していきます。


シーン1:違和感

2023年の初め、海外出張のため日本から遠くアメリカに飛び立ったところから話は始まります。道中多少のトラブルがありながらも、日本から15時間程度の移動を経てホテルに到着。

広くて素敵なロビーのお出迎えにこれから始まる海外での生活に心浮かれながら、チェックインを済ませていよいよ部屋に向かいます。

私の部屋は16号棟というところ。同行していた同僚は17号棟だったので、一旦お別れして夕食までは休憩時間です。

ルームカードで部屋の扉を開け、フライトで疲れた体を休めるため今すぐベッドにダイブ!

そんな気持ちで部屋の中に入ったところ、ある異変に気づきました。

誰もいないはずの部屋からなぜか音がする。

しかも、誰かが部屋に入った痕跡まである。


もしかしてだれかいる??


恐る恐る部屋の奥まで行くと、テレビがつけっぱなしで流れていました。

なーんだ、部屋の清掃がまだされていないんだなと。

脅かさないでよ、もう。

荷物とコートを置いてロビーに向い事情を説明して、部屋を清掃してもらうことに。私と荷物が部屋にいると清掃できないとのことで、同僚の部屋に退避することになりました。

ロビーから部屋に帰るとすでに清掃のおばちゃんいました。

全部荷物持った?

という呼びかけにイエスと元気に応えつつ、荷物片手に同僚の部屋へむかいます。

シーン2:訪問者

さて場面は変わって、同僚の部屋。

私の部屋とは別の棟ですが、バルコニーからはお互いの部屋の中まで見えるくらい近い距離でした。

これから始まる海外生活とかアメリカの食事の話とか仕事の話とか新婚生活の話とか、同僚と二人でワイワイ盛り上がっていると


ガチャっ



という音が突然鳴り響きます。

音の方に目をやると、なぜか入口の扉が開いている


(イメージ図)

見知らぬ10代ぐらいのアメリカ人青年が目の前に。

氷つく場。

どうも隣の部屋の人だったらしく、間違えて部屋を開けてしまったみたいで、そのまま扉は閉まりました。ウッカリさんね。

しかしオートロックなのに??

扉をよく見ると、立て付けが悪く半開きになっていたようです。最後に開けたのは私だ、ごめんよ同僚。

なんだかホテルに着いてから色々あるねーなんて言いながら、これらの出来事が次に起こる事件の前座に過ぎないことをこれから思い知らされることになります。


シーン3:異変

結局19時に予定していたレストランの時間まで私の部屋の清掃は終わらなかったので、私の荷物を同僚の部屋に置いて、そのまま二人で夕食に向かうことになりました。

ホテルに併設されたアメリカンなお店で夕食をとり、レストランを出たのは20時過ぎだったでしょうか。

結局清掃完了の連絡はなかったものの、さすがに終わっているだろうと16号棟の自分の部屋に戻りました。

うんうん、やっと綺麗な部屋からのお出迎えです。

寒くなってきたので、部屋に置いていたコートを着て同僚の部屋へ荷物を取りに行かないと・・・あれ、コートがない。

部屋に置きっぱなしにしていたはずのコートがない。

ヤバい、掃除のおばちゃんが持っていったor捨てられたか?!

いや、でももしかしたら同僚の部屋にコートを置いてきたのかも知れないから、とにかく同僚の部屋に行こう!!

こうして17号棟に向かっていると、なぜかこちらに向かってくる同僚と鉢合わせました。

私「そっちの部屋にコート忘れてなかった?もしかしたらなくしたかもしれないから、ロビーに・・」
同「そんなことより私の宿泊棟が大変で部屋に入れなくて・・・」

同「規制線で宿泊棟にすら入れません」


(実際の写真)

夜ご飯食べてる1時間の間に何があったのよ。コートどころの騒ぎじゃないな、おい。

警察官にいくら聞いても、入れてくれない。理由も教えてくれない。ホテルの人も何も教えてくれない。

もちろん私の荷物は取れないし、同僚なんて自分の部屋に帰ることすらできません。

幸い封鎖されてるはその棟だけだったので、封鎖解除までは私の棟の部屋で待機することになりました。

そこら辺のお店で調達したワインを飲みながら、今度は立場が逆転だね、なんて呑気なこと話しつつ。


シーン4:判明

しかし、待てど暮らせど規制が解除される兆しがありません。

何度か私の部屋のバルコニーから眺めましたが、解除もされなければ、警察官が忙しそうに色々調べ続けています。

私の部屋からは丸見えなのですが、不自然にカーテンが開けっぱなし、テレビつけっぱなし、明らかに重点的に捜査をしている部屋がみえます。

それは同僚の隣の部屋でした。

あそこで何か事件でもあったんだろうか、しかもかなり大ごとの。たった1時間の間に?

そういえば変な匂いがしてたけど、もしかしたら大麻でしょうか。でもここは大麻合法の州だし、そんなレベルではないか。そういえば別の同僚が酔って素っ裸になった人を見かけたと言ってだけどその話では無さそうだ。

時間が経てば経つほどそのシリアスさが現実味を帯びていきます。



夜の22時を回ったころ。

同僚が突然ネットニュースの内容を読み上げはじめました。

「今泊まってるホテルと同じ住所の場所でmurderって書いてある」

murderね、普段聞かないけど高校生の時にシステム英単語で見かけたぞ。うんうん、確か殺人。



・・・殺人?



思わずテレビをつけて地元ニュースを見る。


テレビに映る宿泊先のLive映像。

Homicideで殺人事件のことを指すんだね、一つ賢くなったよ。

・・・マジか・・・

ただ捜査中とだけ伝えられ、犯人に関する情報は一切なし。

捕まってるの?逃げてるの?
もしかして銃を持ってる?

どこにいるかもわからない恐怖。できうる最大限の対策として、戸締りをちゃんとして待つことになりました。

とりあえずクローゼットは全て開けて、「誰もいませんかー?(日本語)」と人が潜んでいないことを確認。

思えば、最初自分の部屋に入った時に人の気配がしたのに、本当に誰もいなかったのか??いやいや、その後清掃のおばちゃんが入ったからそれは大丈夫だ。


シーン5:真相

さらに時は過ぎ、一つの部屋で他の同僚も集まり待ち続けます。

俺はもう帰って一人で寝るぞ!フライト直後で疲れてるんだ!!なんて死亡フラグの中の死亡フラグのような発言は誰一人することなく待ち続けます。

日付も回ろうとしていたころ、ニュースが更新されてようやく事態が明らかになってきました。

とりあえず犯人はもう捕まってるとのこと。ふぅ。

どうも母親とその彼氏、母親の息子で旅行に来ている最中に、口論になり部屋のキッチンにあったナイフで息子が母親の彼氏を刺し、そのまま病院に運ばれ亡くなったと。

あぁ、そのナイフってうちの部屋にもあるナイフね、、結構な刃渡りだよね。。。

とはいえ、真相がだいぶんわかってきているので、規制もそろそろ解除されるかもしれないという希望は出てきました。

しかし、同僚の隣の部屋で子供がそんなことをしたのか。母親の彼氏とか、複雑な事情でもあったんだろうか。子供といってもそれくらいするってことは、おそらく青年くらいの年なんだろうなぁ。


・・・ん?青年??

・・・・・隣の部屋??



(甦るイメージ図)

━━━━━∑(゚Д゚;)━━━━━!!!!!!

その後警察官との交渉の末、その日の夜のうちに同僚だけは部屋に戻れた(部屋の前まで警察官がつきっきり)ものの、私はその部屋に荷物を取りに入ることは許されず、長旅の疲れもあり、寝巻きも着替えもないまま、自室で泥のように眠りましたとさ。

_______

シーン6:その後

結局事件には巻き込まれた精神的ダメージは受けたものの、特に何かしら物的被害があったわけでもなかったのは不幸中の幸いでした。

あ、でもみなさんお忘れでしょうが、私のコートは同僚の部屋にもロビーでの預かりもなく、結局見つからなかったのは不幸中の幸い中の不幸ではあります。

思い返してみても、伏線大渋滞の物語のような現実でした。

ということでそんなアメリカ1日目でしたが、その後はほとんどトラブルもなく(帰りにアメリカ全土の飛行機が飛ばなくなるなどあったけど些細なこと)無事仕事を終えることはできました。

最後に私からは、みなさんもオートロックだからと過信せず戸締りには気をつけましょう、ということをtake home messageとしてお送りします。

ご安全に。

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