25年間、マッシュとは何か知らなかった。
美容室に行く理由か...
そんなもの僕にはあるのだろうか。
高校生までの僕の散髪ライフは、シンプルに野球をやるために、坊主にすることが目的だった。
とくに高校時代は、周りの友人は自分でバリカンを持っていて、家で髪の毛を刈り上げてくることが基本スタイルだった。そもそも美容室に行くという概念がない友人も多かった。
余談だが、野球をするのに坊主になる必要があるのかは今でもよくわからないが、みんなで同じ目標に向かって一致団結できるのであれば、それもまたいいのではないかと思っている。
でも僕は自分でバリカンを買うのは頑なに拒んだ。明確に理由があったわけではない。
なんとなく怖いとか、失敗したら嫌だなとか、必要以上に髪の毛を剃ることに躊躇いがあったのだろう。
だから2ヶ月に1回地元の床屋さんに行って、頭を丸めることが高校生までの習慣だった。毎回一応「今回はどうしますか?」と親切に聞いてくれるですが、だいたい
「今回もいつもどおりでお願いします!5ミリで大丈夫です!」
というキャッチボールを交わすのが常だった。行きつけの飲み屋の一幕なんか、ここは。
そんなこんなでまともに髪の毛を切るということをしてこなかった僕は、大学生になっても、ただ伸びて鬱陶しくなった髪の毛をただ短くするということしか知らなかった。
前髪が眉毛を超えるとだんだん鬱陶しくなってきて、運動すると邪魔になるし、髪の毛を乾かす時間すら面倒くさい僕にとって、髪の毛という存在はある種悪のような存在にすらなっていた。
社会人になってさすがに体裁を気にするようになったのだが、伸びた髪の毛をワックスでセットすることすら億劫で、休日出かける時は基本キャップをかぶるスタイルで通してきた。
髪型には1ミリのこだわりもないというのが、僕の25年間のライフスタイルだった。
すごいかっこいい感じで語ってるけど、全くかっこよくない。むしろダサいな(笑)
でも最近、
「ちのぱん髪型変えないの?」
と言われることが増えてきた。ついにはTwitter上でもこんなやり取りが...
ことの発端は、同期のこの投稿。髪あげてるだけなんだけどね...
元同期から1日50万円で髪型コンサルしてやるよという始末。髪型は似てないから、ごめんなさい。
とある後輩からは髪型の提案が...
後輩:「茅野さん、髪型変えないんですか?」
チノ:「んー自分に似合う髪型わからないんだよね...」
後輩:「マッシュとかどうですか?」
チノ:「...えっと、マッシュとは?マッシュルームみたいな髪型ってこと??」
後輩:「いやいや違いますよwwwwググってみてください」
チノ:「あーなるほどね。写真に写ってる人が全員イケメンなんよな...」
後輩:「雰囲気イケメンいけるんじゃないですか?」
チノ:「ありだね」
いやいやなにが「ありだね」だよ、満更でもない回答してるんじゃないよ(笑)そもそもマッシュ=マッシュルームを想起する僕の脳内はどんだけスッカラカンなんだ...
そんなこんなで2020年の終わりに、まだマッシュには挑戦していない。何回か美容室に行ったのだがコミュ障も相まって「マッシュにしたいんですけどどうですかね?」とは言えない。
25年間髪型を意識してこなかった僕にとって、美容室で「いつもと同じでいいです」以外の言葉を発することは相当勇気がいる。
Twitterで呟くことより、タワー・オブ・テラーに乗ることよりも、一人でバーに行くことよりも高いハードルがそびえ立っている。
2021年。僕は勇気を持って言えるだろうか。マッシュでなくてもいい。
「いつもと同じで」
これ以外の言葉を発することができた時、今までの自分とは違った自分に出会えるのかもしれない。
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