見出し画像

素人がデジタルで漫画を描いてみる(9):HOMESTYLER

前回の記事

このシリーズ、前回からずいぶん間が空いてしまいました。前回何書いたんでしたっけ?ああ、漫画を描き始めて浮かれていたころでしたね。GIMPがちょっと使えるようになって、まともに漫画描けるかも?という話でした。

今回は背景制作の話に戻ってみたいと思います。
背景制作については5回目6回目で触れました。5回目では中距離背景の制作向けにSketchUp(3Dモデリングソフトウェア)、6回目では遠景制作にmage.space(生成AI)を紹介したのでした。
実はもうひとつ紹介し忘れていたものがありました。それが、HOMESTYLER(※アフィリエイトリンク)です。

HOMESTYLER

勝手にアイスを食べた子猫をたしなめる少女

どケチさんな私が、無料で使えるWebサービスしか紹介しないのはそろそろおわかりだとは思います。HOMESTYLERも多分にもれず無料で使えるWebサービスとなっております(課金モデルはあります)。
何をするサービスかというと、ツールの雰囲気としてはSketchUpに近いんですが、HOMESTYLERは建物、特に「家」に特化したデザインツール(CAD)です。
主な用途は、例えば家を新築したときに、内部がどういう見た目になるのか、または既存の部屋に家具を配置するとどんな感じになるのかをシミュレートすることです。私も最初はこういった用途で使えるサービスを探していたのです(作画に使うことは考えていませんでした)。

前者のWeb CADについては他にも「マイホームクラウド」とかスマホアプリなんかもあったりします。不動産サイトなんかでも最近は物件の間取りを3Dのウォークスルーで確認したりすることができますね。

後者に関しては、例えば無印良品の公式ページには「インテリアシミュレーター」とかがあったりするし、他にも家具・インテリア製品を扱う企業が「シミュレーター」を各個に採用して顧客に提供していたりします。こちらについては各企業の自社製品を買ってもらうのが目的なので、設置できる家具はそれぞれの企業の製品に限られています。

HOMESTYLERは同様の目的の無料Webサービスの中ではずいぶん高度なものになっていると思います。
今回の記事はHOMESTYLERを近景、言ってしまえば部屋内の背景制作に利用してしまおう、という内容です。これで遠景はmage.space、中距離はSketchUp、そして近景はHOMESTYLERと、全距離の背景制作がカバーできますね。

SketchUpは立体空間上にオブジェクトを作っていく必要があったのでずいぶん操作に慣れが必要だったのですが、HOMESTYLERは平面上に「壁」を描いて囲ってしまえば部屋が、部屋をつなげていくと家ができてしまうという分かりやすさがあります。三次元的に考えて操作しなくていいのです。
今のHOMESTYLERだと「テンプレートから作成」、「間取り図などの画像を読み込む」、「DWGファイルをインポート」、「iPhone/iPadで実物の部屋をスキャン」、という方法でも部屋を作成できます。「家づくりのセオリーなんてわかんないよ」と言う場合は不動産サイトなんかから間取り図を拝借して、それをもとに作っていくのがいいかもしれませんが、ひと部屋だけなら誰でも驚くほど簡単に作成できます。

とにかくDraw Roomsで四角を描いてしまえばいいのです。これでひと部屋出来上がり。四角形じゃなかったり、斜めの壁があったりする部屋の場合はDraw Straight Wallsで壁を描いてつないでやるといいです。

囲えば部屋ができる

Single DoorとWindowで描いた壁面にドアと窓をつけて、DecorateタブのFurnitureから家具を選んで配置してやるとできあがり。有料の家具アセットもあったりするんですが、無料アセットだけでも結構作りこめます。テーブルや椅子、棚などは当然ながら、システムキッチン、トイレ、バスタブはもちろん、冷蔵庫、洗濯機、TVなどの家電製品もあります。細かいところでは忘れがちな天上のシーリングライトとか壁面のスイッチなんかもあります。窓にブラインドやカーテンをつけたりすることもできます。全体的にデザインセンスがどうしても洋風になってしまうのは仕方がないです。

シングルベッドで夢と

右上のミニウインドウでSwitch Viewを選べば、もう3Dでウォークスルーできます。

まあステキなマイルーム💛

今描いている漫画で、ちょうど主人公の家と部屋が舞台になるお話だったので、まさにそういう絵をでっち上げる必要がありました。
これで簡単だと思った方は、部屋を増やしていって、さらにAdd Floorで上階を追加できるので、2階・3階も増やして…とやっているとあっというまに家ができてしまいます。

6畳ってどのくらいの広さ?とか、日本の家の壁(天井)の高さってどのくらい?というのはググればわかります。こういう時に意外に知らなかった常識が勉強できたりしますよね。

大草原の小さな家?

カメラはもちろん家の外に設定できますし、エクステリアのアセットもいくつかあるので、外構も作ることができます。
Renderメニューから画像が出力できます。SketchUpのようにワイヤーフレーム画像の出力オプションがないのがちょっと残念です。

アウトラインに沿ってパスを引く

出力画像を原稿に取り込んで参考画像とし、パスなどを引いたりして作画していきます。現時点では日本では普通な三角屋根が葺けないので、作画で何とかする必要があります。

お隣さんや窓は適当にあとづけ。フキダシで隠れるところは省略

ちょっと広めの閉鎖空間までであれば、SketchUpを使うよりHOMESTYLERの方が簡単かもしれません。公共施設とか、それこそダンジョンとかお城なんかには使えそうです。

例によってそのまま絵にできない(しちゃってもいいですけど)というのはありますが、三次元的に破綻のない作画の参考にできる、と言う点ではメリットがあるんじゃないでしょうか。いくら空間認識力に優れた人でも、場当たり的に建物とか構造物を作画すると「とんでも空間」が生まれてしまうことはよくあります(初代・宇宙戦艦ヤマトの艦載機格納庫とか)。まあ漫画なので「とんでも空間」上等でもいいんですが。少なくとも読んでて混乱しないようには配慮したいものですね。

アイスの恨みは深い

読んでいただいてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?