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素人がデジタルで漫画を描いてみる(8)

前回の記事

今回は、2024年を迎えて、私の漫画制作がどう変わったか?についてのお話です。まだまだヘタクソですがなんとか2024年一本目を描きました。念願のストーリー漫画!

線を描くツールの最適化

GIMPのデフォルトの描画ツールは「ブラシで描く」です。なぜか私はこれしか線を描く方法がない、と思い込んでしまっていました。
ブラシのサイズや描画特性を細かく変えてみたりするのですが、どうやっても第3回の記事で紹介したような納得のいかない線しか描けません。
これが昨年の最大の不満点で、他に描きようがないのか?とGIMPとにらめっこしていると…。
なんだ「インクで描く」というものがあるじゃないか?
各ツールには類似機能が裏に隠されていて、これらを切り替えて使える、ということにやっと気づきました。
しかも「インクで描く」のアイコンはつけペンのまさにそれです。ずーっとつけペンで描いたような線が描きたかったのです。

デフォルトの「ブラシで描画」で描いた元絵
下書きはそのままで、線画のみ
「インクで描画」で描き直したらこうなった
下書きがそもそも…なのはさておいて、
意図通りの線が引けるようになった

キレイに塗りたい

線がなんとかなったら次は塗りです。モノクロ漫画を描くので塗るのはベタとかトーンなどです。
これ、線画に直接塗るんでしょうか?普通に考えると塗った部分と線画が一体化してしまうので、レイヤーを分けますよね。そうすると何も描かれていない塗りレイヤーでは何をヒントに塗りつぶすのか?
昨年のクリスマスに描いた漫画まではこの方法がわからずに、投げ縄選択で塗る領域を手で囲って塗るとか面倒なことをやっていたんですが、全然キレイに塗れなくて苦戦しました。その上時間がかかるんです。
じゃあ線画レイヤーをコピーして直接塗りつぶせばいい、と思ったんですが、これ実はキレイに塗れないんです。(しかも線が2重になるので、意図したよりも線が濃く見えてしまう)
その理由は線のアンチエイリアス(GIMPでは「ぼかし」と表現されています)にあります。通常使用する類似色範囲による塗りつぶしは、塗りはじめ位置と同じ色の部分を塗ってくれます。でも線にはアンチエイリアスがかかっているので、線の周囲のぼかされた部分は違う色と判断されるので塗られないのです。
じゃあアンチエイリアスがかからない線を引けばいいのか?というとそういうことでもありません。GIMPでアンチエイリアスのかからない線は鉛筆ツールで描くことができます。でもこの線キレイじゃないですよね…。ドット絵風の線が引きたい場合はこれでもいいと思うんですが。

令和の世でも塗り漏れ?

私の世代においては、ペイントツールの塗りつぶし機能はちょっとしたスリリングな作業という印象を持っている方が多いと思います。
塗り漏れとは、フリーハンドで線を引いて〇(丸、円)を描いたとき、〇が閉じられていない状態で、この〇の中を塗りつぶそうとすると、閉じていない部分から外に塗り広がっていって画面全部がーあーっ!っていうやつです。
絵の高解像度化が進んでいる昨今にあっても、1ピクセル(昔は1ドットと言っていた)の隙間があってもそこから漏れてしまいます。今は、操作をさかのぼってアンドゥできるんでどうってことないですが、昔々にはアンドゥ自体がない時代があったのです。想像できるでしょうか?塗り漏れしたら今日もう帰っていいですか?って話ですよ。
塗りつぶし機能とは塗りはじめの位置から、複数の方向に向かって1ピクセルつづピクセルを探査していき、違う色のピクセルに衝突したらそれ以上塗るのをやめる、そういうアルゴリズムになっているわけですね。
でもこれ昭和の話ですから。令和の世でも進化してないんでしょうか?

もちろんそんなことはなく、GIMPだと3種類の塗りつぶし範囲を選択することができます。そう、そこに「線画領域」というものがあるんです。
これはGIMPがおそらくこれが線だろうなと思うところまで塗ってくれる。しかも別レイヤーに描かれている線を判定することができるので、線画をコピーするなんてことをしなくていいんです。さらに、アンチエイリアスは線とみなされないので、端まできっちり塗ってくれるし、閉じていない領域でもたぶんここが線と思われるところ以上には塗り広がらない!血眼になって線を閉じなくてもいいんです!

知っている人からすると、何をいまさらというものなんだと思いますが、この発見はものすごい時短になりました。

ここまでわかってしまえば、モノクロ漫画ならなんとかなりそうだと思えるようになりました。カラー原稿はまた別の技術が必要になってくると思うので、必要になったときに考えます。

他のツールもためす

時間があったのでGIMP以外のツールも色々見てみました。どケチさんなので相変わらずフリーで使えるものばかりです。クリスタとかアイビス使えよ、とか言わんといてください。

  • FireAlpaca
    とにかく軽い!「3Dパース機能」を試すつもりだったんですが、コマ割り機能の方が役に立っています。一方描き味はなんだかしっくりこない…。現在は原稿作成・下書き・コマ割り、PSDエクスポート→GIMPという工程で使っています。

  • Krita
    FireAlpacaの3Dパース機能同様、「お絵描きアシスト」を試してみたかったんですが…。起動からして重くて、最初の画面からして何か敷居が高そうな雰囲気がしたので、あまり深くは見れませんでした。また時間があったら!

  • FramePlanner
    第2回の記事で紹介しつつ見送っていたんですが、最近PSDでエクスポートできるようになっていたので、フキダシ制作で使っています。最初はGIMPのarakne-path-shape-creatorを使うつもりだったんですが、なぜか読み込みエラーで使えませんでした。

あと前回の課題だったのはフォントでした。今回の話から登場人物が色々出てくるので色々調べて、選定をしました。

まとめ

最終的なワークフローは以下のようになりました。

  1. FireAlpacaで原稿作成、下書き、コマ割り、PSDでエクスポート

  2. GIMPで線入れ、ベタ・トーン塗り、背景作成

  3. GIMPのtategakiプラグインでセリフを入れる

  4. PNGでエクスポートしたデータをもとに、FramePlannerでフキダシを入れる、PSDでエクスポート

  5. GIMPでフキダシをはめ込んで、仕上げ

  6. 完成!

ものすごく頑張れば1ページ1時間くらいで制作できるでしょうか。もちろんそのページのネームが完璧にできているのが前提です。とすると、20ページで20時間。1日1時間確保できたら20日で1話描けるはず。…描けてないじゃん!

背景制作は最近ちょっと面白い気がしてきました。ヘタですけど。一番楽しいのはやっぱり線入れ。それ以外の塗り、コマ割り、写植はちょっと作業的で苦行感があります。
今後は月間連載くらいのペースで描けるように頑張ります。でももう3月ヤバイですね…。

この一連の記事は超絶クリエイターが技術や経験のおこぼれを投下する類のものじゃないです。最下層の趣味人が這い上がっていく成長物語なので、生暖かく見守っていただけると幸いです。そう、今日もおっさん生きてるな!って感じで。何も書(描)かなくなったら何かヤバイのでちょっと心配してください。

読んでいただいてありがとうございました。


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