フーは北の空で生まれた若い雲です。最近やっと大人になりました。 フーは子どもの頃、ほかの雲の子と同じように雨雲学校に通っていました。 2年生の担任だった入道雲先生…
「本当に?うれしい!じゃあ言うね」 エミリはフーに、スープの説明を始めました。 「ママの作るスープはね、いつも野菜が入ってるよ。玉ねぎとトマト、それに、鶏肉。 …
次の日、お母さんはお鍋に残っていたスープを飲んで、すっかり元気になりました。 その日はクリスマスでした。でも町には人から人へ移る病気が流行していたので、大勢で集…
「エミリ、エミリ、起きなさい。風邪を引いてしまうよ」お父さんの声で、エミリは目を覚ましました。 エミリは火を身ながら眠っていたのです。眠い目をこすりながらエミリ…
フーは、窓の外から部屋の中を見回しました。そこはキッチンで、窓に面して流しと作業台が並んでいます。 流し台の横にはストーブがあって、中では火が赤々と燃えています…
その建物はチャペルでした。 建物の壁は白く、赤い屋根の上には細長い塔が突き出ています。 そして塔の先に、フーの目にとまった白い十字架がついていました。 チャペル…
伝書バトのコルムは、フーの横でバタバタと羽ばたいています。 その音を聞きながら、フーは北風に引っ張られて、ひゅるるーと北に向かって進みました。 しばらくは、フー…
フーは地上への旅について、もの思いにふけっていました。 すぐそばでは、虹の川学校の仲間の雲たちが、早めの夕食を食べています。 今日も南風のナナさんの料理はすばら…
KAO
2020年12月31日 23:28
フーは北の空で生まれた若い雲です。最近やっと大人になりました。フーは子どもの頃、ほかの雲の子と同じように雨雲学校に通っていました。2年生の担任だった入道雲先生からは、雨の降らせ方を教えてもらいました。でも、なかなかうまくできなくて、がっかりしていた時期もありました。ある時などは、学校を抜け出して、荒っぽいカミナリや北風と一緒に嵐を起こしたこともありましたっけ。人間の子どもも、嫌な
2023年1月6日 08:38
「本当に?うれしい!じゃあ言うね」エミリはフーに、スープの説明を始めました。「ママの作るスープはね、いつも野菜が入ってるよ。玉ねぎとトマト、それに、鶏肉。いつも同じじゃないけど、いつも美味しいの。」フーは聞き漏らさないように、目を閉じて聞いていました。「フムフム、野菜と肉ね。これが入ると美味しいスープができるんだ。」「それからお塩とコショウを少しずつ。」「塩とコショウね!
2022年12月29日 16:08
次の日、お母さんはお鍋に残っていたスープを飲んで、すっかり元気になりました。その日はクリスマスでした。でも町には人から人へ移る病気が流行していたので、大勢で集まってお祝いすることができません。それでクリスマスのお祝いは、それぞれのお家でこじんまりとすることになりました。この町では、クリスマスにおいしい料理を食べ、イエスさまのお誕生の話を聞いて、最後にクリスマスの讃美歌を歌います。エ
2022年12月29日 16:07
「エミリ、エミリ、起きなさい。風邪を引いてしまうよ」お父さんの声で、エミリは目を覚ましました。エミリは火を身ながら眠っていたのです。眠い目をこすりながらエミリはお鍋に目をやりました。「あ!スープはどうなった?!」「エミリ、ひとりで火を使っちゃだめだと言ってあっただろう?危ないじゃないか」お父さんは眉をひそめて言いました。「ひとりじゃなかったの。雲のフーが一緒だったよ。それにララ
2022年11月10日 13:04
2022年11月8日 21:39
フーは、窓の外から部屋の中を見回しました。そこはキッチンで、窓に面して流しと作業台が並んでいます。流し台の横にはストーブがあって、中では火が赤々と燃えています。部屋の真ん中には丸いテーブルがあって、赤と白のチェック柄のテーブルクロスがかかっています。食器が入った木の棚の上には、ろうそくが4本立てられるロウソク立てと、赤いろうそくが差してあります。そのうちの3本が順々に短くなっていて
2022年11月7日 21:38
その建物はチャペルでした。建物の壁は白く、赤い屋根の上には細長い塔が突き出ています。そして塔の先に、フーの目にとまった白い十字架がついていました。チャペルの向こう側に目をやると、すぐ隣に別の建物がたっています。それは丸太でできた山小屋で、大きな木の扉と、大きなガラス窓がついています。その小屋の屋根からは、細いえんとつが一本出ていて、一筋の煙が出ています。煙はもくもくと、フー
2021年1月15日 20:17
伝書バトのコルムは、フーの横でバタバタと羽ばたいています。その音を聞きながら、フーは北風に引っ張られて、ひゅるるーと北に向かって進みました。しばらくは、フーとコルムの下には、ただ海が広がっているだけでした。フーは退屈しのぎに、コルムが前もって教えてくれた、若い雲が楽しめる場所の特徴をブツブツと唱えはじめました。(山があって、川があって、原っぱがあるところ・・・。)やがて遠くに陸
2021年1月14日 18:50
フーは地上への旅について、もの思いにふけっていました。すぐそばでは、虹の川学校の仲間の雲たちが、早めの夕食を食べています。今日も南風のナナさんの料理はすばらしく、みんなが幸せな気分になりました。フーは、少し離れたところに目をやりました。すると、学校の外を、見知らぬ雲たちが集団になって、東風に乗って流されているのが見えました。その中で年上らしい、一番体の大きな雲のかけ声が聞こえて