コントを書くにあたって気をつけたいこと(0年目)


お笑いの養成所(NSC)でたくさんのネタ見せを見ていると、講師からネタの内容を
”面白くするためにどうすべきか”以前に
”分かりやすくするためにどうすべきか”の
指摘が少なくないです。
ネタの発想が面白くても、ネタの内容に違和感や矛盾があれば観客に面白さが伝わらない。
これを改善するためにどうすべきかを自分なりに考えてみました。

違和感や矛盾のあるネタには、
大まかに2つの特徴があると思います。

1.リアリティがない


ここでいう”リアリティがない”というのは、
非現実的な出来事が起こっているという意味
ではないです。
そもそもコントは基本的に非現実的な場面を
切り取って見せているものだと思います。

リアリティがない例

①ツッコミがおかしい
②見た目とキャラが合わない
③周囲の存在を無視している

①のパターン
・初対面の相手へのツッコミとは思えない
・開口一番に出てくるセリフとは思えない
・相手の言動に対していくら何でも怒りすぎ
                   など

②のパターン
演者の見た目
(性別、体型、年齢、雰囲気など)と
登場人物の設定
(性格、話し方、年齢など)とが
噛み合わないと見ていて違和感がある。

面白い台本が出来上がったと思っても
ボケ担当だから、ツッコミ担当だから
という理由で自分に合わないキャラを
演じていては面白さが伝わらない。


・太っているダイエットインストラクター
・歯がない歯科医師
・ひ弱そうなヤンキー
・育毛剤を売る薄毛の人
↳これらのキャラがボケなら成り立つが、
 ツッコミの立場だと説得力がない。
 おかしな要素があるのに、そこに触れずに
 話が進むことこそがおかしい。


③のパターン
コントで演じる人たちを「メインキャラ」、
メインキャラの周りにいる”はず”の人たちを
「モブキャラ」だとする。

例えば、
飲食店のコントで、
あるふたりの客を演じるとして、
その周りには、
他のお客さんや店員がいるはず。
結婚式のコントで、
新婦と乱入者の男を演じるとして、
その周りには、新郎や参列者がいるはず。


この後者にあたる、
いるはずの人たち「モブキャラ」の
存在を無視するとリアリティがなくなる。
客同士でトラブルがあれば、周りの客に
迷惑になるので店員が動かざるを得ないし、
新婦に会いに結婚式に乱入する人がいたら、
それを新郎が黙って見ているわけがない。


2.笑わせようとしている


・”他人”にウケたくて
 自分からおかしな言動をする人
・ふつうな言動をするが、
 ”他人”からみておかしい人


おかしな言動をしているふたり。
どちらの方が面白いかというと、
後者だと思います。

自分のことを面白いと思っている人は
素で面白い人には敵わない。

前者は面白いどころか
興ざめすることもあります。特にコントは。


個人的に
漫才とコントの違いはこう考えています。

・漫才 =”見せているもの”  
       ↳直接的に観客を笑わせる
・コント=”見られているもの”
       ↳間接的に観客を笑わせる


漫才師は観客に向けてやっている。
コントの登場人物は、
誰かに向けてやっているわけではない。
コントの登場人物がとる言動は、
決して笑いが欲しいからではない。


コントの中の世界と観客の現実世界は別で、
"他人"、つまり目の前にいる観客の
笑いを取りに行くことは、
あまりにも不自然で、
コントの世界観を壊す行為であると思います。

ボケましたよ、ツッコミましたよ、
笑いどころですよ、という感じが
にじみ出ることなく、
コントの世界に入り込むべきだと考えます。


まとめ

今回は、違和感や矛盾がなく、さらには
見てて興ざめしないコントを書くために
どうすべきかを考えました。

アイデアが良くても伝わらなければ
意味がない、ということを心がけて
真面目に楽しく良いコントを
書いていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?