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やる気なんかありません、という神作品

2ヶ月前くらいにジャンププラスで偶然見つけた漫画。
タイトルも絵柄も気が抜けていてどんな話かな〜と思って読み始めたらむっちゃのめりこんでしまった。

あらすじ

主人公矢留木ナサオは中学2年生。行事や勉強、部活などに励まず学校生活もやる気がない。やる気がないだけでできるやつか、というとそうでもない。
運動神経もあまり良くないし学力も高くない。

そんな彼がある日いじめ現場に遭遇して、そいつを匿うことでトラブルに巻き込まれそうになる。
そこから社会の理不尽さや、集団心理の恐ろしさなどと向き合っていく話。

推しポイント

主人公の心の成長

冒頭のやる気がないシーンで、球技が全然うまくできないのをやる気がないと捉えられるシーンなどで共感してしまった。
そして事件に巻き込まれる中で芯の強さが表れたり、人を気遣う優しさが見えてきて感動する。
成長というよりも、本来持っていた良さが表に出てきた感じ。
原石が光る感覚、誰しもにある心の底のエネルギーが表面化される過程が丁寧に描かれている。

対立派の贖罪

主人公の対立派となる聖の心理描写についてもアツい。
何も感じず人を傷つけてきた人間が自分のやってきた悪さと向き合って心が折れそうになる。
それでも周りは自分と向き合うよう誘導してきて、それで考えが変わる描写がリアル。

集団心理のおそろしさ

教室のどこからか聞こえてくる意見に全員が同調してしまうシーンが恐ろしい。
それに対して主人公ならびに友達が立ち向かって収めるのもリアル。
全体的に自分もここにいたら…という気持ちにさせるのが上手な気がする。
いじめっこ、芯のある一匹狼、過去に逃げたことのある正義漢、一匹狼に想いを寄せるマドンナ…
学生時代のそういうキャラクターや気持ちを呼び起こさせる。

全体を通じて

とにかく主人公がかっこいい

  • しょーもない嫌がらせをしてくる学校の先生に毅然とした態度で断ち切ろうとするところとか

  • 人に流されず自分の意見を貫く姿勢とか

決して他人の意見を聞き入れない訳じゃないのもいい。
意見の背景もちゃんと理解して、それでも自分は自分の信じた道へ進もうとする姿勢。
かっこいい〜

どうやったらこんな漫画が描けるのか

今まで漫画はある程度読んできたつもりだったけど、こんなに心揺さぶられたのは結構久しぶりな気がする。
ジャンプ系のアツさではあるけど、特殊能力やバトルとかじゃない。
青年漫画系のドロドロした暗さっていうのもない。
かと言って明るいかというとそれもまた違う。

全然うまく言語化できないけど良質な小説って感じ。
全員が全員、自分の犯してきた罪に向き合って償おうとしたり立ち直ったり認めていくところがとても大人で真摯的で真似したいと思わせる。
こういう人の心を揺さぶれる作品を作れることをとても尊敬する。
他の作品も読んでみたいし、自分もこんな風に人の心に刺さるものを作ってみたい。

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