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いわきFC vs 徳島ヴォルティス (23シーズン第5節)

第4節終了時点で、平均ボール保持率が2位(62.6%)の徳島との本マッチ。
いわきFCの平均ボール保持率は39.8%で20位(22チーム中)。ちなみに、J3リーグを優勝した22年シーズン、いわきFCの平均ボール保持率は46.4%で16位(18チーム中)だった。

言わずもがな、ボール保持率と勝率の相関はない。20年シーズンのJ2リーグで首位だった徳島はボール保持率1位、徳島と同じ勝ち点で2位だった福岡のボール保持率は下から3番目だった。
参考までに、徳島は、過去5年、常にボール保持率はリーグのトップ3に入っている。J1リーグで戦った2021年もボール保持率はJ1で2位!
徳島のように、チームのスタイルがあると、その継続性によって、応援する側の理解は深まっていく、選手を獲得するスカウティングは、チーム特徴に合う選手の見極めのノウハウが蓄積されていく、などの利点があるだろう。
我がいわきFCには、「魂の息吹くフットボール」というダイレクションがある。これを羅針盤として、いわきFCを応援し、楽しみたい。

試合結果

ウノゼロで勝ち切った!
試合終了のホイッスルを聞いて、家泉、遠藤、江川、高木和が熱い抱擁。最終ラインにとってタフなゲームだったことが伺えるシーンだった。
いわきFC 1 - 0 徳島ヴォルティス
 いわきFC: 谷村(71分)
 徳島ヴォルティス: なし

機能していた守備と、危なかったシーン

いわきFCは、第4節と同じスターティングラインナップでスタート。

スターティングラインナップ (第5節)

徳島のGKからのビルドアップに対して、CFの有田、谷村は、アンカーポジションに構える徳島の白井へのパスコースを背中で消しながら、相手のCBへ距離を詰める。中央からパスワークで前進をさせず、サイドに誘導してボールを奪取する、あるいはCBに大きく蹴り出させて、いわきFCのDFラインがチャレンジ&カバーでボールを回収する、という山口戦や水戸戦と同様の展開だった。

徳島は、白井がCBの間に落ちてサリーをしたり、アンカーポジションに櫻井や柿谷が入るなど立ち位置に変化を加えて、前進を試みていたが、本節ではいわきFCの前プレスに、大きなほころびは見られなかった。しかし、前プレスをはがされた17分、危ないシーンが訪れる。
徳島の速攻を受けて、ボールは白井からポケットに走りこんだ外山へ。

17分:速攻でポケットに侵入される

加瀬が外山に裏を取られていたため、家泉がボールと外山へのアプローチに行き、遠藤と江川は、家泉の動きと連動して中央へスライド。この間、柿谷の動きが秀逸だった。ほかの選手とは別方向にするすると動き、ボールと逆サイドでフリーになっていた。

17分:柿谷をフリーにしていたシーン

このシーンは西谷のシュートが枠をとらえず、事なきを得た。

速攻を受けているときではなく、守備ブロックを組んでいるときにポケットに侵入される場合は、CBではなく宮本がアプローチに行くことが多い。その場合は、家泉や遠藤はゴール前に構える。速攻を受けた際の守り方は難しい、と感じたシーンだった。(逆に、いわきFCが速攻をしかけているときは、相手チームも守りずらいのだろうなとも思った)

ガチャガチャごちゃごちゃカオス作戦

いわきFCの戦い方は、ロングボールをきっかけに、カオスを起こして速攻をしかける、ガチャガチャごちゃごちゃカオス作戦。またの名を「ストーミング戦術」。
いわきFCの解説ですよね、という記事を紹介。記事の最後に、代表的なチームとして、リバプール、ライプツィヒが挙げられているが、その次に「いわきFC」も本戦術に取り組んでいるクラブの1つです、と入れていただきたいと思うほどに。

82分のシーンは、宮本による、ふわりとしたボールが「狩り」開始の号砲だった。前節の仙台戦でも、同様な号砲(ボール)を山下が供給している。

「相手がボールを持っている時は全員でボールを“狩り”に行く。猟犬を使って1匹のウサギを仕留めるように」

引用:activel.jp「ストーミング戦術とは?サッカーの攻撃重視のプレスのメリットを解説」


宮本からのボールに、有田がウサギさん(カカ)と競る。

82分:宮本による狩りの号砲


ふわりとしたボールに有田とカカが競っている間に、猟犬がいち早く、狩場に集結。そして、ボールを奪いきる。

82分:ウサギ狩り


狩りは目的ではない、得点を奪うための手段だ、ということで速攻へ!

83分:狩りを終えて速攻へ

この速攻で、コーナーキックを獲得した。
このシーンの間、山下と宮本は足が止まらず的確なポジションに入り続ける。山下は90分間を通して、ボールウォッチャーにならない。宮本においては、この速攻で、最後はゴール前まで駆け上がった。ドリブルで駆け上がって、コーナーキックを獲得したのは有田だった。全員、スタートから走り続けている選手たち。
スタートから出ている選手のフィットネスが、試合の終盤になっても落ちないのは、トレーニングによる効果もあろうだろうが、それだけだろうか。

リバプールのストーミングは、それに合致したスカッドが前提とはなるが、モチベーターとしてのユンゲル・クロップ監督の存在も大きい。クロップ監督は試合中、とても情熱的だ。
そこで、我らが村主監督。試合中は、(あくまでクロップ監督と比較すると)冷静だ。しかし、ロッカールームで、選手の心に火をつける、試合開始から90分間、力を出し切ってストーミングを起こすための言葉かけをしているのではないだろうか。いや、仙台戦の試合前のインタビューをDAZNで見る限り、絶対にされている。とても興味がある。
いわきFC版の「The Locker Room」を、是非、制作してほしいです!

ちなみに、徳島はポジショナルプレーがベースにあるが、ラバイン監督は、速く力強いプレスもトレーニングで取り組んでいる。ポジショナルプレー+ストーミングを実装する徳島とのアウェイリターンマッチでは、さらにエキサイティングな試合を見ることができるに違いない。

過密日程の4月と5月

今季戦うJ2リーグは全42節。昨年戦ったJ3リーグは、8試合少ない全34節だった。
昨年は、水曜日にマッチデーが組まれたのは5月4日の1試合だけ。金曜日にJヴィレッジで試合を行い、5月4日の水曜日にアウェイで福島ユナイテッドFC戦、日曜日に再度、アウェイで福島ユナイテッドFC戦(天皇杯)と、福島県内の移動だった。
今季は、4月と5月に、3試合、水曜日に試合が組まれている。今季最初の水曜日のマッチデーは、4月12日、アウェイの金沢遠征となる。
第5節まで全試合フル出場は、家泉、遠藤、嵯峨、山下、宮本の5人。山下は、昨年も全34節フル出場をしている。
村主監督は、ターンオーバーするのではなく、今、一番調子が良い選手を使う考えだと思うが、開幕からメンバー入りをしている速水をCBで、そして、開幕戦は左MFで先発をし、その後も全試合メンバー入りをしている鏑木をボランチで見てみたい。鏑木は、前橋育英高卒(拓殖大へ進学)でサッカーエリートの経歴だが、負けず嫌いでプロまで上り詰めた選手だ。

(この記事の試合で鏑木はゲームキャプテンを務めてる。次の3回戦で、前橋育英高は加瀬や河村がいた尚志高に敗れたが、鏑木はメンバー外だった)

あとがき

いわきFCがストーミングを起こしているとき、狩りを始めたとき、より大きな声援で応援をしたい。いわきFCの選手の背中を押して、相手選手にプレッシャーをかけらるように。

次節は、町田ゼルビア戦。監督は、青森山田高の元監督の黒田監督。嵯峨は青森山田高の出身で、黒田監督の指導を受けている。ヘッドコーチは金明輝コーチで、鳥栖の元監督。このように、話題性のあるコーチングスタッフの中で気になるのは、分析担当コーチ。町田は2人の分析担当コーチをおいている。今シーズン、舞台をJ1からJ2に移した清水や磐田の分析コーチは1名で戦っているので、2名体制の町田はJ2では珍しいのではないだろうか。
ちなみに、町田の分析コーチの1名、木下コーチは2000年生まれの22歳。Jリーグのキャリアパスも多様になってきている一例として紹介したい。ちなみに、徳島のラバイン監督が分析コーチとして指導者のキャリアをスタートしたのは21歳。
さて、町田の2名の分析コーチが、どのようにいわきFCを丸裸にしてくるのか、それを我がチームがどのように上回って躍動するのか、次節が待ち遠しいです。

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